表情のベースは絵文字 「会話体験」をより良くするためのこだわりとは
――Romiの形やサイズは、どのような経緯で固まっていったのですか?
最適な形を探るため、プロトタイプをやまほど作成。最初のプロトタイプは、外に配線と基盤が剥き出しのものでした。そこから、Romiならではの長所を探るべく他社製品をたくさん集めたり、市場の研究も念入りに行いました。
とくにRomiの形で大切にしたのは、威圧感を減らすこと。Romiは当初から向かい合って話すことを想定しており、会話をしたい相手に威圧感を与えないようにするためにはどうしたらいいかと考えた結果生まれたのが、手のひらに乗るこのサイズ感です。
一般にロボットというと内蔵するモーターやディスプレイといったパーツの観点からどうしてもサイズが大きくなりがちですが、パーツのサイズ感を意識せず3Dプリンターで手のひらサイズのモックも作ってみたところ、そのサイズ感がとてもかわいらしかった。それをきっかけに、小さいサイズのロボットを目指すようになりました。現在のコンパクトな形は、顔を見て話すなど動きを最低限に留めることで実現したものです。
――開発の過程で、とくに注力したことはありますか?
もっともこだわったのは、会話体験です。会話体験を良くするために心がけているのは、まずは開発メンバーで試してみること。たとえば新機能が追加された時には、まず開発メンバーがデバッグ用のRomiに話しかけてみて反応をみて、体感があまりよくないと感じた際にはこまめに報告し改善を行っています。
より良い会話体験にするために、AIが知識を増やすのももちろんなのですが、「返事の仕方」もとても重要です。その返答があっさりしていたり、話が通じていないと感じることがあれば、ユーザーとの溝は深まってしまう。それを解消するべく、メンバー内でそもそも良い会話とはなにかから議論したこともありました。
絵文字をベースにした表情も、リリースまでに何度か改修を行っています。画面に表示されるRomiの顔のパターンは細かく分けると100種類以上あり、目のデザインでいえば、どういう目であれば生き物感がありながらも表現がしやすいかという点を検証し、今のデザインに行き着いています。
Romiは感情に合わせて表情や声のトーンを変えたり、悲しい話なら涙を流すこともあるのですが、とくに難しかったのが、Romiの表情の表現の仕方です。たとえば、爆笑しながら涙を流しているような絵文字があります。あれはメッセージのやりとりでもよく見かけるかと思いますが、前後の文脈や、人と人のやりとりがあった上で使えるもののため、Romiが同じ表情をするとどうしても違和感が出てきてしまう。そんな背景もあり、涙や汗といった表現は一部消したものもあります。テキストと対面のコミュニケーションでは大きな違いがあることを実感しました。