CloudNative Days:五感に訴える参加者体験の提供
続いてCloudNative Daysの岡本泰典氏は、イベント会場で参加者体験の充実を図るための取り組みを紹介した。
CloudNative Daysは、その前身を含めると2018年から活動しているクラウドネイティブ技術の普及を目指すコミュニティであり、その主催するカンファレンスの名称でもある。CloudNative Daysの特徴として岡本氏は、実行委員会によるコンテンツ企画に加えて、ハイブリッド開催に対応したイベントシステムや配信基盤を独自に開発していることを紹介した。
実行委員会が考案するさまざまな企画は、参加者体験の充実を図っている。例えば「CloudNative Days Tokyo 2023」では、実行委員会が自ら開発したハンズオンを通じて、参加者は実際に手を動かしながらクラウドネイティブ技術を体験することができた。また、交流スペース「ゆるカフェ」には、バリスタによるコーヒー提供や、会話のきっかけとなるボードゲームを設置するなど、初めて会う人同士がくつろぎながら仲良くなれる仕掛けが盛り込まれていた。この他にも、「ステッカーを貼れる御朱印帳」「SNS映えするフォトブース」「ディスカッションボード」「コミュニティLT」「懇親会」など、交流のきっかけとなるさまざまな企画がコミュニティの力で実現されたと語った。
オフライン開催を再開して以来、CloudNative Daysの現地参加者の数は着実に増え続けている。その理由として、岡本氏は、コロナ禍が明けて五感を刺激する多彩な体験に飢えているのではないかと推測した。非言語コミュニケーションやリアルタイムな反応といった感覚的な体験の豊かさは、人が本能的に求めるものだ。だからこそ、オフラインイベントではセッションだけでなく、人との交流や体験も大事にしてほしいと岡本氏は述べた。
次回のCloudNative Days Summer 2024は6月15日(土)に札幌コンベンションセンターで開催予定だ。
PyCon JP:世界に広がるエンジニア仲間の輪
続くPyCon JP Associationの寺田学氏は、グローバルなコミュニティ活動で得られたものについて語った。
2023年、コロナ禍後では初のオフライン開催となるPyCon APAC(アジア太平洋地域)が行われた。日本での開催は10年ぶり2回目で、海外からは約150名が参加した。寺田氏によれば、これほど多くの海外参加者を迎えるのは、日本で開催されるカンファレンスとしては珍しいそうだ。
寺田氏は、「日本でPyConを続けていく上で意識したのは、日本語ができなくてもイベントを楽しめるように設計すること」と語る。PyConはグローバルなコミュニティであり、カンファレンスに合わせて世界各地を旅行したいと考える参加者が多くいる。そのためPyCon JP(日本で開催するPyCon)でも、英語セッション枠や英語アナウンス、また運営メンバーが英語でのコミュニケーションにチャレンジするなど、多言語での対応を続けた。さらにPyCon USでは、APAC合同でブースを出したり、英語でのLTに挑戦したりするなど、海外向けの情報発信にも力を入れたそうだ。これらの取り組みの結果として、日本開催の「PyCon APAC 2023」では多くの海外からの参加者に喜んでもらうことができた。
「英語が苦手でも体当たりでコミュニケーションを続けると、エンジニアの友人が世界中にたくさんできた。海外コミュニティに飛び込んでみると、新しい発見がある」(寺田氏)
「PyCon APAC 2024」はインドネシアで10月25日(金)から開催される。また「PyCon JP 2024」は、9月27日(金)~29日(日)にTOC有明コンベンションホールで開催を予定しているという。