キャリアの転機は人がもたらす
他方、岩成氏の経歴はというと、2017年にグーグル・クラウド・ジャパンに入る前は、新卒で入社したSIerにて、開発者向けツールの開発や開発プロセスに関連するR&Dに携わっていた。
約13年の社会人歴の中で1回しか転職していないというのは、一見シンプルなキャリアのように思える。しかし、実はこの中で、2〜3年ごとに部署を変えたり、副業として書籍の執筆や外部向けの研修講師を務めたりするなど、転職とは異なる形で新たなチャレンジを重ねてきたという。「一緒に働く人、領域、環境を変えるなど、何かしらを変えなければ学習曲線がどうしても“サチッて”きてしまう」と岩成氏は語り、働く環境に変化をもたらす重要性を説いた。
そんな岩成氏がグーグル・クラウド・ジャパンに転職したきっかけは、グーグル・クラウドに転職していた先輩との会話だった。「前職では、アジャイルやCI/CDの技術支援・研究開発をしており、クラウドを使う機会があった。そのタイミングで先輩からグーグル・クラウドの仕事や働く環境について話を聞く機会があり、ご縁があって東京リージョンができた翌年に転職することになった」。
このようなきっかけを掴むには、イベントのような場で社外の人とつながったり、新しい技術トレンドに触れておくなど、外に目を向けることが大切だという。「やりたいことがあるなら、とにかく『やってみたい』と周りに伝えておくことがチャンスにつながる。キャリアチェンジやキャリアシフトの機会は、人からもたらされることが多いはず」と語る岩成氏。
そのような種まきに加え、日頃の仕事を通じて、一緒に仕事をしたいと思ってもらえる人を増やしておく重要性にも言及した。「スタートアップでリファラル採用が多いのは、どんなにハイパフォーマーであっても、ゼロから信頼関係のあるチームを築くのは時間がかかってしまうからではないかと思う。日常の業務の中で、自身のスキルを向上させるだけでなく、仕事に対して誠実に取り組むことで、自分が困ったときに助けてもらえたり、逆に相手が困ったときにはあなたの顔が浮かぶようになる。そんな人を増やしておくことが、結果的に新たなキャリアにつながることもあるかもしれない」。