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リレーションシップ駆動要件分析による実践的な要件定義手法

「要件定義」の4つの構造と依存関係に着目した実践手法

リレーションシップ駆動要件分析による実践的な要件定義手法(1)

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要件定義の4つの視点

要件定義の構造

 要件定義として定義する情報には構造があります。要件定義は開発するシステムの要件を記述したものであり、開発者に開発して欲しいシステムについて伝えるものです。

 何を開発して欲しいのか それはなぜか(どのような理由か)ということが書かれていれば開発する側は理解が容易になります。

 つまり開発することを「What」として表し、その理由を「Why」として書いていきます。

 WhatとWhyの両方が書かれているのが要件定義書です。そのためには構造が必要です。図3は要件定義の構造を表しています。

 構造は4つの視点(システム価値システム外部環境システム境界システム)からなり、各々の視点で定義すべき情報があります。それがWhatを表します。そして内側から外側を見たときにWhyを語っています。「システム」についてのWhyは「システム境界」であり、そのWhyは「システム外部環境」です。

 この構造に従って情報を定義すると要件定義に必要な情報が網羅されます。

図3 要件定義の構造
図3 要件定義の構造

 4つの視点で明らかにすべき情報を後述の表1に載せています。そして以下にそれらの情報の役割や目的を示します。

システム価値

 システム化することによってもたらされる価値やシステムの目的、役割を明らかにする視点です。システム価値は要件の出発点であり、ここで示された価値、目的を実現するためのシステムを開発します。

 例えば既存システムを新たに再構築する場合に「機能性はほぼ同じだが現在の状況に合わせて機能は見直す」というプロジェクトはたくさんあります。そのようなプロジェクトの場合においても、システム化にあたって何を大事にするかで、見直す機能は変わってきます。

 「既存システムは機能はたくさんあるが分かりづらく使われていない機能がたくさんある」という場合は「使いやすさに重点をおいて機能を見直す」という目的を掲げることが考えられます。一方「既存システムは機能が少なく手処理との併用で効率が悪い」という場合は、手作業とシステムとの関わりを見直し「効率性を重視したシステム化を行う」というのが目的として考えられます。

 このようにシステム化の価値や目的は特別なものではなく、どちらかと言えば当たり前とされていることです。大事なことは当たり前なことであっても明確に打ち出す事です。それが目的・価値が明示されることで、画面やユースケースなど、これに続く情報に方向性が出てきます。

 システムの価値を享受する対象である人(アクター)と関係する外部システムを明らかにし、システム化に対する要望や要求を整理することで、はじめてシステム化の目的や価値が明確になってきます。

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システム外部環境

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この記事の著者

神崎 善司(カンザキ ゼンジ)

(株)バリューソース代表大手SIerにおいて大小10システム以上のプロジェクトリーダを勤め、20年ほど前に独立。2002年から5年間(株)豆蔵での社員も兼任しながら要件定義などの上流工程のコンサルティングを行う。2008年に要件定義手法「リレーションシップ駆動要件分析(RDRA)」を開発し現在はその...

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