SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

既存のRDBシステムに会員情報の名寄せ機能を追加する

泣き別れしたデータの統合
―ASP.NETでの実装方法

既存のRDBシステムに会員情報の名寄せ機能を追加する 第2回

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 会員情報を含むRDBシステムでは、同じ人が別々のIDでテーブルに登録されることがありえます。本連載では、二重登録状態を解消する「名寄せ」機能の追加方法を紹介します。

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

はじめに

 前回は重複値抽出に焦点を当て、名寄せ処理は「不要なレコードを削除」という単純な方法を紹介しました。今回は名寄せ処理に重点を置き、「各レコードに泣き別れしたフィールド値を統合」する方法を紹介し、ASP.NETでの実装例を紹介します。

対応可能なRDB

 MySQL(4.1以上)、SQL Server、Access、PostgreSQL、OracleなどのRDBで可能です。ただし、EXISTS演算子とサブクエリー(第1回参照)が利用できないSQLiteでは不可です。

必要となる前提知識と環境

 前半部分はSQL命令の解説になるので、SQLの基礎知識が前提となります。

 後半部分は各回を通して、ASP.NET開発の基礎知識(SQL Serverへのアクセス方法、MultiViewコントロールの使い方を含む)、および以下の環境が前提となります。

  1. 開発ツール:Visual Web Developer 2010 Express SP1(以下、VWD2010と略記)
  2. 開発言語など:Visual Basic(以下、VBと略記)、コードビハインドモデルで開発
  3. 使用データベース:SQL Server 2008 Express Edition SP1

 今回は、Page.PreLoadイベントコードの作成方法、Session変数の利用方法の知識も必要になります。

【理論編】複雑な名寄せ処理

 前回は下図のように「不要なレコードを削除」という単純な方法で名寄せを行いました。

図1 単純な名寄せ処理(不要なレコードを削除)
図1 単純な名寄せ処理(不要なレコードを削除)

 しかし、会員テーブルの住所/電話/メールアドレスなどを、別々のスタッフが分担して登録/修正している場合、名寄せを行う際にデータを組み合わせる必要が出てきます。

図2 複雑な名寄せ処理(データを組み合わせる)
図2 複雑な名寄せ処理(データを組み合わせる)

 組み合わせた結果をいずれかの会員IDに上書きする方法だと、誤操作だった場合の復元手段がなくなるため、以下の方法で処理します。

  • 会員IDは新たに払い出す
  • 会員テーブルには、2つの列「状況」と「名寄せ先ID」を追加しておく
  • 「状況」列には、「A」(生きているデータ:Active)、「U」(名寄せ済みのデータ:Unified)などの値を設定し、通常処理では、「A」のレコードのみを対象とする
  • 「名寄せ先ID」列には、「状況」が「U」のレコードに関して、名寄せしたレコードの会員IDを設定し、名寄せ先の会員IDから元の会員IDを検索できるようにする
図3 元に戻せる名寄せ処理のイメージ
図3 元に戻せる名寄せ処理のイメージ

 こうしておけば、元のデータをたぐれます。また、「状況」列は「D」(Deleted)を設定することにより、会員データの論理削除目的にも利用できます。

 上記以外にも、会員テーブルと同じ構造の保管用テーブルを用意しておき、名寄せ済みのレコードをここに移してしまう方法も考えられます。現在お使いのシステムで、削除した会員レコードを保管用テーブルに移している場合は、その方法がよいでしょう。

名寄せ処理の画面構成と遷移

 前回は2画面でしたが、今回は4画面構成になります。

表1 今回の名寄せ処理の画面構成
No. 画面名 目的
1 検索条件設定画面 重複値抽出の条件を指定(前回と同じ)
2 対象会員選択画面 名寄せ対象の会員を選択(前回と一部、異なる)
3 項目選択指示画面 選択された会員のデータから採用するものを組み合わせて選択
4 選択指示確認画面 組み合わせたデータを確認し、名寄せ処理を実行する

 上記画面のイメージおよび推移は下図のようになります。

図4 名寄せ処理の画面遷移
図4 名寄せ処理の画面遷移

次のページ
【実践編】複雑な名寄せ処理の開発

この記事は参考になりましたか?

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
既存のRDBシステムに会員情報の名寄せ機能を追加する連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 遠藤 存(エンドウ アリ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

  • X ポスト
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
CodeZine(コードジン)
https://codezine.jp/article/detail/6804 2012/11/02 14:00

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

CodeZine編集部では、現場で活躍するデベロッパーをスターにするためのカンファレンス「Developers Summit」や、エンジニアの生きざまをブーストするためのイベント「Developers Boost」など、さまざまなカンファレンスを企画・運営しています。

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング