「保証能力」を身に着けるには?
編:「保証」を言語化して組織に伝えるための具体的な実践方法を教えていただけますか?
馬場氏:はい。まず私が常に発信しているのは「努力と根性と執念」です。基本的にこれは必要不可欠。そのうえで、それを組織として実践していくための具体的なプラクティスとして「定点観測会」をおすすめしています。これは、チームとして定期的に集まり、ビジネス状況を含めた定点観測データを共有し、次の行動を決定する場です。これを続けていくことがチームメンバー全体の「保証能力」向上につながります。
この実践の根底にあるのがOODAループという考え方です。これは「観察(Observe)→判断(Orient)→意思決定(Decide)→行動(Act)」のサイクルを回すことで、状況に応じた迅速な行動を可能にします。ビジネスサイドにも浸透している考え方ですね。
編:そのサイクルを回すことが、個人の地力を養うことにもつながるわけですね。
馬場氏:はい。データをただ集めるだけでなく、それを観察して、意思を持って行動を決定する。このプロセスを何度も回すことが、経験値を積むことにつながります。
また「愚者は己の経験に学び、賢者は他者の経験からも学ぶ」という格言があるように、他人の情報から学び、行動に生かすことも重要です。自分の発言や行動を振り返るだけでなく、同僚や他部署の知見を積極的に取り入れることで、より早く成長できます。
編:最後に、技術力と事業貢献について、エンジニアにメッセージをお願いします。
馬場氏:「エンジニアなら何かを創ることが好きだし、それが仕事だ」という方は多いですが、個人的に「他人を支えるために何かを創る」ことが好きで、それを仕事にしている人もいると思います。
そして、そうした方ほど事業貢献に向いていると思います。事業貢献は「マーケットイン」つまり「他人の役に立つ」という視点から生まれる。まずは一番身近な同僚の役に立ち、次に同じ会社の他の部門の人、そしてユーザーへと役に立つ対象を広げていくと、結果的に事業貢献になります。技術はあくまで手段です。「自分じゃなくて相手のためにやる」ことが、エンジニアの存在価値になると思います。
身近な人の目の前の課題を解決していく。その小さな貢献の積み重ねが、やがて大きな事業貢献へとつながっていくでしょう。
