
和田卓人氏
事業のコアになったIT
ITがビジネスの現場で使われ始めた当初は、「あると便利」程度のものでした。IT部門が主導する、一部がちょっと便利になる道具としてのIT。それがいつしか不可欠なものとなり、今ではITをコアに据えたビジネスが一般的になってきています。特に最近ではDX(Digital Transformation)の波が押し寄せ、ITの事業コア化の動きは加速しています。
「このDXには大きく分けて2つのDXが存在します」。ところてんさんの言葉を引用しながら、和田さんはそう解説します。守りのIT、SoR(Systems of Record)的なDX。そして攻めのIT、SoE(System of Engagement)的なDX。事業のコアとなるDXは後者であり、この講演ではそこに焦点が当てられています。

プロセスを守ることから価値を生み出すことへフォーカスが移った
プロジェクトマネジメントの知識体系ガイドである「PMBOK」が第7版に改訂されるというニュースが流れたとき、多くのソフトウェアエンジニアが衝撃を受けました。それまでプロセス重視だったPMBOKの内容が大幅に改訂され、原則重視へと舵を切っているのです。
「決められたものを決められたときまでに破綻なく作る」から、「誰も答えがわからないものを模索しながらつくっていく」ことへのパラダイムシフト。少なくないエンジニアがその変化を感じ取り行動していますが、PMBOKがこのような変化を遂げるというインパクトは相当なものがあります。

けれども、「誰も答えがわからないもの」を、どのように作っていけばよいのでしょうか。「わからないなりにやりようはある」。和田さんはそう熱く語ります。