新トレンド2:ノーコード型SaaSの登場
2つ目のトレンドは、プログラミングスキルが不要なノーコード型SaaSの登場です。
製品によっては「ローコード」と呼ぶこともありますが、実態としてそこまで明確に線引きされていないことが多いので、ここでは「ノーコード」に統一します。
コード型のツールはエンジニアにとって多くのメリットがある一方で、テスト担当者、特にプログラミングスキルを持たないテスト担当者には利用が難しいものでした。また、テスト環境のメンテナンスや、作ったテストのメンテナンスをするコストが高いこともこうしたツールの課題でした。
2018年頃から、当時ディープラーニングが新しいAI技術として注目されていたこともあり、このAIの波に乗って、これまでの課題を解決した新しい商用ツールが登場してきました。その中でも日本で広く利用されているものに、ウェブサイトとモバイルアプリ両方のテストに強い「MagicPod」、パフォーマンス・アクセシビリティなどウェブサイトのあらゆる品質を可視化する豊富な機能ラインナップの「mabl」、高いUXで低学習コストと効率的なテスト作成を実現する「Autify」があります。
| MagicPod | mabl | Autify | |
|---|---|---|---|
| 公開年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
| 対応プラットフォーム | ウェブ モバイルアプリ | ウェブ | ウェブ モバイルアプリ |
| 価格 | 月額39,800円から | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
| 利用言語 | 日本語・英語 | 日本語・英語 | 日本語・英語 |
「プログラミング不要」をうたうツールは従来もありましたが、紹介したこれらのツールは、従来と比べて以下の点でより使いやすいものになっており、それが多くのユーザーに支持される理由となっています。
- 初心者でも使いやすいUI/UX
- セットアップやメンテナンスが容易なクラウドのテスト実行環境
- テストスクリプトのメンテナンスコストを大きく削減する、AIによる自動修復機能
- ユーザー数・インストール数課金ではなく、チームで活用しやすいテスト作成数や実行回数をベースにした課金体系
テスト自動化のマーケットは今後も拡大し続けると予想されており、こうした流れの中で今後も様々なツールが登場してくることが予想されます。
以下に各ツールの特徴を簡単にまとめました。こちらも検索エンジンを使えば様々な比較記事や利用ユーザーの記事が見つかります。
MagicPod
MagicPodは、2017年にリリースされた日本発のクラウドサービスです。「ウェブ・モバイルアプリテストの両方に強い」「テストをどれだけ実行しても料金が定額」などの点が支持され利用が広がっています。
ノーコードツールに多い「操作を自動で記録する方式」とは少し異なり、「画面からリアルタイムで要素を選んでいく」ことでテストが簡単に作成できます。自動記録と比べ頭を使いながらテストを作っていく必要がありますが、その分作ったテストのメンテナンスがしやすい利点があります。
また、Web API呼び出しなど複雑な処理をノーコードで記述したり、ビジュアルリグレッションテストも可能だったりと、機能も豊富です。
mabl
mablは、2018年にリリースされたアメリカ発のクラウドサービスです。2021年には日本にも営業拠点ができました。
E2Eテストを簡単に作成・実行できるのはもちろんのこと、テスト実行の際にページ内で発生したエラーの情報やパフォーマンス情報・アクセシビリティ上の問題など、品質に関する幅広いインサイトを得ることができます。
また、ビジュアルリグレッションテスト・APIテスト・メールテスト・PDFテスト・カバレッジ測定・エラー原因究明のためのデバッグ機能等、とにかく高機能な点がユーザーに支持されています。
今後モバイルアプリテストに対応する計画もあるようです。
Autify
Autifyは、2019年にリリースされたクラウドサービスで、本社はアメリカですが、日本にも開発拠点があり創業者も日本人です。
他のツールにも増してUI/UXにこだわっており、初心者でも非常に簡単に使い方を習得でき、すばやくテストが作成できるようになるのが最大の強みで、この点が多くのユーザーに支持されています。
ウェブテストとモバイルアプリテストの両方に対応していますが特にウェブテストに強みがあり、使いやすさに加えJavaScript実行・ビジュアルリグレッションテスト・直感的なメールテストなど機能も豊富です。
まとめ
E2Eテスト自動化ツールを取り巻く新しい2つのトレンドについてご紹介しました。
オープンソースのコード型ツールは、複雑な処理が記述できる、高度な共通化による柔軟なメンテナンスが可能、GitHubや開発用のIDEなどエンジニアが使い慣れたツールとの親和性が高い、特定の企業にロックインされにくい、などの多くのメリットがあります。
一方、ノーコード型のツールも、利用料金はかかりますが、プログラミング不要で簡単にテストが作成できる、クラウド型で環境のメンテナンスが不要、自動修復でテストのメンテナンスコストを軽減できる、など多くのメリットがあります。
どちらが正解かは状況によって変わりますし、実際に両方のツールを併用している会社もたくさんあります。チームメンバーのスキルや会社にとって重要なことは何かを踏まえた上で、最適なツールを選択しましょう。
