Javaプラットフォーム向けオープンソースアプリケーションフレームワークであるSpring Frameworkは、2009年にVMwareグループの傘下に入った。本セッションでは今後の展望に加えて、Java開発者向けの次世代RAD(Rapid Application Development)であるSpring Rooを紹介。コアエンジニアのStefan Schmidt氏によるデモが、高度なJavaアプリケーションを容易に開発できる点を強く印象づけていた。
迅速で簡単な開発を実現するJava軽量開発ツールSpring Roo
Spring Frameworkは、世界でもっとも有名なEnterprise Javaのアプリケーション開発フレームワークの1つとしてJava開発者に広く知られている。Rod Johnson氏によって2004年にリリースされ、動作が遅くプログラミングも難しかった当時のEnterprise JavaBeansに代わるフレームワークとして注目を集めた。その後2009年にVMwareに買収された後も、Spring Frameworkを中心に、より幅広いオープンソースソフトウェアを扱うかたちで発展を遂げている。Spring Rooは、そうしたSpring Frameworkの中で、迅速かつ簡単な開発を実現するJava軽量開発ツールだとSchmidt氏は紹介した。
「Spring Rooの基本的でなおかつ変わることのないミッションは、開発技術の整合性や柔軟性を損なうことなく、Java開発者の生産性を向上させる点にある。その点でSpring Rooは、あたかもバックグラウンドにいて、開発者をわずらわせる作業を代わってこなしてくれる妖精のような存在といえよう」
この言葉は、Spring Rooが使いやすく拡張性に優れたツールであることを示している。Spring Rooのもっとも大きな特長の1つは、コマンドラインからソースを自動生成できる点にあり、続くデモではそうした特性を活かした開発サンプルが紹介された。
次期バージョンに加え、Spring Frameworkのもとで数多くのプロジェクトが進行中
第2部では、Spring Frameworkの今後についての紹介が行われた。
「現在の最新バージョンは3.0だが、これには多くの新機能が盛り込まれている。その1つがSpring Expression Languageで、これを使うとコードをより短くすることができる。またAsyncは、非同期通信をとるのに重宝だ」
さらにSchmidt氏は、今後のバージョンアップのロードマップにも触れた。
「次バージョンの3.1では、多くの興味深いフィーチャーが導入される。ユーザーコミュニティからもっともリクエストが多かった機能として、環境プロファイルというのが実装されることになっている」
他にも、抽象化されたアクセスができるようにしてくれるキャッシュ抽象化や、MVCアプリケーション向けの対話管理などが含まれる予定であり、「Developer Releaseがもうすぐ出る予定で進められているので、ぜひ多くの方に使っていただき、フィードバックをお願いしたい」とSchmidt氏は語る。
さらにその次の3.2についても、すでに情報が出てきているという。
「こちらは2011年末までにリリースしようという計画で進んでいる。主なフォーカスは、Java7とJDBC 4.1をサポートしている点だ。また、Java Fork/Join Frameworkについてもサポートする。これは、並列型マルチコアのプログラムに重要な役割を果たす」
締めくくりとして、これらの他にも実に数多くの開発プロジェクトがSpring Frameworkのもとで進められていると強調した。
「その1つが、NoSQLデータベースに対してデータアクセスを円滑に行うSpring Dataだ。他にもmap-reduce frameworksやcloud based data servicesなどが挙げられる。実際にはもっと多くのプログラム進行中であり、クラウドでの実装の用意も進んでいる。ぜひ期待して欲しい」とSchmidt氏は結んだ。