「車輪の再発明からの卒業」Salesforce基盤が開発者にもたらす価値
では、そこに足を踏み入れた先に何が待っているのか。稲葉氏が真っ先に挙げたのがAgentforceだ。AIエージェントを実用レベルで動かすには、エージェントエンジンだけでなく、UI・データ基盤・セキュリティ・ログ管理・ビルダーなど多くの要素が必要だ。「UI、データ基盤、RAGの仕組み、そしてそれらを管理するためのビルダーも必要です。監査ログは、エンタープライズで使うのであれば絶対に必要になります。それらをまとめて提供しています」——それがAgentforceだと稲葉氏は説明する。
なかでも稲葉氏が強調したのが、AIエージェント時代のデータセキュリティ問題だ。エージェントを実務で使おうとすると、アクセスするユーザーの権限に応じてデータの見せ方を制御する必要が生じる。Salesforceはこの仕組みを元々の基盤として持っており、生成AIのために新たに作り出したものではない。
こうした基盤をゼロから作らずに済むことが、「車輪の再発明からの卒業」につながる。ユーザー管理・データアクセスコントロール・認証認可・セキュリティ管理・監査ログを一から実装する必要はない。稲葉氏はかつて、アクセスコントロールのマッピング表をJavaで一から実装しようとするプロジェクトに関わった経験を振り返る。「テストやメンテナンス、セキュリティ対応も求められます。考えるだけでも大変です」。車輪の再発明は開発者としての知識の血肉になる面もあると認めつつ、「ぜひAgentforceを選択肢に入れていただきたい」と訴えた。
一方、何でもSalesforceでやるべきという主張ではない。稲葉氏は武器の使い分けを説く。「Salesforceではない技術の方が実現しやすい場合もある」と稲葉氏は認める。ただし逆に言えば、難しくない課題に対して大きなリソースや時間を投じるのはもったいない。業務アプリ×生成AIという領域ではSalesforceが最適な選択肢になりうると整理した。
Salesforce開発者の「生息地」は多様だ。Salesforce自身には、顧客の導入・カスタマイズを直接支援するProfessional Servicesや、顧客の現場に深く入り込むForward Deployed Engineerといった職種がある。顧客企業でSalesforceを自社向けに内製開発するエンジニアも増えている。また、アプリストアのAppExchange/AgentExchangeに製品を出すISVパートナー、Salesforceを基盤として顧客のシステム構築を請け負うSIやコンサルティングのパートナーも活躍の場だ。一度どこかに入ったとしてもその後に別の場所へ移ることも珍しくなく、エコシステム内を行き来しながらキャリアを広げている人も多いと稲葉氏は語った。
最後に稲葉氏は学習環境を紹介した。無料のオンライン学習プラットフォーム「Trailhead」ではゲーム感覚でスキルを習得でき、無料の「Developer Edition」ではAgentforceを含む機能をすぐに試せる。
「Salesforceのエンジニアリングの世界に足を踏み入れてほしい」稲葉氏は会場にそう呼びかけた。その言葉の背景には、開発者の役割に対する確信がある。「課題解決力と、AI・データ・エンジニアリング、これを結びつけたような開発者になる。これが世の中における自分自身の価値を上げる一つにもなるのではないでしょうか」
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