4. クラウド化への展望
データを扱う部分でSQL Azureはすでに前述しましたが、アプリケーションの全体をクラウド化したいと思った時にどうするのでしょうか。マイクロソフトのクラウドを利用いただくとそこは柔軟に対応でき、クラウド⇔元のシステム間を行き来するあるいは両方を連携させたハイブリッド構成を行うことをそれほど労苦なくできるのが人気の秘密です。どういうことかを解説します。
まず、初期構築の段階でPHPをWindows Server 2008/R2およびIIS7上で構築していただければ、Windows AzureにはWebロールというWebサーバー機能が強いサービスがありますのでそこでPHPアプリケーションを動かすことはいくつか考慮すべき点があるにせよ容易です。なぜならWindows AzureがWindows Server 2008/R2をベースにしているからです。ベースにしていると書いたのはクラウド特有の環境ゆえの相違点は存在するからで、実際にはWindows Serverのラックが想像もできない数存在していると思っていいでしょう。
データベース部分に関しては自習書の中身を見ていただくとよくわかりますが、アプリケーションからの接続文字列の切り替えというデータを扱うアプリケーション開発だと普通に行う切り替えをするだけなのです。開発マシンから本番マシンへの切り替えのために環境設定をするのと同じように本番マシンからSQL Azureへ切り替えるわけです。同じようにSQL Serverのラックが想像もできない数存在していると思ってください。
イメージが湧かない人もいらっしゃると思いますので下記のビデオをご紹介します。
コンテンツやデータの同期をクリアすればローカル環境に同じ構成のマシンを配置しておくことは容易ですから、想像いただくとおわかりだと思いますが、行き来が思っているよりも容易に行えることがわかると思います。加えて、マイクロソフトではWeb配置(Web Deploy)という新しい考え方やツールを提供し始めており、シームレスにコンテンツ+構成+データをパッケージ化してWebシステム間を行き来できる方式を投入しています。SSH+FTPもいいですが、クラウドの規模感が見えてくるともう別次元で考えた方がよくなってくるわけです。この新しい展開方式は本格的な開発ツールであるVisual Studio 2010はもちろんのこと、無償でPHPアプリケーションやPHPベースのCMSをもローカルで編集できるWebMatrixでも採用しています。
5. クラウド化への第一歩
PHPを動作させる環境はLinux/Apacheがいい、そう思っている方は多いでしょう。しかし、今回のPHPからSQL Serverを利用するシナリオ、そこからのクラウドでの展望を考えた時に、Windows上で使う光に照らされた道が見えた方がいらっしゃったら食べず嫌いをやめて一度ぜひWindowsでもPHPを使う選択肢を見てみてください。以前よりもかなり利用環境として整備が進んでいます。いくつか便利な情報提供をしている場所をここでご案内しておきます。
- 最新情報:Windows上でPHPを使う PHP on Windowsガイドライン
- 最新情報:IISをインターネットで使う インターネットWebサーバー構築ガイドライン
- 無償でWeb配置に対応した開発ツール Microsoft WebMatrix
- SQL Serverで何ができるかちゃんとみたい SQL Server 2008/R2 自習書シリーズ
- クラウド化を見据えて 無償セミナー&ハンズオン
- SQL Azure 開発者向け情報
- Windows Azure 開発者向け情報
特に今マイクロソフトは無償のセミナーやハンズオンを精力的に行っており、ぜひ一度参加いただくことをオススメします。
6. まとめ
これまで4回、PHPからSQL Serverを利用するメリットを取り上げてきました。PDOに対応したドライバーをマイクロソフトのSQL Serverチームが開発したことにより、SQL Serverが持つ様々な標準機能との相互運用によって構築されるシステムのポテンシャルをさらに引き出すことができるようになります。基本的に我々は「システム」を作っているのであって、「プログラム」を作っているだけでは絶対にないです。クラウドが普及してくると益々納期というのは短くなる傾向なのでそういう視点で見た時に、利用できるテクノロジーは吟味してうまく組み合わせて、短納期で高品質なものをお客様に提供していくことが本当の意味での現実解です。
最後に、皆様のビジネスにこのシリーズがお役に立ったのであればうれしく思います。