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DockerコンテナのASP.NET Core環境で、ActiveReports for .NETを使った帳票アプリを作る

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ActiveReports for .NETをインストールする

 ASP.NET Coreプロジェクトの基本的な準備ができたら、次に、ActiveReports for .NETを構成していきます。

ActiveReports for .NETの入手とインストール

 ActiveReports for .NETは、グレープシティ社のWebページから購入、もしくはトライアル版を入手できます。ActiveReportsのインストーラを入手したら、実行してインストールします。

図8 ActiveReports for .NETのインストール
図8 ActiveReports for .NETのインストール

ActiveReports for .NETの組み込み

 ActiveReports for .NETを、プロジェクトに組み込みます。「NuGetパッケージマネージャ」から操作します。まず、[ソリューションエクスプローラ]で、プロジェクトを右クリックし、[NuGetパッケージの管理]を選択します。

 NuGetパッケージマネージャが起動したら、「GrapeCity.ActiveReports.Aspnetcore.Viewer.ja」を検索してインストールします。

図9 「GrapeCity.ActiveReports.Aspnetcore.Viewer.ja」をインストールする
図9 「GrapeCity.ActiveReports.Aspnetcore.Viewer.ja」をインストールする

レポートサービスの組み込み

 以上で、ActiveReports for .NETの準備ができました。次に、ASP.NET Coreミドルウェアとして、レポートサービスを組み込みます。そのためには、Program.csをリスト1のように変更します。変更点は、2カ所あります。

  • ①冒頭にusingでActiveReports for .NETのコンポーネントを読み込む
  • ②app.UsingReportingを実行して、レポートサービスを組み込む

 ②の処理では、UseFileStoreメソッドを使って、レポートファイルを置く場所を指定します。ここでは「Path.Combine(app.Environment.ContentRootPath + "Reports")」として、コンテンツルート(プロジェクトのフォルダ)の下のReportsフォルダとしました。以降では、このフォルダにレポートファイルを作っていきます。

リスト1 Program.cs
// ①ActiveReports for .NETのコンポーネントを読み込む
using GrapeCity.ActiveReports.Aspnetcore.Viewer;
// ①ここまで

var builder = WebApplication.CreateBuilder(args);

// Add services to the container.
builder.Services.AddRazorPages();

var app = builder.Build();

// Configure the HTTP request pipeline.
if (!app.Environment.IsDevelopment())
{
    app.UseExceptionHandler("/Error");
}
app.UseStaticFiles();

// ②レポートサービスを組み込む
app.UseReporting(settings =>
{
    settings.UseFileStore(new System.IO.DirectoryInfo(Path.Combine(app.Environment.ContentRootPath + "Reports")));
    settings.UseCompression = true;
});
// ②ここまで

app.UseRouting();

app.UseAuthorization();

app.MapRazorPages();

app.Run();

レポートファイルの作成とデータソースの設定

 ここまでの操作で、コンテンツルート配下のReportsフォルダにレポートファイルを置けば、クライアント側から、そのレポートを参照できるようになります。

レポートファイルの作成

 まずは、ソリューションエクスプローラでコンテンツルート(プロジェクトのフォルダ)の配下に、Reportsフォルダを作ります。そしてそのフォルダを右クリックし、[追加]―[新しい項目]をクリックします。

図10 Reports以下に新しい項目を追加する
図10 Reports以下に新しい項目を追加する

 ActiveReports for .NETがインストール済みであれば、[.NET Core]―[Reporting]から、ActiveReportsの各種レポートファイルを作成できます。次の4種類があります。

ページレポート(XML)

 ページ単位でレイアウトする方式です。デザイナ画面上で、表示したい要素をコントロールとして配置することでレイアウトを設計します。配列やテーブルなどデータ数に応じて行数が変わるときは、そこにTableコントロールやListコントロールなどのデータ領域を配置しておきます。設計時のときと同じ場所に表示されるため、あらかじめ決まった場所・決まった寸法で出力したいときに適します。

セクションレポート(XML)

 帳票の上部のヘッダー、下部のヘッダー、そして中央の詳細の部分からなり、詳細の部分には、配列やテーブルなどが展開され、必要に応じて改ページしながら構成される形式です。データに応じて、適宜、改ページしたい帳票を作りたいときに適します。

セクションレポート(コード)

 セクションレポート(XML)と同じレイアウト構成の形式ですが、レイアウト情報をテキスト(XML形式)ではなく、.NETのクラスとして記述する形式です。

RDLレポート

 レイアウト時に、用紙のサイズを固定しない方式です。ユーザーが選んだ用紙に応じて、「1枚にすべてを入れる」(縮小して全データを1枚に納める)「特定の幅にすべてを入れる」(レシートなど幅は一定だが長さは任意でよい用紙に印刷する)など、可変レイアウトの帳票を作れます。

 今回は、「ページレポート」を作ります。ファイル名は任意でよいですが、ここでは「PageReport.rdlx」として作成します。

図11 ページレポートとしてPageReport.rdlxを作る
図11 ページレポートとしてPageReport.rdlxを作る

 作成すると、デザイナ画面が表示され、データソースを尋ねられます。ActiveReports for .NETは、SQL ServerやODBC、OleDBなどのデータベース接続のほか、CSV形式やJSON形式データをデータソースとして扱うことができます。

 帳票に表示するデータは、このあとすぐに作るので、いったん[キャンセル]をクリックして、データソースの設定をキャンセルしておいてください。

図12 データソースの設定
図12 データソースの設定

データソースの準備

 ひとまずキャンセルしたところで、このレポートで出力するデータを用意しましょう。ここでは、次のようなCSVデータを用意することにします。このデータは、サンプルファイルからダウンロードできます。文字コードは「UTF-8」、改行コードは「CRLF」としています。

商品名,価格,在庫数,カテゴリ
冷蔵庫A,54800,10,家電
テレビB,39800,25,家電
おもちゃC,2980,5,おもちゃ&ゲーム
エアコンA,72800,2,家電
スキンケアE,1980,15,美容&健康
・・・以下略・・・

 このファイルをExampledata.csvとして、Reportsフォルダの下に配置します。

図13 Exampledata.csvを配置する
図13 Exampledata.csvを配置する

ChatGPTによるCSV生成

 今回のサンプルCSVデータは、いま流行の「ChatGPT」で生成しました。筆者の環境では、「CSV区切りの製品データを50件作ってください」とChatGPTに聞くと、次のように50件の英語のCSVデータが作られました。

以下に、ランダムに生成された50件のCSV区切りの製品データを示します。各製品には、製品名、価格、在庫数、およびカテゴリが含まれています。

Product Name,Price,Inventory,Category
Product 1,24.99,10,Electronics
Product 2,9.99,25,Home & Kitchen
Product 3,49.99,5,Toys & Games
・・・略・・・

 続いて「日本語でお願いします」と聞くと、翻訳されたものが出てきました。

以下に、ランダムに生成された50件のCSV区切りの製品データを日本語で示します。各製品には、製品名、価格、在庫数、およびカテゴリが含まれています。

商品名,価格,在庫数,カテゴリ
商品1,1980,10,家電
商品2,980,25,ホーム&キッチン
商品3,4980,5,おもちゃ&ゲーム
・・・略・・・

 続いて、「商品を冷蔵庫、テレビ、エアコンなどの具体的な商品名にしてください」のように聞くことで、「商品1」「商品2」などが「冷蔵庫」や「テレビ」など、具体的な商品名になりました。

商品名,価格,在庫数,カテゴリ
冷蔵庫A,54800,10,家電
テレビB,39800,25,家電
おもちゃC,2980,5,おもちゃ&ゲーム
エアコンA,72800,2,家電
スキンケアE,1980,15,美容&健康
・・・略・・・

データソースの設定

 次にこのCSVファイルを、レポートのデータソースとして設定します。レポートは、「レポートエクスプローラ」から操作・設定します。[表示]メニューから[その他のウィンドウ]―[ActiveReports 16.0J レポートエクスプローラ]を選択すると、レポートエクスプローラを開けます。

 レポートエクスプローラを開いたら、[データソース]を右クリックし、[データソースの追加]を選択します。

図14 [データソースの追加]を選択する
図14 [データソースの追加]を選択する

 すると、先ほどキャンセルした画面が表示されるので、[種類]として[Csv Provider]を選択します。そして[接続文字列]の右側の鉛筆のアイコンをクリックします。

図15 [Csv Provider]を選択する
図15 [Csv Provider]を選択する

 開いた[CSVデータソースの設定]の画面で、CSVファイルや文字コード、列などを選択します。まずは、[パス]の部分に「Exampledata.csv」と入力して、Reportsフォルダに置いた「Exampledata.csv」を開きます。すると次のように、プレビューが表示されます。

 ここでは、相対パスで入力するのが重要です。絶対パスで入力すると、開発時にはうまく表示されても、ビルドして実行すると、CSVファイルが見つからないという旨のエラーが発生します。

図16 Exampledata.csvを開く
図16 Exampledata.csvを開く

 [列]の部分に、このCSVファイルから取り出したい列名とデータ型を定義していきます。[プレビューから取得]をクリックすると、次のように、自動で取り込めます。

図17 プレビューから取得する
図17 プレビューから取得する

 「価格」と「在庫数」は、String(文字列型)ではなく、数値型のほうがよいので、それぞれ「Decimal型」「Integer型」に変更し、[OK]をクリックします。

図18 「価格」と「在庫数」のデータ型を変更しておく
図18 「価格」と「在庫数」のデータ型を変更しておく

 これで設定完了です。図19のように、設定した内容が[接続文字列]として構成されるので、[OK]をクリックします。

図19 接続文字列として構成された
図19 接続文字列として構成された

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この記事の著者

大澤 文孝(オオサワ フミタカ)

テクニカル・ライター、プログラマ/システムエンジニア。情報セキュリティスペシャリスト、ネットワークスペシャリスト。入門書からプログラミングの専門書まで幅広く執筆。   主な著作として、「Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築(共著)」(...

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