社内にどのように伝えていくか
一緒に考えていくスタンスを大切にする
芳賀(聞き手) こうして形づくった価値観や具体的なTipsを社内に展開していくにあたって、工夫したことはありますか?
川原田 先ほども触れた、「これが決めではない。みんなで一緒に考えてつくっていこう」というスタンスで発信することを非常に大切にしています。
たとえばオンラインコミュニケーションツールで社内に資料を展開するときに、誰でもコメントできるスペースを用意したり、アンケートを実施したり、直接誰かをつかまえて話を聞いてみるなど、意見募集も積極的に行っています。みんなの意見を上手くまとめたいというよりも、「みんなで一緒に考えてつくっていく」ために、なるべくオープンに活動していくことを意識しています。意見を出しやすい環境は人それぞれだと思うので、ひとつの方法にこだわらず、さまざまな方法を実施しています。また、まだふわっとしてる段階でも、頻度を上げて早めに情報を出していくことも意識しています。
渡邊 社内展開に関しては、リノベーションしたオフィスを紹介するYouTube動画もつくりました。ラフに見てもらえるように、いわゆるオフィス散歩的な動画コンテンツにしています。社内メンバー向けに制作していますが、社内に閉じる必要はないので一般公開もしています。
次の動画は、オフィスリノベーションの裏にある空気感や熱意を伝えるためにつくったYouTube動画コンテンツ「コンセントオフィス探訪」です。全4作あり、企画から撮影、編集まで社内の映像チームで行っています。
芳賀(聞き手) 私もナビゲーターとして出演させていただきました(笑)。
渡邊 見る人の立場を代表して、あえてリノベーションメンバーではない芳賀さんにナビゲーターになってもらったんです。芳賀さんに新しいオフィスのいろいろなところに反応してもらったり質問してもらいながら、僕や中條さん、このプロジェクト全体の担当役員である上原さんが、仕掛けや考えをラフな雰囲気で紹介していく。少しでも興味をもってもらうための「きっかけ」をつくったイメージです。
動画にした理由は、トップダウンのメッセージのように伝えたくなかったこと、出社状況に合わせて変更するなど、少なからずナイーブな側面もあるリノベーションの意図や温度感は、文章だとなかなか伝わりづらいと思ったからです。
ただ説明するのではなく、「空間感」と「そこに対して込めた熱感」をどう伝えるかを工夫しました。ちょっとしたテンションの違いがある中で、みんなにもしっかりと全部を見てほしいと考えました。
削ぎ落とさず、情報量を増やす
川原田 リノベーションが完成した直後、全社会議の「グッドモーニング!コンセント(通称:グッドモ)」で、渡邊さんが完成したオフィスをライブ中継で紹介しましたよね。自分がそこにいるような感覚を味わえたことがとても良かったですし、楽しかったです。
渡邊 当時、スマホをもって「浅草の雷門です」といった形で代わりに旅をしてくれる旅行のライブ中継が流行していたんですよね。具体的にそのサービスを想像したわけではなかったのですが、物理空間をどう伝えたらおもしろいか、という観点でライブ中継を選びました。
先ほど話したYouTubeコンテンツも含め、動画ではメディアの特性もあってちょっとした驚きをもって伝えることができます。流れで見せていくときに、たとえばポチっと手元で操作するとオフィスの電気の色が変わるという仕掛けも見せやすい。そういったところはライブ感を意識しながら伝えようとしました。
芳賀(聞き手) ライブ感が大切だと。
渡邊 「空間を伝えるにはやっぱりライブだろう」と思っていて。1枚の写真で「どうだ!」とかっこよく見せることももちろん可能ですが、オンライン会議が中心になってくると、細かい機微が伝えにくい。そうした機微や空気感は、動画で流れを見せることで伝わるかなと考えました。削ぎ落とすのではなく、情報量を増やしたかったんです。