「Atom」はもともと、GitHubの創業者である@defunkt氏(Chris Wanstrath氏)が、「Emacs」のようにカスタマイズ可能で、Webテクノロジを用いた新世代のテキストエディタを目指して、2008年に開発を始めたもので、当初は「Atomicity」と呼ばれている。
2009年のGitHub.comの立ち上げ以降、「Atomicity」の開発は中断され、2011年にはGitHub.comにはエディタとして「Ace」が組み込まれたが、「Ace」をきっかけに@defunktは再び「Atomicity」に取り組むようになり、3日後にはネイティブのWebViewコントロールで動作するMac OS X版の「Ace」が作られた。これが、現在の「Atom」の原型である。
2011年11月には、@probablycorey氏も開発に加わり、名称が「Atom」に変更されるとともに、GitHubの公式プロジェクトへ昇格した。同年12月には、RubyパーサーDSL「treetop」の作者である@nathansobo氏も加わり、フルタイムで「Atom」の開発を行っている。
「Atom」は、公開から1年足らずの期間で、130万回ダウンロードされ、月間35万人のアクティブユーザーを抱えるまでに成長した。コミュニティからは、660のテーマと、今となっては「Atom」に欠かせない存在となっている「linter」「autocomplete-plus」「minimap」を含む2090のパッケージが登場している。
155回のリリースを経て、「Atom」はパフォーマンス、安定性、機能、モジュール性を向上するとともに、スクロール、入力、起動速度を高速化した。さらに、Windowsインストーラ版やLinux版を用意し、ユーザーからの要望が多かったペインのリサイズや複数フォルダにまたがるプロジェクトといった機能も実装している。
現在は、安定したAPIによるモジュール化、「babel」によるES6のサポート、テキスト装飾、新たなテーマによる文法の自動色分けといった機能を備える一方で、「autocomplete-plus」など、優れたコミュニティー版のパッケージに敬意を表し、これに対応する機能を削除した。また、APIドキュメントやマニュアル、設定のチュートリアルビデオも用意している。