ステップ5:価値検証/ドッグフーディング
ひと通りデザインが完成し実装が終わってほっと一息つきたいところではありますが、リリース前の仕上げの作業は重要です。
アプリがある程度完成したところで、チームメンバーや社内のターゲットユーザーが実際に使い、つまずくところがないかを検証していきます。このような、自分たち自身がユーザーとなって利用することを「ドッグフーディング」と呼びます。
ステップ2の課題抽出の段階で、サービスの価値が設計されていることが大前提ですが、良い着眼点で美しいUIデザインを作ったとしても、最後の検証を怠ると、ユーザーがつまずき使ってもらえないこともあります。文言から情報の順序などが理解しやすいかどうかなど、細かいところまで調整を行います。
具体的な例を紹介します。今回のアプリでは、当初子どもの位置を示すアイコンのデフォルトカラーがピンク色でしたが、ピンクが好きではない子どもの親から変えたいという要望があり、デフォルト色をニュートラルな緑色に変更。その後改修を行い、現在はユーザーが色を選べるようになっています。
また、子どもの移動経路を確認するには詳細画面に遷移する必要があるのですが、詳細画面に辿り着けないという声が多く、チュートリアルを追加。
解約フローも間違えると取り返しがつかないため、注意点が端的に伝わるよう文言調整を行いました。もっとも注意するべき項目を赤字で記載したり、「即時解約」という文言を「今すぐ解約」といった平易な言葉にし、理解しやすいよう変更しました。
リリースまでにすべての問題を解決することは難しいですが、事前に課題を拾っておくことによって、その後も迅速に対応することができます。
継続的なユーザー調査と改善
リリース後も積み残した修正ポイントや、新たなユーザーの要望をもとに修正を続けます。
いちばん大きな修正は、最新情報を取得できる更新ボタンの追加です。リリース当初のアプリは一度トップ画面に戻らないと最新情報が取得できなかったのですが、これは社内のドッグフーディングでもユーザーからもとくに多かった要望。リリース後すぐに改修が行われました。
その後も寄せられる要望やレビュー、SNSでの投稿を確認し、課題がないか改善を続けています。最近では、位置情報の時間の表示が指と重なって見づらいという声が多かったため、UIを修正したり、通知をより読みやすくするといった改善を行いました。
改善したことに気がついて書き込んでくださる方のレビューなどを見ると、自分たちの仕事が使ってくれている方に届いていることがわかり、やりがいを感じることができます。
最後に
今回は企画が立ち上がったあとのUXデザインのフローをひと通り紹介しました。
UXデザインを考えていく際に初期の価値設計を甘く進めてしまうと、プロダクトが形にならなかったり、リリースしてもユーザーが定着しないこともあります。また、最後の検証を怠ってしまうと、ユーザーが使い続けることができず、本来の価値が届きません。
デザイナーは部分的に参加するだけではなく、企画からリリースまで一貫して関わっていくと、サービスの体験はより良いものになるのではないでしょうか。
今後もみてねはユーザーに寄り添いながら、新しい価値を生み出していきたいと思います。