ソーシャルグラフがもたらすビジネスの可能性
ミクシィは、9月に開催された「mixi meetup 2010」にて「ソーシャルグラフ・プロバイダーになる」と発表している。現在のミクシィのビジネスモデルは、広告と課金で収益をあげている。mixiサービス内の多くを占めている広告は、バナーというスタンダードなもので、他のポータルサイトでも行われている。これに加え、タイアップ広告や、ユーザー情報をもとにしたターゲティング広告などもある。
田中氏は「このビジネスモデルは、最終型ではない。ソーシャルグラフに載った情報の伝達によるビジネスの可能性は、今後もっと大きな規模になっていくのではないか」と語る。
mixiが持つソーシャルグラフを使用すると、つながっている友人とのコミュニケーション上で広告商材を話題にしてもらえたり、友人へ情報を伝えてもらえるなどの、新しい広告の形が生まれる。例えば、TVCMやバナー広告を出す際、大衆に向けた露出ではなく、一部のニッチな層に向けたものでも、 その情報を得た感度の高い1人が「これはいい、伝えたい!」と思えば、仲の良い友人知人に広まることとなる。友人の意見は見ず知らずの他人の意見や単なる広告として情報を受け取るよりも、自身の判断に影響を与える情報であるため、このようにうまくソーシャルグラフを利用すれば自然と効果の高い広告的な流れになっていく。
ポイントとなるのは、いかに友人を身近に感じ、友人の情報を手軽に入手できるかという点にある。「ある友人が行動を起こした」ことが、フィードが広がることで手軽に入手できる場合、1か所のサイトに集まるという行為自体が不必要となるため、これまでの「サイトに訪れることで広告収入を得る」という可能性とは別の軸がうまれてくる。いつも手元に持っているものにアプリを導入し、手軽に友人の情報を入手することが可能になると、1つのサイトにこだわる必要がなくなってくるのだ。
「mixi Graph API」を公開したミクシィの狙い
では、mixiというサービスにおいて、一番価値があると考えるソーシャルグラフの情報をなぜAPIで公開しようと考えたのか。独自でサイトを頑張って作成し、都度改善していくというスピードと、あらゆる開発者がさまざまな場所でmixi Graph APIで取得した情報を使いアプリを作成するスピードとでは、後者のほうが速いのでは、と田中氏は考えている。
「インフラのコストを気にするより、ビジネスに早く転換していきたい。ユーザーが価値があると思うものはmixiの持つ情報であり、本当に価値があるものにはビジネスが生まれると信じている」


