グーグルは10日、米国時間の8日にリリースした、Google Chrome 4 ベータのWindows版に搭載された「Google Chrome拡張」に関する会見を行った。
Google Chromeは「シンプル」「速い」「スタイリッシュ」をテーマに掲げるウェブブラウザで、その動作の軽快さからITエンジニアやインターネットのヘビーユーザーを中心に愛用されている。同社によると日常的に利用しているアクティブユーザーは、ワールドワイドで現在4,000万人。早期評価ユーザーを対象とした「Devチャンネル」、開発者全般を対象とした「Betaチャンネル」、一般ユーザを対象とした「Stableチャンネル」の3系統があり、先日Mac OSおよびLinux向けのBeta版も提供開始されたことで、より一層の普及が期待されている。
同社 シニアエンジニアリングマネージャの及川卓也氏は、「開発版で提供されていたGoogle Chrome拡張が今回ベータ版に実装されたことで、より多くの開発者に使ってもらえるようになった。HTML、JavaScript、CSSといったWebの標準技術だけで開発できるため、いくつかの専用APIを除いて新たな技術を習得する必要はない。Webページと同様にメンテナンスやアップデートが容易で、localStorageのようなHTML5の技術も利用できる」と、参入コストの低さを語った。
また、ブラウザの一部として継続的にユーザーの目に留まることで、自社コンテンツやサービスへのアクセス率向上といったメリットがあることも指摘する。国内でも既にサードパーティのGoogle Chrome拡張がリリースされ始めており、読売新聞社の「発言小町 拡張」、はてなの「はてなブックマーク拡張」などが紹介された。
デベロッパーアドボケイト 石原直樹氏は、Google Chrome拡張の技術的な側面に触れ、Google Chrome拡張の種類には大きく分けて、特定のページでアドレスバーに小さいアイコンを表示する「Page actions」、ツールバーに表示される小さなアイコンからポップアップできる「Browser actions」、WebページのUIと振る舞いを変更する「Content scripts」の3つがあると述べた。例えば、前述のはてなブックマーク拡張では、Browser actionsでブックマークコメントの一覧を表示したり、Content scriptsでGoogleでの検索結果ごとにブックマーク総数を表示したりできるようになっている。
作成したGoogle Chrome拡張は、自らホストする必要はなく、「Google Chrome Extensions Garally」を介してユーザーに提供することができるが、登録・反映のプロセスもGoogle Chromeらしく迅速なものになっており(NPAPIを利用したものはレビューが必要)、自動アップデートの仕組みによってリリース後のメンテナンスも簡便化されている。
また、gihyo.jpでGoogle Chrome拡張の技術記事を連載している太田昌吾氏がゲストとして呼ばれ、マウスジェスチャーやユーザースタイルシートに関するデモを行った後、Google API Expert for Google Chrome Extensionsとして、本日より新しく発足した開発者コミュニティ「Chromium Extensions Japan」を担当することが発表された。
来週には、世界中の開発者を対象として、Google Chrome開発のウェビナー(英語)の開催が予定されている。
【関連リンク】
・Google Chrome(BETA)
・Google Chrome Extensions
・Google Chrome Extensions Garally
・Chromium Extensions Japan
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斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)
株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...
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