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Developers Summit 2024 セッションレポート

開発現場から空の旅の安全へ挑戦──ANAシステムズに聞く「アサーション」の極意

【15-C-1】我々はなぜアサーションするのか~現場に寄り添うANA DXの取り組み~

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 ANAグループ社員が使用するシステムやモバイルアプリをはじめ、ANAの業務に関するさまざまな開発を担っているANAシステムズ。現場に寄り添うDXの取り組みとして、「アサーション」の考えを実践しているという。ANAシステムズ株式会社 室木梨沙氏ならびに渡辺亮介氏、株式会社永和システムマネジメント 橋本憲洋氏の3名が、アサーションの考え方や具体的な実践方法について語った。

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案件によって関わる部署が変わるANAのアジャイル開発、そのポイントとは?

 「ユーザーのビジネスパートナーとなれるチーム」を目指しているANAシステムズ。現在、同社は永和システムマネジメントとのスクラムチームでアジャイル開発を行なっている。室木氏は、システム開発を通じて「ユーザーの業務環境を根本的に変えることをめざしている」と語る。

ANAシステムズ株式会社 デジタル・イノベーション部 室木梨沙氏
ANAシステムズ株式会社 デジタル・イノベーション部 室木梨沙氏

 同社のチーム開発は、複数の案件を担当しながらリモートで開発を行う体制だ。開発するシステムによって関わる部署や対象となるユーザーが変わる環境のなか、各チームでは以下の3点を大事にしていると示した。

1.ユーザーとの共創

 各部署とは案件ごとに1から関係構築を行うためプロジェクトの初めに、チームでアジャイル開発の勉強会や、10個の質問からプロダクトへの認識を共有する「インセプションデッキ」を用いたワークを行う。こうした取り組みを通じてチーム内で密なコミュニケーションを取り、「なぜその機能が欲しいのか」といったユーザーニーズの理解や方向性のすり合わせを進めるのだ。

 「時には現場の空気を肌で感じるために、空港を見学することもある」と語る室木氏。「ユーザーに寄り添うことも大事だが、システムを使う側と作る側が意見を出し合って共に作り上げることを大切にしている」と話した。

2.チーム全体での共有・フォロー

 「全員が開発に関連する全てのことを知っている状態」で開発を進めるのも重要なポイントだ。たとえばユーザーからのフィードバックで難題が出た場合、どう改善したらよいかを徹底してチーム全員で話しあう。

 室木氏はこうした意識をチーム全体で共有することについて、「1人1人の得意・不得意に真摯に向き合いつつ、チーム全体でのレベルアップを図ることで、各メンバーが責任感を持って仕事に貢献してくれる」と語った。

3.リスペクトに立脚したコミュニケーション

 さらに、室木氏は日々のコミュニケーションにおいて「相手へのリスペクト」も重要だと示した。ユーザーへの理解がないまま中途半端に開発を進めれば、問題が膨らみ修正にさらに工数がかかる。作り手と使い手の相互理解が得られるまで話し合うことで、このようなリスクを軽減するのだ。室木氏は「相手に共感せずに進めると、開発の手が止まることもある」とし、メンバー間で共感することが大事だと説明した。

 同社では、これらの3点を重視して普段の業務を進め、「メンバー同士で開発以外のプライベートなこともよく話をする」というオープンマインドな環境を整えてきた。上下関係や会社の垣根を作らず、それぞれの立場から相互に深く関わり合うことで、より良いアイディアや解決策を生み出す。これこそが、ANAの実践する「アサーション」文化の土壌になっているのだと強調した。

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航空業界発「アサーション」とは?──空の旅の安全意識は、組織の文化から

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この記事の著者

中島 佑馬(ナカシマ ユウマ)

 立命館大学卒業後、日刊工業新聞社にて経済記者として勤務。その後テクニカルライターを経て、2021年にフリーランスライターとして独立。Webメディアを中心に活動しており、広くビジネス領域での取材記事やニュース記事、SEO記事の作成などを行う。

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川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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https://codezine.jp/article/detail/19227 2024/06/07 11:00

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