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「これからの働き方」を実現するための制度づくりとは リノベーションの過程とともにコンセントが振り返る

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リモート時代だからこそ働く上で大切にしたい3つの価値観

芳賀(聞き手) 先ほど挙げた「働く場所」制度、オンライン会議設計ガイドライン、「雑談支援」対策、「働き方提案」制度の4つに制度づくりの方向性が絞られたわけですね。

川原田 この4つから制度づくりの具体化に向けて議論をする中で、個別施策を検討する前にまずは、大枠となる考えかたを社内のメンバーに示した方が良いのではないかと考えました。「新しい働き方を実現するにあたって何を目指しているのか」といった全体観を示した上で「それに紐づく個別の制度がある」という伝えかたのほうが、社内のメンバーとしては納得しやすいだろうなと思ったんです。

そこで最初に僕らが目指すものとして提示したのが、「1人ひとりがユニークな働き方をもち、その多様性をお互いに尊重して生かせる環境を整備すること」です。また「これが新しい制度だ」と一方的に示すのではなく、「まだまだ完成形ではなく実験中のもの。みんなにもどんどん参加してもらって、制度はつくられるものだよね」という意識も新制度検討チームの中では一致しており、この考えかたもあわせて全社に共有することになりました。

コンセントには、時代や環境に関わらず全員のベースになるものとして「10の行動指針」がありますが、それを前提とした上でこれからの働きかたでとくに大切にしたい価値観も検討。全社に共有した価値観とは、「オープン化」「自立と自律」「+αのアクション」の3つです。それらについて社内展開した資料でも「こういうアクションをせよ」という言いかたではなく、参考となるアクションの「Tips」を紹介することで、具体的なアクションは自分自身で考える余白を残すようにしました。

コンセント社内資料より、3つの価値観「オープン化」「自立と自律」「+αのアクション」の概念図
コンセント社内資料より、3つの価値観「オープン化」「自立と自律」「+αのアクション」の概念図

芳賀(聞き手) 「オープン化」「自立と自律」「+αのアクション」の3つの価値観について具体的に教えてください。

川原田 それぞれ説明しますね。

1.オープン化

周りの人とリアルに顔を合わせる機会が減った一方で、社内オンラインコミュニケーションツール上でのやりとりは活発になり、このツール自体が「バーチャルなオフィス」としての機能をもち始めていると言えます。

ひとつめの価値観である「オープン化」は、オンラインでの気軽な情報共有をオープンにしていくことで、リモートワーク下でも連携を深めたり、業務の円滑化を図っていくものです。社内オンラインコミュニケーションツール上のチームチャネルの公開や、誰でも参加できるオープンなチーム会、オンライン勉強会や共有会などが、この価値観にもとづく具体的なTipsにあたります。もちろん機密情報や個人情報の管理面も厳重に注意しています。

2.自立と自律

ふたつめの「自立と自律」には、「仕事は自分でつくっていくもの」というリモートワーク以前からの基本的な姿勢に加えて、通勤時間が減ったことや働く場所の自由度が生まれたことから、仕事への取り組みかたやその意識についても今一度考えていこう、というメッセージを込めています。

閉塞的な環境で仕事をする場面が多くなってきていると思うのですが、そういう状況下でもいかに良い仕事をするかというプロ意識が重要ですよね。具体的なTipsとしては、これまでも存在していた外部セミナー参加の積極支援やワーケーションです。ワーケーションについては制度化するまでの議論がまだまだこれからですが、実験的に試したメンバーもおり課題やアイディアも集まってきているので、取り入れることができないかと考え中です。

「自身をコントロールする」、「自分がより良いアウトプットをだすための働き方の工夫」といった位置づけとも考えられるのではないかと思っているんです。

「+αのアクション」で余白をつくる

芳賀(聞き手) 3つ目の価値観である「+αのアクション」はほかのワードと毛色が違いますね。前回までの連載記事の中でお伝えしてきた、オフィスリノベーションのコンセプト、「余白」に通じるワードだと思いました。

株式会社コンセント ディレクター/プロジェクトマネージャー 芳賀南実
株式会社コンセント ディレクター/プロジェクトマネージャー 芳賀南実

川原田 まさにその通りです。実は、この「+αのアクション」に決まるまでには紆余曲折がありました。最初は「一歩踏み込んだコミュニケーション」や「より丁寧なコミュニケーション」のように、「コミュニケーション」という言葉を使おうかと思っていたんです。

リモートワークが中心になり物理的に離れて働いていると、自然発生するコミュニケーションの中で「セレンディピティ」の機会はどんどん失われていく。だから「より意識的に、お互い一歩踏み込んだ活動をしていかなければいけない。これまでは“余白があったから成り立っていた部分”を自ら積極的につくっていくことが必要だよね」と。

ただそれはコミュニケーションに限った話でもないので、より踏み込んだアクション、または普段のルーティーンに対する新しいアクションの付加という意味合いが伝わる「+αのアクション」という言葉にしました。

芳賀(聞き手) 「セレンディピティ」や「余白」に関しては、新制度検討チームの中でもとくに中條さんが意見を述べていたと聞いています。この連載の第3回ではそれをどのようにオフィスデザインで具現化したかについて触れられていますが、その裏にある思いや考えを教えてください。

中條 ソフト面を考えていくときの課題として、会社の制度だけではなく、働く人のマインドが変わらなければより良い働きかたややりがいにはつながらないだろうという思いがありました。自分らしい働きかたとは何かを改めて見つめてみる。出社して人と出会う働きかたを選ぶ人がいても良いし、出社せずにリモートワークを選ぶ人がいても良い。そういった選択をそれぞれがしたときに、ひとりで閉じてしまうことがないよう制度面でカバーするなど、押し付けるのではなく一緒に考えていける「余白と制度とのバランス」をとっていきたいなと。

前回の記事で紹介した、本を通しての学びでありコミュニティでもある「ぶらぶらBOOKS」も、この「+αのアクション」を体現する取り組みです。

「オープン化」「自立と自律」「+αのアクション」の3つの価値観をもとに、今後も働きかたのアップデートについて継続的に検討をしていくために、社内で「ワークスタイル研究室(通称:ワー研)」を立ち上げました。ワー研では、広い意味で働きかたに含まれる「学び」についても考えていきます。「ぶらぶらBOOKS」はその学びに対する取り組みでもあるんです。

株式会社コンセント クリエイティブディレクター 中條隆彰
株式会社コンセント クリエイティブディレクター 中條隆彰

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