はじめに
前回では、コントローラについて、アクション定義に必要なアトリビュート、組み込みアクションなどについて紹介しました。他のWebアプリケーションフレームワークでは、URLとアクションを別ファイルによって結びつけているものもありますが、CatalystではアトリビュートによってURLとアクションを結びつけていることがご理解いただけたと思います。
本記事では、URLパスの一部を引数として受け取る方法、リクエストパラメータの取り扱い方などについて説明していきます。またCatalystはバグフィックスなども含めて頻繁にアップデートされていますので、最初にCatalystのアップデートについても説明します。
では、アクションで受け取ったリクエスト情報から、パラメータの取り扱い方、さらにUTF-8を使用した日本語文字列の扱いなどについて説明していきます。
対象読者
- Perlで簡単なスクリプトを作成したことのある方
- Webアプリケーションの基本的な仕組み(HTTPリクエスト、レスポンスなど)についての知識のある方
これまでの連載
- 初めてのCatalyst入門(1) PerlによるWebフレームワークCatalystとは?
- 初めてのCatalyst入門(2) Catalystアプリはどのように作るのか?
- 初めてのCatalyst入門(3) 処理の入り口はアクション
必要な環境
本連載で紹介するサンプルなどで実行している環境は次の通りです。
CentOS 5.3
- Perl 5.8.9
- Catalyst 5.80013
また、動作確認を行ったWindowsの環境は次の通りです。
Windows Vista
- ActivePerl 5.8.9 Build 826
- Catalyst 5.80011
Catalystのアップグレード
連絡開始時にはCatalyst::Runtime
のバージョンは、5.80007でしたが、4回目執筆時点での最新バージョンは、5.80013となっています。
ここで、Catalystおよび依存関係のあるモジュールのアップデートを行ってみましょう。なお、第1回目の記事で紹介したcatalyst.plコマンドの「-short
」オプションは、5.80013から廃止されました。
CPANを使用したアップグレード
動作確認環境であるCentOS上ではCPANを使用してアップグレードを行います。ここではCatalyst::Devel
とCatalyst::Runtime
の2つをアップグレードします。root
ユーザで次のコマンドを実行してください。
# perl -MCPAN -e 'upgrade Catalyst::Devel' # perl -MCPAN -e 'upgrade Catalyst::Runtime'
Perl Package Managerを使用したアップグレード
Windows環境ではActivePerlに付属するPerl Package Manager(PPM)を使用してアップグレードを行います。PPMを起動するには、Windowsのスタートメニューから[すべてのプログラム]-[ActivePerl 5.8.9 Build 826]-[Perl Package Manager]を選択します。ここでも、Catalyst::Devel
とCatalyst::Runtime
をアップグレードインストールします。PPMのメニューから[View]-[Upgradable Packages]を選択して、アップグレード可能なすべてのパッケージを表示させます。この中から「Catalyst-Devel」と「Catalyst-Runtime」を探して、インストール対象とします。
次に、メニューから[File]-[Run Marked Actions]を選択して、「Catalyst-Devel」と「Catalyst-Runtime」をインストールします。
モジュールのアップグレードに失敗したら
Catalystは非常に多くのCPANモジュールに依存しており、それぞれのモジュールの依存関係によってはアップグレードに失敗することがあります。
例えば「Catalyst::Runtime
」のアップグレード時に「MooseX::MethodAttributes
」に関連するエラーメッセージが出た場合、まず「MooseX::MethodAttributes
」を先にアップグレードし、その後で「Catalyst::Runtime
」を強制再インストールします。強制インストールするには、次のようにCPANコマンドを使用します。
# cpan -fi Catalyst::Runtime
また、既にインストールされているモジュールをすべてアップグレードするには次のようなコマンドを実行します。
# perl -MCPAN -e 'CPAN::Shell->install(CPAN::Shell->r)'
またPPMを使っている場合にも、PPMコマンドを使用してまとめてアップグレードすることも出来ます。コマンドプロンプトを起動し、次のコマンドを実行します。
C:\CodeZine>ppm upgrade --install