エンタープライズ業界にもフィットするFlashの新しい技術
続いて、FlashプラットフォームおよびHTML関連のエンタープライズ用途における切り口について、プロダクトマーケティングディレクターのAnup Murarka氏に話を聞いた。
Murarka氏は最初に、現在Flashが成長を遂げている部分を「ゲーム」「ビデオ」「データリッチアプリケーション」の3点にまとめた。
「ゲーム」はエンタープライズ分野に当てはまらないように思えるが、自社制作サービスにゲーム性を加えている会社があるなど、意外と関連性があるという。また、今年の基調講演で発表されたFlashのゲーム領域での成長は、近い内にエンタープライズ分野にも影響を与えると考えているとした。高度な3Dグラフィックス処理機能は、大量データの可視化を可能とし、建築や機械といった3次元モデルを扱う分野も少なくないからだ。
「ビデオ」は、社内教育やコラボレーション、コミュニケーションツールなど、応用例が想像しやすい。
「データリッチアプリケーション」は、ファイナンシャルデータの可視化など、Flexなどですでに国内の成功事例がかなりある領域だ。
年内に予定されている次期バージョンのフレームワークFlex 4.6と、その開発ツールにあたるFlash Builder 4.6では、3日にリリースされた最新版のFlash Player 11、Adobe AIR 3に対応する他、タブレットPC関係の機能が強化されることも説明した。
また、基調講演でも触れられていたが、「今後はFlashとHTML5の両方に投資していく。今後15年くらいは両者が仲良く共存していくだろう。AdobeとしてはFlashを次々とイノベーションさせてHTMLより進んだ状態を保つのがミッション。それにより、HTMLの改善にも貢献できるだろう」という姿勢を示した上で、質疑応答に答えた。
――ゲームの適用例が分かりにくい。もう少し詳しく説明してくれますか。
例として、コカコーラが作っているiOSのゲームアプリが挙げられます。エンタープライズ目的でゲームを利用する好例といえるでしょう。マーケティング的には、クラウドでのつながり探しが目的です。
それとは別に、ゲーム的なもの自体を利用するのではなく、ゲームの技術を利用するといったものがあります。ゲームコンソールは昔からソフトウェアで実現できる最先端の技術を開拓してきました。アドビが提供するリッチな3D描画技術が、エンタープライズ業界にフィットするケースもあると思います。
特に、ゲームではユーザーの入力に対してすばやいレスポンスを返す必要があります。このあたりのノウハウも業界のアプリにも利用されるのではないでしょうか。
――企業内のデータ量がどんどん増えていて、現在でもストレージを逼迫しているという話しを聞きます。その辺りはどうお考えですか?
おそらく最初に言えるのが、Flexの特長である大量データの取り扱いが容易だというポイントでしょう。企業が持つ大量なデータを、利用者にFlashで分かりやすく表示することができます。
1つの例として公開しているのが、NASDAQのMarket Replayです。一日のトレードで大量のデータが発生しますが、NASDAQが様々な技術を評価したところ、FlashとFlexが一番可視化に適していたそうです。
――今回タブレットPCがらみの発表が多かったですが、タブレットPCアプリがエンタープライズ領域にどうインパクトを与えると考えていますか?
タブレットPCが、クリエイティブ業界だけでなくエンタープライズ業界にも人気になってきていることには我々も驚いています。この18か月くらいで、様々な業界のタブレットの利用台数が増えてきました。
もう一つ驚いたのが、タブレットPCアプリを使っているのが、一般的な社員でなく、エグゼクティブが多いという点でした。
端末の台数が増えていること、そして一番先にタブレットPCを利用しているのが偉い人であることも、我々としてはタブレットPCの存在が重要度を増しているとみています。
――Flex 4.6で追加されるタブレットPC関連の新機能の詳細を教えてください
Flex 4.5ではモバイルアプリを作るためのテンプレートを色々と追加しました。また、タッチ画面に合わせたFlexのUIコンポーネントのデザインを作りました。
Flex 4.6ではタブレットPC向けのテンプレート、各コンポーネントのタブレットの解像度に合わせたバージョンも用意しています。また、多くの場合、デバイスの縦横の向きに対応することが重要だと考えているので、自動的にデバイスの向きに合わせてビューを調整する機能も追加しました。
――去年の2日目の基調講演で、FlexとFlash Catalystを組み合わせるビジネスモデルが紹介されたが、今年はあまり触れられませんでした。今後も使えるのでしょうか?
デザイナーと開発者がともに仕事をする上での問題を解決するのは、アドビの大きな仕事の一つだと考えています。Flash Catalystは現在も普通に使えますが、今回は特に新しく発表する内容がありませんでした。しかし、デザイナーと開発者がともにする協調するワークフローについては、2日間の基調講演でカバーしていたと思います。例えば、カラーテーマを共有するアプリ(Adobe Kuler)がその一例です。
