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自分の可能性を広げよう!U30デベロッパーのための「キャリアのすゝめ」

エンジニアは武器を作る側か、その武器を使って事業を伸ばす側の二極化へ――DMM石垣さんに訊いたキャリア構築に必要なこと

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 幅広く事業を展開するDMM.comの開発部の部長を務め、イベントでの登壇や書籍『DMMを支えるデータ駆動戦略』の執筆など、活発な社外活動でも知られる石垣雅人氏。2015年にエンジニアとして新卒入社し、わずか6年足らずでプラットフォーム基盤を支える事業の責任を負う立場となりました。現在も、自身でコードを書きつつ、プロダクト・プロジェクト・人事組織と広範囲のマネジメントを行う石垣氏が、より良い仕事のために意識してきたこと、大切にしてきたこととは何か。これまでの経歴やキャリア観、今後の目標などを伺いながら、若手エンジニアがキャリアを築く上で大切にしてほしいマインドや行動についてメッセージをいただきました。

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新卒入社6年目でサービス基盤を支えるDMMの事業部長に

――現在のお仕事について教えてください。

 DMM.comで部長職をしています。具体的には、3500万人を保有するDMMのアカウント基盤や決済、ポイントサービスなど、DMMのサービス基盤を支えるプロダクトのいくつかの事業責任者を務めており、範囲としてはプロダクト・プロジェクト・ヒューマンの3領域でマネジメントを行っています。人数規模としては約50名のメンバーを管轄しています。

 具体的には、プロダクトマネジメントとして、事業の拡大成長、成功に導くという戦略策定のもと、データ分析に基づく戦略立案から、ROIを見ながら財務諸表を管理し、予算をマネジメントすること。そして、ヒューマンマネジメントについては、エンジニアやデザイナー、マーケターなど各チームメンバーのモチベーションを高めることを意識しながら1on1などを実施しています。プロジェクトマネジメントではアジャイル開発を実践し、開発プロセスのマネジメントまで行っています。

合同会社DMM.com プラットフォーム事業本部 メンバーシップサービス部 部長 兼 VPoE室 石垣雅人氏
合同会社DMM.com プラットフォーム事業本部 メンバーシップサービス部 部長 兼 VPoE室 石垣雅人氏

――かなり幅広い領域についてのマネジメントを担われているのですね。プロダクト・プロジェクト・ヒューマンの3領域全てを管理するのはなかなか大変だと思いますが、どのようにバランスされているのですか。

 本当に難しいのですが、私の中では「プロダクトマネジメント」を一番優先させて考えていますね。ロールとしてプロダクトの責任を負っているため「何を作るか」「なぜ作るか」という命題のもと、仕事の約6割を予算の管理やログデータの分析、市場調査に費やしています。そして「何を作るか」が決まれば、組織として割くべきリソースにフォーカスして、どんなチームでどのように実現するべきかを具体的に考えることができます。あとはチームをモチベートして、目標値までどうやって早く到達するかというプロジェクトマネジメントの話になります。なので、バランス感覚としてはプロダクトマネジメントのレイヤーが一番高くて、その下にプロジェクトとヒューマンのマネジメントが両方あるイメージです。

 よくあるプロダクトの目指す先と、メンバーのキャリアやモチベーションとが行き違ってコンフリクトすることもないわけではありません。そんな時も含め、確固たる理論があるわけではないのですが、どちらにしてもメンバーのモチベーション高いことがいいプロダクトを生むと考えています。つまり、どちらを優先させるかというより、両立させないと上手くいかないと思うんですね。

 そこで、見えていない視座を提供したり、アドバイスしたりしつつも、メンバーの意思を尊重しています。やはりやりたいことをやってもらうと、メンバーの成長につながり、たとえ遠回りに見えてもプロダクトの価値に反映されるように思います。それができるのも、例えばバックエンドのエンジニアがフロントエンドを触りたいといえばチャレンジさせる環境は用意しますし、最近多いのはデータ分析をしてデータに基づく意思決定をしたいメンバーが多いので、職種関係なく、ほぼ全員がSQLをかける状態になりました。

 それによってメンバーの好奇心にまかせていたものではありますが、副産物として組織全体がデータというファクトを見るようになったので意思決定のスピードも上がりました。かなりクロスファンクショナルなチームになっていると思います。一方、好きにチャレンジ環境があるように見えつつ、きちんと裏では生産性に偏りがないようにハンドリングはしています。

つくりたいものをつくるために、はじめから「裁量と権限」にこだわる

――なかなか難しい調整を迫られるお仕事だと思いますが、現職に至るまでのキャリアをお聞かせください。

 2015年に新卒で入社し、直後から「裁量と権限がほしい」と言いながら仕事をしてきました。エンジニアとしてキャリアをスタートしたのですが、この業界でどのようなことができるのか、どのようなことがしたいのか、わからなかったこともあり、早くいろんなことを体験したかったんです。早々に裁量と権限が得られたら、できる範囲も広がるし、何かやりたいと考えた時に最短ルートになるのではないかと考えました。

 1年目はエンジニアとしてひたすらコードを書いていましたが、2年目を過ぎた頃に良いプロダクトをスピーディに創り上げていくには、個人のリソースでは限界があると気づき、チームでやっていくことが重要であると認識するようになりました。自分でない人々をモチベートし、チームをマネジメントすることに関心を持つようになり、2年目にテックリードと並行しながらプロジェクトリーダーを担うようになりました。

 3〜4年目は、いくつかプロジェクトを経験する中で、迅速にプロダクトを作るノウハウやコツを体得するようになり、今度は「何を作るべきか」を意識するようになりました。PL(損益計算書)といった財務諸表を見ながら予算や収益のバランスを管理し、事業やプロダクトを作るためのスキルセットを考えるようになりました。事業計画をつくり、実現に向けて予算獲得やチームを組成することから取り組むようになり、それが横展開して複数のプロダクトの責任者になったという次第です。

――まだ20代で事業責任者と、早い段階で大きな「裁量と権限」を獲得されました。そう志向されたのには、どのようなお考えがあったのでしょうか。

 学生時代から、自分で事業を創り出したいという思いがあり、はじめからエンジニアになりたいわけではありませんでした。ただ世の中を見渡すと、あらゆるものがインターネットに接続され、ソフトウェア化していく中で、インターネットサービスの魅力や存在価値が増すことは予想していました。そこで、まずは「自分でモノづくりをしてみよう」と思ってエンジニアとして入社しました。

 もちろん自由につくりたいものを作るなら、一番手っ取り早いのは起業家になってしまうことでしょう。しかし起業ではなく、大きな組織に入ることを選んだのは、DMMならはじめから優秀な人材もノウハウも、さまざまなリソースが潤沢にあるなかで、役職を上げて、裁量と権限を得られれば、自分がつくりたい事業を実現するのに一番の近道になるのではないかと考えました。

 実際、役職が上がるとできることが増え、当時考えていたやりたかったことが実現できています。ただ役職や権限を得ることが目的ではありません。あくまでモノを作るエンジニアが生み出す価値を最大化し、事業をスケールしていくキャリアの1つとして、現在のポジションがあると捉えています。

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圧倒的な成果で信頼を獲得し、視座を上げることで次のステージへ

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウ マミ)

エディター&ライター。児童書、雑誌や書籍、企業出版物、PRやプロモーションツールの制作などを経て独立。ライティング、コンテンツディレクションの他、広報PR・マーケティングのプランニングも行なう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

鍋島 英莉(編集部)(ナベシマ エリ)

2019年に翔泳社へ中途入社し、CodeZine編集部に配属。同志社大学文学部文化史学科卒。

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https://codezine.jp/article/detail/14946 2021/11/17 11:00

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