クリエイティブツールの注目の機能と今後は
Adobe Creative Cloudには、同時に発表されたAdobe Creative Suite 6も含まれている。
Facebook上にあるアドビのキャンペーンページ「ソーシャルバルーン」では、CS6で特に注目を集めている/人気が高まっている機能が、ソーシャルバルーンによってひと目でわかるようになっている。一番注目を集めていたのは「Dreamweaver」の「可変グリッドレイアウト」。これは、Webページのデザインを簡単な設定でモバイル、タブレット、デスクトップにそれぞれ自動的に最適化するものだ。
第2位となったのは、「Photoshop」の「コンテンツに応じたパッチ/移動」。この機能は、例えば、草むらなどを範囲選択して別の場所に移動しても、継ぎ目がわからないよう自然な状態へ自動的に修正してくれる。同様に、風景の中の人物を選択して別の場所に移動した場合でも、継ぎ目の修正はもちろん、人物で隠れていた建物なども補完してくれる便利な機能だ。
第3位は「Adobe Edge」の「HTML5アニメーション作成」。これは、Webページのアクティビティをタイムライン上で容易に設定できるというもので、しかもほとんどのブラウザに対応が可能となっている(※「Adobe Edge」は今夏に登場予定)。第4位には「Illustrator」の「64bit化」、第5位には「Fireworks」の「CSSプロパティ」、第6位に「Illustrator」の「線へグラデーションを適用」が続いた。
このほか、ワークフローとパフォーマンスを改善するスプライトシート生成機能などが搭載された「Flash Professional CS6」や、Java、HTML/CSS用の軽いフリーのテキストエディタ「Brackets」、動作テストツールである「Adobe Shadow(Adobe Labs)」なども注目されている。
製品の連携によってユーザーの利便性を追求
同社のテクニカルエバンジェリスト 太田禎一氏は、このアドビの新しい挑戦について次のように語った。「Adobe Creative Cloudを提供した大きな理由は、速い流れについていくこと、そしてツール間の連携です。さまざまな技術が速いスピードで進化していく現在、従来の1年ごとのバージョンアップでは到底追いつきません。クラウドで提供することで、常にバージョンアップが行えるので、お客様はいつでも最新バージョンを使えるメリットがあります。」
「また、さまざまなツールを寄せ集めて開発を進める場合、ワンストップではなく、ツール間の連携が重要になります。そこで、このサービスにより安定してコラボレーション作業ができる環境を目指しました。社内と出先での連携、異なるツール間での連携、また、同時起動しない限り同じ製品で異なるOS、異なる言語でも、ひとつのライセンスで利用できるようになったことも、連携のひとつといえるでしょう。ゴールは製品の連携によってお客様が楽になること。そのために、常に世界中のお客様の声を聞き、組み合わせるツールを考えています。」
アドビでは、特に力を入れているHTML5技術での開発において、グラフィック制作からアニメーション、IDE、UIコンポーネント、インタラクション構築、RIA開発フレームワーク、動作テストといった、それぞれの作業に対応するツールを提供している。UIコンポーネントやRIA開発フレームワークなど、まだ対応できていない部分については、サードパーティのオープンソースツールで補完している。アドビが新しいフレームワークを作るのではなく、世界で支持され使われている将来性のあるものをアドオンで提供していくというスタンスにより、ユーザーに使いやすい環境を提供するためだ。
今後について、太田氏は「Adobe Creative Cloudは、まだ100%とは言えません。しかし、まだ提供を開始して数日ですが、『期待している』という声を多くいただいています。今まで持っていなかった、触れる機会のなかった製品に触れられる機会があることは注目していただけているようです。最終的にやりたいことはまだまだありますが、まずは「TypeKit」を日本語環境(フォント)で使えるようにすること、Museの日本語化などに対応していきます。今後も、さまざまな機能がAdobe Creative Cloudへ自動的に反映される予定です。ぜひご期待ください。」