我が国におけるサーバーの利用動向
図4は一般社団法人 日本情報システム・ユーザー会がまとめる「企業IT動向調査 2012報告書」から、我が国における売上高別 仮想化(サーバー)の導入状況を示したものです。このデータは日本国内においてパブリッククラウドが、ちょうど始まるか始まったかという時期のデータでもありますので、クラウドコンピューティングが普及する前段階の基準値としても良いかと思います。その段階において、サーバー仮想化の導入率は企業の売上が高いほど高く、1兆円以上の売り上げを誇る企業では、もはやサーバー仮想化は取り組んでいて当たり前という数値(89%)となっています。
このような背景を理解した上で、つぎにRightScale社が2015年に発表したState of the Cloud Reportから、プライベートクラウド、パブリッククラウド、サーバー仮想化の利用状況を見てみましょう(図5)。
State of the Cloud Reportでは、すでにプライベートクラウド、パブリッククラウド、サーバー仮想化に取り組んでいる企業が大半の母数になっているであろうという想定がありますが、それでも8割近い企業が、なんらかのコンピューティング環境で仮想マシンを動かしているということが分かります。
日本国内と北米での意識の差は確実にあるかとは思いますが、コンピューティング環境で仮想マシンを利用するという手法は確実に市民権を得たともいます。筆者は過去長きにわたり「サーバーを仮想化するなんて!?」という文化と意識を持った人々を15年以上もずっと見てきました。そういった意味で「時代は着実に変化したな」という実感を表す数値でもあります。
日々、私たちを取り巻くコンピューティング環境では、多数のサーバーが稼働し企業活動に不可欠な資源を提供してくれています。しかし、最近その動向にも変化が見られてきています。図6は、企業におけるサーバー稼働台数によるシステム設計思想の違いについて図示したものです。
クラウドコンピューティングの普及により計算機資源をネットワーク越しに提供されるようになった結果、特定のホスティング企業(クラウド事業者等も含む)に膨大なサーバー資源が集約運用されるようになりました。一昔前であれば10万台から100万台のサーバーを、1つの企業で管理運用するのはかなり特殊なケースであったかと思います。しかし、現在の私たちのコンピューティング環境では、HyperGiantと呼ばれるGoogleなどのWebサービス事業者やクラウド事業者がネットワークを介して大多数の企業に対して計算機資源を提供する世界が現実のものとなったのです。
桁違いのサーバー数を管理運用するには、システム設計思想から異なってくるのは容易に想像できるかと思いますが、まったくそのとおりの結果がUSENIX LISA14でも発表されていました(図6)。
彼らHyperGiantと呼ばれるWebサービス事業者やクラウド事業者では、サーバー製品の入手方法もODM(Original Design Manufacturing)企業からの直接入手にまで広がっており、根本的に一般企業が扱うサーバー管理運用手法とも異なってきています。
しかし、着実にODM企業からHyperGiantなWebサービス事業者やクラウド事業者に提供されるサーバー出荷台数は伸びており、これがクラウド業界における大きな地殻変動へとつながっていると筆者は感じています。



