初期データの用意
Livewire利用の基本を紹介したところで、もう少し話を進めていきます。
初期データの用意はmount()メソッドを利用
次に表示させたい画面として、図5のようなカクテルリスト画面を考えます。

前節で紹介した画面で表示させている変数($name)は、コンポーネントクラスで用意した固定値でした。一方、図5のカクテルリストは、画面表示時に用意するような可変のものとします。そのようなデータを用意する場合、コンポーネントクラスでは、mount()メソッドに定義します。例えば、図5のカクテルリスト画面のコンポーネントクラスをCocktailListとするならば、リスト6の内容となります。
<?php namespace App\Livewire; use Livewire\Component; class CocktailList extends Component { public array $listData = []; // (1) public function mount() // (2) { $this->listData[33456] = "ホワイトレディー"; // (3) : } public function render() { return view("livewire.cocktail-list"); } }
リスト6の(1)のように空の配列を用意し、(2)のようにmount()メソッドを定義し、その中で(3)のように配列の中にデータを格納していきます。(3)ではデータをハードコーディングしていますが、もちろん、データベースからデータを取得するなど、さまざまなコーディングが可能です。
ループ表示にはwire:keyが必要
コンポーネントビューファイルでは、このようにして用意されたリストデータの$listDataをループさせて表示させていきます。これは、リスト7のコードとなります。
<div> <h1>カクテルリスト</h1> <ul> @foreach($listData as $id => $cocktailName) <li wire:key="{{$id}}"> // (1) <a href="/cocktailDetail/{{$id}}">{{$cocktailName}}</a> // (2) </li> @endforeach </ul> </div>
リスト7は、これまで通りBlade記述そのものです。ただし一点注意が必要です。コンポーネントビュー内でリストデータをループ表示させる場合、(1)にあるように、wire:key属性を定義し、その値として各リストデータを区別できるものを指定する必要があります。リスト7では、各カクテルを区別するIDの値を利用しています。
ルートパラメータの扱い
リスト7の(2)を見ると、各カクテルのリンクパスにIDの値が埋め込まれています。これは、ルートパラメータそのものです。
ルートパラメータの取得はmount()の引数
Livewireコンポーネントでは、もちろんルートパラメータを扱えます。その際、mount()メソッドの引数として利用します。例えば、図5のリストの最初の[ホワイトレディー]をクリックして表示される画面が、図6とします。そして、この画面のコンポーネントクラス名をCocktailDetailとします。すると、CocktailDetailクラスは、リスト8のようになります。

<?php namespace App\Livewire; use Livewire\Component; use App\Entities\Cocktail; class CocktailDetail extends Component { public Cocktail $cocktail; // (1) public function mount($id) // (2) { : $this->cocktail = new Cocktail($id, $listData[$id], 1200); // (3) } public function render() { return view("livewire.cocktail-detail"); } }
この画面を表示させるルーティング登録が、以下のようなコードだとすると、ルートパラメータは$idとなります。
Route::get("/cocktailDetail/{id}", CocktailDetail::class);
このルートパラメータを、リスト8の(2)のように、そのままmount()の引数とするだけで、自動的に値が渡ってきます。リスト8では、この$idの値を元に、各カクテルのデータを用意し、最終的にカクテルデータが格納されたCocktailインスタンスを(3)で生成し、それを(1)のようにプロパティとしています。
エンティティはWireableインターフェースを実装
ところで、(3)でインスタンス生成しているCocktailクラスは、独自のエンティティクラスです。Livewireでこのような独自のエンティティクラスを利用する場合は、Wireableインターフェースをimplementsし、このインターフェースに定義されたtoLivewire()メソッドとfromLivewire()メソッドを実装する必要があります。これは、例えば、リスト9のようなコードとなります。
<?php namespace App\Entities; use Livewire\Wireable; class Cocktail implements Wireable { private int $id; private string $name; private int $price; : public function toLivewire(): array // (1) { return [ "id" => $this->id, "name" => $this->name, "price" => $this->price ]; } public static function fromLivewire($value) // (2) { return new static($value["id"], $value["name"], $value["price"]); } }
リスト9の(1)にあるように、toLivewire()ではプロパティに保持しているデータを元にJSON形式の配列をリターンします。一方、(2)のように、fromLivewire()では、JSON形式の引数配列を元に、new static()構文を利用して、自身のインスタンスをリターンします。
まとめ
Laravelのフロントエンド的画面作成方法を紹介する連載の第1回目は、いかがでしたでしょうか。今回は初回ということで、本連載の趣旨を概観するとともに、Laravelに新たに導入されたスタータキットを使いLivewireプロジェクトを作成し、そのLivewireの基本的な使い方を紹介しました。
最初にお断りした通り、単にデータを表示させただけで、フロントエンド的な画面作成方法までは紹介できていません。次回は、Livewireをもう少し掘り下げ、その辺りを紹介します。具体的には、イベントの扱い方、データの双方向バインディングなどを紹介します。