手探りのなか始まったリニューアル その中でもブレない“思い”
――ラブグラフの成り立ちと、写真教室事業が生まれた経緯について教えてください。
荒田 当時、関西の大学に通っていた社長の駒下が撮影したカップルの写真がSNSで話題となったことがきっかけで、さまざまなところから撮影の依頼がくるようになったことが出張撮影サービスの始まりです。
最初は駒下がずっと撮影していたのですが、全国各地の同じような思いをもったフォトグラファーの方と仲間になったほうがたくさんのカップルを撮影できるということで2015年2月に学生起業し、ラブグラフというサービスになっていきました。最初はカップル向けにサービスを展開していましたが、現在は「世界中の愛を形に」というミッションのもと、出張撮影は「家族」にフォーカスして拡大しています。
僕が学生カメラマンとして加わったのは、おそらく起業して2年目くらいのときです。
その当時、プライベートでもカメラの撮りかたを教えてほしいと言われるシーンが多かったり、撮影もやっていきたいけれどもっと何かできないかという思いがあった。これだけ優秀なカメラマンが集まっているなら写真教室を開催したら楽しそうというアイディアのもと、ほんとうになんとなく始まったのが現在のLovegraphアカデミーです。
最初は不定期に行っていたり、お金を稼ごうというモチベーションもまったくなかったりと、正直力を入れていたわけではありません。立ち上げたときと同じように、出張撮影にこだわらず楽しく取り組んでいけたらという思いだったのですが、昨年2020年のコロナ禍でそれが大きく変わりました。
ひとつは、いままではオフラインで行っていた教室がオンラインへの移行を余儀なくされたこと。もうひとつは、イベントのように単発で教えるには限界があると感じていたことです。せっかくひとつの講座を受講していただいてもほかの講座も受けないと一人前のカメラスキルは身につかないし、かといって、何度も足を運んでもらうことは料金的にも時間的にも難しい。ですが続けて学んでもらうことができれば、より早く上達できるだろうし、市場としても需要があるかもしれないという思いから月額制のサービスが生まれました。昨年2020年5月ごろのことです。
豊田 最初は受講生も50人ほどでした。月額制のサービスを開始して半年くらいはサービスが安定していなかったこともあり、サービスとしても伸び悩んでいる時期でした。退会される方も多かったですね。そういった点を含め僕らとして改善したい部分もたくさんあったことから、思い切ってリニューアルをすることにしました。
ですが、Lovegraphアカデミーとしてのコンセプトは月額制のサービスを提供する前と変えるつもりはありませんでした。僕らが一貫して伝えたいのは、写真の楽しさ。今ここにいる4人全員がラブグラフのフォトグラファーで、写真の楽しさを実感しているからこそ、もっといろいろな人に写真の魅力を感じてほしいし、それによって人生を豊かにしてほしい。その気持ちは、もちろんブレることはありません。
ですが、それをかなえるためにどのようなサービスを提供すべきかについては、正直手探りな状態で始めました。年齢が若く経験が浅いメンバーが多かったので、ほんとうにわからないことだらけ。会員向けのマイページを開発しようとなったのですが、そもそもマイページを作るために何から手をつけたらよいかわからない、というところからのスタートでした。
小林 右も左もわからず最初はとくにカオスな状況ではありましたが、試行錯誤しながら進めていくなかで私も理想像が描けるようになっていきましたし、ユーザーさんといちばん近い豊田が届けたいとイメージするものから逆算して、機能を考えていきました。
――ソロコース、スタンダードコース、プロコースという3つのコースがありますが、コースづくりで意識したことはありますか?
鳩山 コースの内容や金額設定はもちろん、コースの名前は印象を大きく左右することもあり、とてもこだわりました。
2021年3月までは、ライトプラン、スタンダードプラン、プレミアプランという名前で展開をしていたのですが、もともとスタンダートプランのみで始まったものに、受講生の要望を聞いてすぐに反映させたいという思いから突貫工事的にほかのふたつを付け加えていたんです。それを、ソロ、スタンダード、プロという3つのコースに再編成したのですが、そのネーミングはメンバーと深夜まで議論したことを思い出します。
豊田 とくにソロコースについて、一見すると150本ほどある動画で学ぶことができる点を価値として感じてもらえるかと思うのですが、僕らとしてとても大切にしているのはメンター制度。メンターという講師が5人から10人ほどの受講生をうけもっており何でも質問に答えてくれるのですが、それ以上に、グループとして全国の受講生とのつながりが生まれる点も、Lovegraphアカデミーの魅力だと考えています。
そのため、動画だけ見ることができたらいいや、というスタンスの方にたくさん来てほしいというよりは、みんなと一緒に頑張りたいと思っている方に受講してほしかった。そう思うと、ソロという名前は少し寂しい印象もありますが、ほんとうにひとりで黙々と頑張りたい方はそちらを選んでもらえるのではないかという考えから、ソロというネーミングにしました。