決済サービスが多様化したことで発生した課題とは?
まず、今回のPGマルチペイメントサービスのメジャーアップデートでは、多様化する決済サービスに対して日本でECを行う事業者が抱える課題に応えることを目指して、プロジェクトが遂行された。特に以下2点の大きな課題があった。
- どの決済サービスを導入すればよいのか選ぶのが難しい
- 決済サービスを導入するのに約1か月工数がかかる
これに対し、新接続方式「OpenAPI タイプ」は、導入工数を10分の1に削減、決済サービスを手軽に導入できる環境を実現した。事業者は、試験的な導入も可能になったことから、決済サービスの選択がこれまでよりも容易になった。鈴木氏は「決済サービス選びはABテストの時代に入った」という。
ECサイトだけでなく決済のインフラを支えるGMOペイメントゲートウェイ
経済産業省が2022年8月に発表した「電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、2021年の日本国内のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は20.7兆円(前年比7.35%増)、EC化率(物販系分野での商取引市場規模に対する、電子商取引市場規模の割合)は8.78%(前年比0.7ポイント増)、いずれも増加傾向にある。国はさらに高い目標を掲げており、決済のオンライン化やキャッシュレス化はこれからも成長が見込まれる領域だ。
近年では(コロナ禍の影響もあり)日常生活でECサイトやアプリからオンライン決済やキャッシュレス決済を経験する機会が増えているのではないだろうか。GMOペイメントゲートウェイ システム本部 決済サービス統括部長 鈴木隆志氏は「2012年と直近を比べると、日本のEC化率は約3倍近くに伸びています。実際に我々の決済プラットフォームで扱う規模や流量で見ても毎年着実に伸びているのを肌で感じます」と言う。
GMOペイメントゲートウェイは決済業界のリーディングカンパニーであり、さまざまな業界・業種、規模の事業者に対して適した決済を軸としたサービスを世に送り出してきた。オンライン決済関連のサービスには、後述するPGマルチペイメントサービスやセキュリティソリューションが潤沢にそろっている。
他にも同社が提供しているサービスには、金融機関や事業会社向けBaaS支援サービスや事業者のキャッシュフローを改善する金融関連サービスなどがある。またグループ会社では、決済サービスの後払い(BNPL)や対面決済など、決済にかかわるサービスは多岐にわたる。
同社のビジネス成長は目を見張る。2005年の上場(東証マザーズ)以来、17期連続で増収増益を続けている。それも加速度的にだ。GMOインターネットグループにジョインした2004年と2022年で事業規模を比較すると、稼働店舗数は6837店舗から14万2396店舗へ、決済処理件数は3700万件から48.6億件へ、年間の決済処理金額は1200億円から11.3兆円へと急伸している。(連結数値)
これほどまでの成長を支え、同社の強みとなっているのが営業力、開発力、サポート力である。営業は業界ごとに特化した体制でオプションを含めたソリューションを提案しており、開発は高品質かつセキュアなシステムを内製化できるほどの技術力があり、カスタマーサポートは外部認証機関から高い評価を得ている。鈴木氏は「多くの事業者さまに年間10兆円を超える決済をご利用いただいていますので、安全なプラットフォームを作ることに使命を感じています」と話す。
なお、鈴木氏が入社したのは2012年。入社当時を振り返り「まだFinTechやキャッシュレスという言葉が日常的ではないなか、現金を持ち歩かない生活スタイルに未来を感じていました。当時はSIerのアプリケーションエンジニアでしたが、GMOペイメントゲートウェイのビジネスモデルと働いている人たちの人柄に魅力を感じ、転職を決断しました」と話す。