グロースハックはどこから始めるのか
さて、ここからは、僕らがグロースハックを念頭に置きつつ、Webサービスの企画や設計をどのように行っているかを説明します。
次の図はサービス設計をする際の一連の流れです。一番上がユーザー、つまりサービスを使ってくださるターゲットで、まずここがすごく重要です。
前提としてここが外れちゃうと実際に「あれ、全然違う人が使ってるよね」となってしまう。そうではなくて、ちゃんと想定したユーザーの人が使ってくださるようにサービスを設計しましょう。
図のユーザーの下にあるのが、そのユーザーが持っている「ニーズ」ですね。どういったことに困っているのか、こういうものを欲しているのかといったことを洗い出し、要件(Why、What、How)として整理することが求められます。
次に、要件から仕様を作成して、それを機能として提供するとともに、ユーザーストーリーマッピングなどを行いますが、今回はユーザーやニーズにフォーカスした打ち手(How to)に解説の範囲を限定します。
ユーザーテストはまず3人でOK! とにかく触ってもらおう
ユーザーやニーズの確認作業として一番わかりやすいのが「ユーザーテスト(User Testing)」でしょう。ユーザーテストではユーザーに会って、実際のところどのように考えているのか、どういう行動をするのかを調査します。
次のグラフは、ヤコブ・ニールセンが書いた『アラートボックス』という書籍からの引用で、ユーザーテストを3人以上行えば、新しい洞察の70%が得られるそうです。
ただし、さらに多くの人にユーザーテストをやってもらっても、得られる新しい洞察はあまり増えません。
少人数で新しい洞察の大半を得られるのですから、とにかくユーザーに会い、ユーザーテストを受けてもらいましょう。そこからはすごくいろんな発見がありますし、思いもしなかった課題や洞察が見つかった経験を、僕もたくさんしています。
実際、設計していると設計者目線になってしまって、思ったようにユーザーが使ってくれないケースが、我々にも多々あります。これではいけないなということから、毎週行っているA/Bテストやテストのネタ作りの前には、ユーザーにお会いして実際に使っていただいています。
まずは3人でよいわけですから、ユーザーテストを受けてもらう方は、知り合いやお友達でも構いません。僕らも友達に見てもらったり、アプリを触ってもらったりしています。とにかく、いろんな人に実際に使ってもらうということを意識してください。
ユーザーテストで見ていること
では、ユーザーテストで僕らが何を見ているかいいますと、行動ですね。いろんな意見を聞くというより、どこを触ってどのように使うのか(例えばスマートフォンをどういうふうに操作するのか)をモニタリングしながら、「本当にこれいいんだっけ? 悪いんだっけ?」みたいな自問自答をやっています。
この行動観察というのがいわゆるユーザーテストですね。エスノグラフィーは観察学に近く、いろんな情報が得やすいのですが、僕らはそこまで専門的なことはしておらず、その一歩手前といったところです。ユーザーがサービスに対して、どう行動しどのように使うかを観察します。もちろん、グループインタビューやアンケートを取ることもありますが、サービスの設計では、ユーザーが実際にどのようにサービスを使っているかをとても重視しています。(第2回へ続く)