CodeGear、オープンソース・ジャパン、ネットワーク応用通信研究所の3社は、Ruby/Ruby on Railsの普及に向けて業務提携すると発表した。
CodeGear、オープンソース・ジャパン(OSJ)、ネットワーク応用通信研究所(NaCl)の3社は、Ruby/Ruby on Rails普及に向けて業務提携すると発表し、都内で戦略説明会を行った。
冒頭、ネットワーク応用通信研究所フェローでRuby言語生みの親である、まつもとゆきひろ氏がRubyについて紹介するとともに、企業採用を見据えたRubyの将来について述べた。
Rubyは1993年から開発が始められたプログラミング言語で、PHPやPythonと同じスクリプト言語に分類される。動的型付け、簡潔な文法、オブジェクト指向などの特徴があり、テキスト処理やスクリプティング、Webアプリケーションなどが主な適用分野となる。
2004年にRuby向けWebアプリケーションフレームワーク「Ruby on Rails」が登場、海外のブロガーが「Javaよりも高い生産性を誇る」と紹介したことからブームが広がった。「特に海外でのRubyプログラマーは多く、Twitterなど大規模なシステムにも活用されている」(まつもと氏)。
Ruby on Railsの人気は日本でも広まり、逆輸入される形でRubyにも注目が集まった。まつもと氏は「今までプログラミング言語に関心のある人や、趣味で使う人がほとんどだったRubyがエンタープライズ向け、つまりビジネスとして活用される段階に入ってきている」と紹介、「現時点では、例えば銀行の基幹システムのようなものの構築にRubyは向かないが、短納期、少人数開発、省コストな案件であれば、Rubyの特徴を生かせると思う」と述べた。
開発現場で使われる際の問題点
しかし、実際のプロジェクトでRubyが使われるようになったことで、「良い開発環境はありませんか?」という質問が増えてきたという。Rubyはエディタを使ってコーディングすることもできるが、「Javaなどで、IDEを使った開発に慣れた人にとっては、エディタでの開発は少し酷だと思う」(まつもと氏)。また、「初心者とベテランで生産性に大きな差が出てしまう」「サポートがしっかりしている開発環境が欲しい」といったビジネス用途ならではの課題も発生してしまう。
こういった参入障壁に対応するため、NaClとOSJはこれまでRuby開発支援のビジネスを展開してきたが、CodeGear製のRuby/Ruby on Rails統合開発環境「3rdRail 1.1日本語版」のリリースにあわせ、今回、3社間でアライアンスを組むこととなった。
製品、ソリューション、テクノロジーの連携
3rdRail 1.1はEclipseをベースにしたIDEだが、Java関連の機能をすべてそぎ落とし、Ruby/Ruby on Railsに特化した製品となっている。コードアシスト機能や、CodeGearが開発した高速デバッガ、Ruby言語にマッチしたリファクタリング機能、コンソール開発機能、ウィザード開発機能などを搭載している。
3rdRailの開発、マーケティングはCodeGearが行い、販売やサポートはOSJが行う。そして、3rdRailを使ったRubyプログラミングトレーニングをNaClが行い、そこでの経験やRuby技術情報をCodeGearに提供し、IDE開発を支援していく。
Ruby on Railsは、カカクコムの食べログ.comや島根県CMSなど、企業から自治体まで多くの活用事例が報告され始めている。安定した商用版開発ツールを軸にRubyビジネスを支援していくことで、Ruby市場の拡大に対応していきたい考えだ。
3rdRailの標準価格は50,400円で、OSJによるメールサポートが付加されての販売となる。製品は買い切りだが、1年ごとにライセンスを更新することで、製品のアップグレードおよびメールサポートの期間延長が受けられる。販売開始は6月上旬だが、すでにCodeGearのWebサイトより体験版をダウンロードすることができる。
【関連リンク】
・CodeGear、オープンソース・ジャパン、ネットワーク応用通信研究所がRuby / Ruby on Railsの普及に向け業務提携
・3rdRail製品情報
・CodeGear
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・株式会社ネットワーク応用通信研究所
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