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一歩進んだAndroidアプリ開発ができる「Android Jetpack」入門

Hiltによる依存性注入(DI)の概要と基礎

一歩進んだAndroidアプリ開発ができる「Android Jetpack」入門 第17回

DIとは

 そこで登場するのが、依存性注入=DIという考え方です。これは、あるクラスで他のクラスのインスタンス生成を行う代わりに、自身のインスタンスが生成される際に、依存するはずのクラスのインスタンスを受け取る仕組みです。

 つまり、依存先クラスインスタンスが、後から注入=Injectionされるのです。前項の例ならば、ViewModelのインスタンスが生成される際に、リポジトリインスタンスを受け取るようにします(図3)。

図3:ViewModelではリポジトリインスタンスを後から受け取る
図3:ViewModelではリポジトリインスタンスを後から受け取る

 依存先インスタンスを後から受け取れるということは、実動作する場合と単体テストの場合、それぞれに別々のインスタンスを渡すことが可能となります。

 例えば、ViewModelに対して、実動作する場合は、実動作用の(本物の)リポジトリクラスインスタンスを渡します。一方で、単体テストの場合は、本物のリポジトリクラスに似せて作った偽物のリポジトリクラスを渡します。本物のリポジトリクラスがRoomを利用してデータベースのデータを利用するように作られているとしたら、偽物の方は、実際にRoomを利用するのではなく、常に同じ結果を返す、つまりデータをハードコーディングしてメソッドを作成します。

 こういったクラスを作成した上で、テスト時に利用することで、単体テストの精度が格段に向上します。こうした偽物のオブジェクトのことを、テストダブルといいます。

図4:実動作とテスト時で違うインスタンスを注入
図4:実動作とテスト時で違うインスタンスを注入

 なお、本稿は、誌面の都合上、単体テストの実装方法までは紹介できません。ご了承ください。

Android用のDIライブラリであるHilt

 こうしたDIの仕組みを独自に実装しようとすると、かなり骨が折れます。そこで、各言語、各アーキテクチャに合わせて、各種DIライブラリが提供されています。

 そのうち、Androidでは、Hiltを利用します。Hiltは標準ではプロジェクトに含まれていないため、プロジェクトに依存ライブラリの設定を行う必要があります。

 まず、build.gradle.kts(Project)ファイルのpluginsプロパティに、idを追加します。これは、Javaプロジェクトならばリスト1、Kotlinプロジェクトならばリスト2のコードとなります。なお、バージョン番号は、Hiltの原稿執筆時点での番号です。最新バージョン番号はDaggerのリポジトリで確認してください。実は、Hiltは、Googleが提供するDIライブラリDaggerを基盤としたライブラリとして提供されているのです。

[リスト1]build.gradle.kts(Project)へHiltを利用する設定(Java)
plugins {
  :
  id("com.google.dagger.hilt.android") version "2.57.2" apply false
}
[リスト2]build.gradle.kts(Project)へHiltを利用する設定(Koltin)
plugins {
  :
  id("com.google.dagger.hilt.android") version "2.57.2" apply false
  id("com.google.devtools.ksp") version "2.0.21-1.0.27" apply false
}

[NOTE]KSP

 build.gradle.kts(Project)への追記に関して、Kotlin版には、Java版にはない、kspプラグインがあります。このKSPは、Kotlin Symbol Processingの略です。Androidでは、JavaのアノテーションをKotlinでも利用できるようにしたツールとしてKAPT(Kotlin Annotation Processing Tool)というのがかつて利用されていましたが、このKAPTに代わるものとして現在利用されているのがKSPです。KSPは、KAPTに比べて高速で処理できるのが特徴です。

 次に、build.gradle.kts(Module)ファイルのpluginsプロパティにidを、dependenciesに依存関係を追記します。これは、Javaプロジェクトならばリスト3、Kotlinプロジェクトならばリスト4のコードとなります。build.gradle.kts(Project)同様に、バージョン番号は、Hiltの原稿執筆時点での番号です。

[リスト3]build.gradle.kts(Module)へHiltを利用する設定(Java)
plugins {
    :
  id("com.google.dagger.hilt.android")
}
android {
  :
}
dependencies {
  implementation("com.google.dagger:hilt-android:2.57.2")
  annotationProcessor("com.google.dagger:hilt-android-compiler:2.57.2")
    :
}
[リスト4]build.gradle.kts(Module)へHiltを利用する設定(Kotlin)
plugins {
    :
  id("com.google.devtools.ksp")
  id("com.google.dagger.hilt.android")
}
android {
  :
}
dependencies {
  implementation("com.google.dagger:hilt-android:2.57.2")
  ksp("com.google.dagger:hilt-android-compiler:2.57.2")
    :
}

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Hilt利用の基本

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 齊藤 新三(サイトウ シンゾウ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介>WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。Web系製作会社のシステム部門、SI会社を経てフリーランスとして独立。屋号はSarva(サルヴァ)。HAL大阪の非常勤講師を兼務。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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