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一歩進んだAndroidアプリ開発ができる「Android Jetpack」入門

大量データを効率よく表示できる「ページングライブラリ」を解説

一歩進んだAndroidアプリ開発ができる「Android Jetpack」入門 第12回

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 本連載は、「Android Studio2で始めるアプリ開発入門」連載、および『Androidアプリ開発の教科書』の続編にあたる内容として、Jetpackを取り上げていきます。第9回から前回までは、バックグラウンド処理を管理できるWorkManagerを3回にわたって紹介しました。今回はテーマを変え、大量のデータを効率よく表示できるページングライブラリを解説します。

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ページングライブラリの使い方を概観

 本連載は、Android Jetpackを紹介しています。今回は、大量のデータを効率よく扱えるページングライブラリを解説します。本節ではまず、ページングライブラリの使い方を概観しておきましょう。

 なお、今回のサンプルデータは、GitHubから参照できます。

ページングライブラリの登場クラス

 RecyclerViewを利用して、画面にデータをリスト表示させることを考えます。図1はその一例として、電話番号とその電話番号の管理IDを表示させるリスト画面です。

図1: 電話番号とそのIDをリスト表示するアプリ
図1:電話番号とそのIDをリスト表示するアプリ

 その際、表示データが数十件ならば、あらかじめ全データをアダプタにセットしてしまっても問題ありません。しかし、データ件数が数百件となると、パフォーマンスの問題が生じてきます。その場合は、あらかじめ最初の数十件だけをアダプタが保持している状態として、ユーザがスクロールしていくのに応じて、追加でデータを読み込むのが現実的な処理と言えます。つまり、ページングです。

 こういったページング機能を簡単に実現できるように、Androidにはページングライブラリが用意されています。このライブラリを利用する場合、コーディングの段階で図2のオブジェクトが登場します。

図2:ページングライブラリの登場オブジェクト
図2:ページングライブラリの登場オブジェクト

 これらの登場オブジェクトを簡単にまとめると、表1の通りです。

表1:図2中のページングライブラリの登場オブジェクト
クラス名 内容 生成箇所
PagingSource リストデータをページに分割し、その制御を行うオブジェクト リポジトリ
PagingConfig ページ分割に関する設定情報を保持したオブジェクト ViewModel
Pager PagingSourceとPagingConfigをもとにPagingDataを生成し、リアクティブデータを実現するオブジェクト ViewModel
PagingData Pagerによって生成されるFlowオブジェクトの構成要素となるオブジェクト ViewModel
DiffUtil.ItemCallback 2種のアイテム間の差異を調べるオブジェクト アクティビティなど
PagingDataAdapter ページングライブラリを利用する際のRecyclerViewのアダプタオブジェクト アクティビティなど

 表1(図2)のクラスの他に、リストデータ1件分(アイテム)を表すエンティティ、RecyclerViewで利用するビューバインダが必要です。

ページングライブラリの利用準備

 次節以降、表1のオブジェクトのコーディング方法を紹介していきますが、そもそもページングライブラリを利用したプロジェクトの場合は、あらかじめその設定を行っておく必要があります。これは、build.gradle.kts(:app)ファイルのdependenciesブロックへの、リスト1の(1)のコードの追記です。なお、pagingVersionのバージョン番号は、原稿執筆時点での番号です。最新バージョンに関しては、こちらのページを参照してください。

 また、リスト表示させるデータをデータベースから取得する場合、ページングライブラリでは、Roomの利用を前提としています。その場合は、連載第2回で紹介したRoomを利用するためのライブラリ依存関係の追記とともに(2)のライブラリも必要です。次節以降で紹介するサンプルではRoomを利用していきますので、(2)のライブラリは必要です。

[リスト1]build.gradle.kts(:app)へのページングライブラリを利用する設定
val pagingVersion = "3.3.2"  // (1)
implementation("androidx.paging:paging-runtime:$pagingVersion")  // (1)
implementation("androidx.room:room-paging:$roomVersion")  // (2)

次のページ
ページングライブラリの登場オブジェクトのコーディングパターン

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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