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リレーションシップ駆動要件分析による実践的な要件定義手法

「要件定義」の4つの構造と依存関係に着目した実践手法

リレーションシップ駆動要件分析による実践的な要件定義手法(1)

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システム外部環境

 システムを取り巻く環境を明らかにする視点です。この視点では対象業務を流れとして表現する「業務フロー」、流れで表現できない場合はシステムを使用する場面を「利用シーン(シナリオ)」として作成します。どちらもシステムが使われる業務や作業を明らかにするもので、システムがどのような環境で使われるかを示します。

 システム価値で明らかにしたシステムの目的や価値は、ここで定義する「業務フロー」や「利用シーン」で示された活動の結果として生み出されると考えます。

 具体的な例をシステム価値で挙げた例を使って説明します。

 システム化の目的が「使いやすさに重点をおいて機能を見直す」という場合は、「利用シーン」を活用しシステムが使われる場面をシナリオとして作成します。具体的にどのような課題をもったアクター(人を役割として洗い出したもの)がどのような状況においてシステムを使用するかを示し、アクターの課題が解決される様子をシナリオとして記述することで、システム化のメリットをイメージできるようにします。

 一方「効率性を重視したシステム化を行う」という場合であれば、「業務フロー」を作成し、個々の作業で必要な情報を再度整理します。その業務が円滑に回るための情報の受け渡しを明確にすることで、スムーズな業務の流れとそれに連動するシステムとの接点を明らかにすることができます。

 最後に対象業務の言葉や概念を定義する「概念モデル」を作成します。業務や作業には何かしらの業界用語が使われています。その用語の中でも重要なもので構造を伴っている場合に概念を構造的に表現します。概念モデルを作成することで言葉では表現しにくい複雑な構造を簡単に示すことができます。ここで示された用語を「業務フロー」や「利用シーン」の中で使うことで、より明確にそれらを表現できるようになります。

システム境界

 システム外部環境で定義された環境の中でシステムの具体的なインターフェースを示すのがシステム境界です。インターフェースには2種類あり、人が関わるユーザーインターフェースと外部のシステムと関わるシステムインターフェースです。

 ユーザーインターフェースは「ユースケース」を使ってシステムと人との関わりを明らかにし、その時の入出力情報を「画面・帳票」として明確にします。

 システム外部環境で洗い出された「業務フロー」の各アクティビティや個々の「利用シーン」に「ユースケース」を結びつけ、その「ユースケース」に「画面・帳票」を結びつけます。こうすることで業務上の流れと、そこでのシステムとの関係、同時に画面帳票としてやりとりされる情報の関わりが分かります。

 システムインターフェースは外部システムとの関係を表すために、やりとりするタイミングを「イベント」として入出力情報も含めて洗い出します。「プロトコルモデル」は「イベント」の整合性を明らかにするために作成します。外部システムとの間で生まれる状態に着目し、その状態を遷移するトリガに「イベント」を紐付けます。これでイベントを網羅的に漏れなく洗い出すことができます。

 両インターフェースともにシステムの入出力のタイミングとその時の受け渡し情報を明らかにします。

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システム

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この記事の著者

神崎 善司(カンザキ ゼンジ)

(株)バリューソース代表大手SIerにおいて大小10システム以上のプロジェクトリーダを勤め、20年ほど前に独立。2002年から5年間(株)豆蔵での社員も兼任しながら要件定義などの上流工程のコンサルティングを行う。2008年に要件定義手法「リレーションシップ駆動要件分析(RDRA)」を開発し現在はその...

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