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先輩ライターに訊く、技術文書執筆のアレコレ

先輩ライターに訊く、技術文書執筆のアレコレ(2)
~チーム執筆/須江信洋さん

技術文書執筆の現場(2)


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 本連載では、書籍や雑誌といった商用ベースでの技術文書を執筆したことがあるライターの体験談をリレー形式で紹介します。普段、なかなか突っ込んで聞く機会の少ない生の声をお伝えしますので、今後技術文書を執筆してみたいと考えている方の参考になれば幸いです。第2回は、須江 信洋(すえ のぶひろ)です。

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1. はじめに

 コミュニティの活動で知り合った仲間と協力して翻訳書と日本オリジナルの書籍を執筆しました。主に、チームで執筆するということについて経験談を共有できればと思います。

※注意

 本記事は著者個人の考えおよび経験に基づいて記述したものであり、所属する会社や組織の意見を表すものではありません。

2. 執筆者紹介(共通の質問項目)

2.1. 筆者プロフィール

 須江 信洋(すえ のぶひろ)。エンタープライズJava関連のSIやプリセールスを経験し、2007年より日本アイ・ビー・エムにてWebSphereのプリセールスを担当。プライベートでは、SIの現場でGroovy関連の技術を活用する方法について日々試行錯誤している。JGGUG(Japan Grails/Groovy User Group)サポートスタッフ。JJUG(Japan Java User Group)幹事。

2.2. 代表的な執筆の成果物を教えてください

2.2.1. 書籍

  • 『プログラミングGROOVY』 関谷和愛・上原潤二・須江信洋・中野靖治 著、技術評論社、2011年7月

2.2.2. 翻訳

  • 『Groovy イン・アクション』 Dierk Koenig他 著、関谷和愛・須江信洋・杉浦孝博・櫻井正樹・佐野徹郎・寺沢尚史 訳、毎日コミュニケーションズ、2008年9月

2.2.3. Web記事

2.3. そのような執筆活動を行うようになった切っ掛けを教えてください

 2007年に今の職場に転職した際にGroovyを組み込んだ製品を担当することになり、Groovyの学習を始めました。当時は洋書でGroovyの書籍が何冊か出版されていたものの、日本語の書籍はなく、またWeb上でも日本語の情報が充実しているとはいえない状況でした。そこで、Groovy関連の情報収集を目的としてGroovyコミュニティの活動に参加したのが切っ掛けです。

 Groovyの日本語情報不足という状況を改善するため、コミュニティのメンバー有志で洋書の翻訳本の企画を立案し、何社かの出版社に提案しました。幸運なことに企画を受け入れていただき、その結果「Groovy イン・アクション」を刊行することができました。

2.4. 執筆活動のモチベーション(or やってよかったこと)は何ですか?

 自分が「良い」と思っている技術や、「これはもっと知られていてしかるべき」ものを広く世の中に紹介できる機会を得られるというのが一番です。特に、書籍だとWebなど他の媒体とは異なる客層に幅広くリーチできる上に、自己紹介の際に自分の名刺代わりに使えるというのも大きいです。

 副次的な効果として、自分で翻訳や原稿執筆を行うことで、その技術を深く知ることができ、自分の知識も整理することができるというメリットもあります。単に「知っている」「使ったことがある」だけではダメで、知識や経験を自分なりに咀嚼して再構成しないと、分かりやすい記事や原稿としてまとめることはできないと感じています。

 ただ、自分の書いたものが分かりやすくなっているかどうか自分では判断できないので、Twitter/FacebookなどのWeb上、ないしはコミュニティの集まりで直接、書籍やWeb記事に対するフィードバックをいただけると、今後の執筆活動のモチベーションになります。

2.5. 個人的に理想としている筆者、文章などはありますか?

 おこがましいですが「ザ・ゴール」シリーズのエリヤフ・ゴールドラット氏を目標としています。難しいコンセプトや、新しい概念を分かりやすく説明する描写力を身につけるだけでなく、読み物として面白い文章が書けるようになりたいです。

 翻訳者として尊敬するのは山形浩生氏です。原著のニュアンスを踏襲しつつ、独自の筆致でつづられる山形ワールドにはいつも圧倒されています。

2.6. 執筆における失敗談、ブレイクスルーなどがあれば教えてください

  • 索引の重要性

 失敗談として、技術書における索引の重要性を甘く見ていたことがあります。特に、ページ数の多い本では索引が十分でないと目的の箇所にたどり着くのが困難になってしまいます。執筆中は本文を書くのに一生懸命になりがちですが、索引に載せるべき用語は執筆中にチェックしておくことをおすすめします(ツールによってはこのあたりをカバーできるものもあると思います)。

  • 本業との両立

 技術書の場合、本職のライターさんが執筆される場合もありますが、別に本業を持っていて執筆される方も多いようです。私も本業はセールスエンジニアで、書籍の執筆はプライベートの活動として取り組んでいます。その場合、本業が忙しくなってくると執筆の時間を確保するのが難しくなったりしますので、本業の状況を考慮し、さらに不測の事態に備えて余裕をもったスケジュールを立てることをおすすめします。また、複数人で共著の場合は、著者間で作業量を柔軟にやりくりできるようにしておくとよいです。

  • 企画段階からマーケティング

 せっかく執筆した記事や書籍は、なるべく多くの人に読んでもらいたいものですよね。そのために重要なのが「デリバリー」を意識して企画を立てるという考え方です。Web記事であればどのような媒体のどのようなカテゴリーの記事として掲載すべきか、書籍であればどのくらいの厚さで価格はいくらくらいで書店のどのコーナーに置かれるべきかなど、実際の読者をイメージしながらコンテンツを考えると企画がまとまりやすくなります。

 また、最近ではブログやTwitter、FacebookなどによるSNS上での口コミがマーケティングの重要な要素となっています。 ターゲットとなるコミュニティがある程度明確ならば、コミュニティにおいて影響力の大きい人物に対して協力を仰ぐという作戦が有効です。

次のページ
3. チームで執筆を行うということ

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この記事の著者

須江 信洋(スエ ノブヒロ)

日本アイ・ビー・エム ソフトウェア事業にてWebSphere関連製品のプリセールスを担当しつつ、これから「来そうな」技術をウォッチしています。Project ZeroがきっかけでGroovyにハマり、最近はGroovyの布教活動を進めています。『プログラミングGROOVY』(技術評論社刊)もよろしく!

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/6233 2011/10/21 10:59

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