2015年には10億台のモバイルをカバーする「Adobe AIR」
引き続きAnup Murarka氏に、Flash技術ベースのマルチプラットフォーム向けスタンドアロンアプリ作成技術「Adobe AIR」について話を聞いた。
「今週は非常にエキサイティングだった」と語り出すMurarka氏。新バージョンのAdobe AIR 3が出荷され、基調講演で紹介されたような魅力的なアプリケーションを提供できるようになった。また、「現在、Adobe AIRは多くの場合モバイルアプリ作成に使われていると思うが、年末までに2億台、2015年までには10億台をカバーする見込み」という試算も伝えた。
先日買収が発表された「PhoneGap」(米Nitobi社)は、Flashでモバイルアプリを作成できるAdobe AIRに対し、HTMLの技術でモバイルアプリを作成するもの。これら2つの選択を確保することでモバイルアプリ開発の幅を強化する構えだ。
続いて、Murarka氏は質疑応答に答えた。
――PhoneGapの仕組みを使ってActionScriptをコンパイルできるようにはならないのですか?
PhoneGapは、Flashとはまったく別物です。PhoneGapは、HTML、JavaScript、CSSといった標準技術のみで成り立っています。今回の買収により、すぐれた才能、イノベーション能力がアドビの一部となったこと、これは新しい開発の第一歩になったと言えます。ただ、すごくいいアイデアなので、今後そのような形を実装できないかエンジニアに聞いてみたいと思います。
――Windows PhoneでAdobe AIRは動きますか?
現時点では動きません。もちろん、将来的にはWindows Phone、Metroベースのスマートフォンでも使えるようにしていきたいと考えています。
――Adobe AIR 3がサポートするデバイスは?
製品ページを確認してください。
――Adobe AIRでTouch Appsを書き直す予定は?
Touch Appsの開発プロセスは、モバイルデバイス用のAIRが完成する前から着手されていたため、確かにすべてがAdobe AIR製という訳ではありません。
しかし、アドビが提供するすべてのスタンドアロンアプリがAdobe AIR製である必要もなく、可能な限りベストな製品を作るのが我々の方針です。AIRで書きなおすことももちろん可能ですが、書き直しに特に意味がなければ、ビジネス的によい決定ではないと思っています。
素晴らしいアプリを作る上で、アドビの技術を使っていただければと我々も願っています。しかし、だからといって開発者の方々の選択肢として、1つの言語しか使えなくなるというのは、我々の本望ではないのです。
(注 Touch Apps:初日の基調講演で発表されたAdobe Creative Cloudの構成要素にあたるタブレットPC向けクリエイティブアプリケーション群)
――新機能のCaptive Runtimeについて。アプリサイズの肥大といった問題についてはどのように対策していますか?
正確にはエンジニアチームからフォローアップする必要がありますが、一般的に、フレームサイズはできるだけ小さくするアプローチを取っています。Captive Runtimeの利点の一つが、何を入れるか・外すのかを実行時ではなく、コンパイル時に決められることにあり、既にこのアプローチはiOS上では実現できています。
Captive Runtimeは1年近くiOSで実績を積んでいます。そこで今回、この機能をAndroidやデスクトップのアプリでも利用できるようにした方がよいという結論に達しました。確かに、iOS上でもアプリのサイズは少し大きくなってはいますが、Adobe AIRで実装されることで、成功するのを妨げるほど大きくはならないと信じています。
(注 Captive Runtime:Adobe AIR3の新機能で、ランタイムとアプリを一緒にパッケージして配布できる)
――Adobe AIR 3の重要な機能の一つとして「Native Extension」が紹介されましたが、各デバイスのパフォーマンスは上げられても、ポータビリティを犠牲にするという点で矛盾があるのでは?
アドビは様々なOSやハードウェアに対して、開発者が求めるすべてのものを迅速に提供できているわけではありません。実際、時間がかかりすぎているのではという声も聞きます。しかし、それを実現するには膨大なエンジニアが必要です。アドビでは、広範な開発者が必要とする機能から順に実装していくようにしています。
Native Extensionを提供することで、開発者はこのような制約にとらわれることなく、マイペースでイノベーションのスピードを速められる、という柔軟性が確保できます。アプリケーションのポータビリティは下がるかもしれませんが、我々のゴールは、提供するツールやフレームワーク、APIのうち、開発者が必要なものを選んで使っていける選択肢を与えることです。アドビが決めたインフラだけしか使えないというのではなく、開発者側がどう使うかを決められる、という自由さにフォーカスしているのです。
(注 Native Extension:Adobe AIR 3の新機能で、ネイティブAPIと組み合わせたアプリを開発できる)
――PhoneGapの別言語バージョンも考えている?
今のところは考えていません。現在、PhoneGapはHTML、JavaScript、CSS技術だけをサポートしています。
