プロフィールにLGBTQと書いている意図は?
ゆうこ 今回、岩尾さんに聞いてみたいなと思ってたのが、岩尾さんのTwitterのプロフィールにLGBTQと書いてらっしゃるのが気になって。どういった意図でこういう単語書いてらっしゃるんですか?
岩尾 LGBTQっていうのは、レズビアン(L)、ゲイ(G)、バイセクシャル(B)、トランス、トランスジェンダー(T)と、クイアーやクエスチョニングっていう意味のQ、です。LGBTはまあ分かると思うんです。性的少数者とか、セクシャルマイノリティって呼ばれてる人達のことですが、LGBTの枠というのは、LGBTって断言しちゃうと結構狭くて、例えばアセクシャル。無性愛っていうんですけど、別に同性にも異性にも性的な感情を持たない人達ってのもいて、そういうのも、セクシャルマイノリティですね。
セクシャルマイノリティっていう単語は、あんまり使わないようになってきていて、そもそも人口の7〜8%が、いわゆるセクシャルマイノリティと言われている人達なんです。1割弱もいたらあんまりマイノリティじゃない。自分たちでマイノリティって言わないようにしようという人達、マイノリティって言いたくない人達もいて、私もそうなんですけど、なのでLGBT、LGBTQという言い方をしてます。
セクシャリティやジェンダーの多様になって、LGBTの4文字にも入らないものがたくさんあります。例えばアセクシャルもそうですし、それからインターセクシャルという、これも男性とも女性ともつかない、実際に性分化疾患っていう形で男性の生殖器とか女性の生殖器の中間的なものを持ってたり、生殖が可能なところまで変化をしていなかったりする人達がいて。他にも、ゲイなのかもしれないし、ゲイじゃないかもしれないと悩むような、クエスチョニングというのもあります。ゲイって名乗るのはすごくハードルがあって、決めつけたくない時もあるじゃないですか。LGBTに入りきらないものということで、クエスチョニングだったり、クイアー、変わり者という意味で、Qを付けてあります。
で、なぜこれをTwitterのプロフィールに書いてるかっていうと、私は女性のパートナーがいて、レズビアンだと自分で思っていて、それで自分自身が過ごしやくすなる環境ができればいいなと思っています。Twitterのプロフィールに書いておくと、分かる人は分かってくれるし、それがきっかけで相互フォローになったりちょっと会話することもあるので。分からない人は無視しますし。
ゆうこ SNSでもLGBTに関する記事をシェアしたり、ちょっとコメントしたりされてますよね。
かまぷ 女性の権利を岩尾さんが代表して言ってくれてるのかと思ってたんですよ。
岩尾 いやいや、代表はしてないですよ。だって世の中には70億人の人がいて、半分前後は女性だったり男性だったりするじゃないですか。代表なんてできないけど、自分自身が過ごしやすくなればいいなって思っています。
コミュニティも、そういう意味で女性向けのところと関わっているけど、とは言うものの、女性向けのコミュニティだから入門編みたいに思われたくないのもあります。Rails Girlsは初心者向けの勉強会ですが、PyLadiesはガチな内容をするんですよ。Pythonのインタプリタの挙動を話したり。女性向けの勉強会イコールちょっとレベルが低い、と言う人がいて、そういうのがなくなったらいいなとか、自分の困ってることを(Twitterに)書いてますね。自分が違和感を覚えたようなことを、当たり障りがないように。
たまたま自分が当事者意識を持っているLGBTや女性問題、その辺を気づいた時にちゃんと表明するようにしてます。そうやって文章にしていると、「ああそうかも」と気づく人が増えてだんだん良くなっていけばいいなと。
あとは、ITのコミュニティに関しては、男女比がちょっと偏ってる面があって、最終的には男女半々に近い、なるべくバランスが取れた形で、性別の意識なく、純粋に技術を追い求める形でコミュニティができるといいなって思ってやってます。
かまぷ 男性の育児休暇とかね、もっとやればいいんですよね。働くのは止めて子育てに集中していいんだよみたいな。
岩尾 それは難しい問題ですよね。男性も、男性性っていうのを押し付けられていて辛いという話があって。最近、フェミニストって名乗るのが難しい世の中だと思っているんですけど、その中で私が尊敬している、エマ・ワトソンっていう、ハリー・ポッターのハーマイオニーの役をした方が「私はフェミニストです。フェミニストっていう言葉自体が攻撃の対象になってるけど、それは違う」という話を、国連でしていたんです。私もプロフィールには書かないけど、心のなかではフェミニストだって思っていて、フェミニストだから女性のことだけを考えてるんじゃなくて、それは男女両方が「be yourself」、自分らしく生きられるような世の中になればいいなと思っています。
コミュニティについてはいろんな課題がありますし、例えばRails Girlsを未来永劫続けなきゃいけないっていうのは、それはそれで不幸なんですよ。要はこの、女性だけ特別ケアが必要っていうのは、ちょっと不自然じゃないですか。なぜ女性が少ないかって言うと、また難しい話ですが。
ゆうこ LGBTのことは、岩尾さんをゲストに呼ぶにあたって聞いてみたかったけど、本当に聞いていいのかなと思ったところはあるんです。なので、オファーの際に、聞いてみたいトピックの候補にLGBTを含めてみたら、「私が話せるとしたらこれかな」と挙げてくださった中に、LGBTがあってホッとしたところもあります。
岩尾 事前にこっそり聞いてみてOKだったら、人前で話題にできない方がおかしいと思います。そもそも男女間の恋愛でも、付き合ってる人を答えたくない人って山ほどいるから、それと同じような感じですね。
かまぷ 私は、この人とこの人を結びつけたほうが良いんじゃないか、というキューピッドすることがあるのですが、たまに、この人恋愛したくないんじゃないかという人がいるわけですよ。そういうのは言ってもらった方が周りは楽なんですよね。自分の望んでることを、自分はこうだよっていうのを言うことは大事です。
岩尾 だからちゃんと言えれば良くって。職場では、パートナーのことを指して「旦那さん元気?」とか言われることがあって、旦那さんって言われるたびに、「旦那じゃないんやけどな」って感じで、説明しようかどうしようか、一瞬脳を使うわけですよね。その脳を使わずにプログラム書ければ、その分ハッピーなのに。
かまぷ おっしゃる通りです。
岩尾 それが素直に、「うちは彼女がいるから。妻がいるから」とか言えて、なんのしがらみもない世の中がくればいいし、もうちょっと良い表現が日常的に使われる世の中だったらいいなって。だから、別に「いや、恋愛したくないです」と、男女どっちが言っても違和感がなければいいですよね。でも今は、そもそも結婚したくないって言うと、笑いの対象になるじゃないですか。ぼっちが、独りがマイナスのイメージにある。それも良くないですよね。ぼっちだから何が悪いねんみたいな。
かまぷ 子どもを産む産まないとかね。
岩尾 良い意味で、何を言っても別にOKになれば、と思います。
かまぷ デブ☆ラジ初の女性ゲスト。すごく深い話を聞けました。
岩尾 3回目だから、初の女性ゲストって言っても割合が高いじゃないですか。100人目で1人だと、あれ? って。
かまぷ 女性が美しいから表に出るんじゃなくて、力があるから、面白いから出てほしい、そういう動機で呼びたいよね。
岩尾 ちゃんとフェアに評価されて呼ばれたんだとしたら本当に嬉しいです。ありがとうございます。
エンディング
ゆうこ 岩尾さん今回出ていただいてどうでしたか?
岩尾 なんか最初ラジオで緊張すると思ったんですけど、飲むと話したいことしか出てこないので、アルコール付きっていうのはすごくいいなと思いました。ワインも美味しくて。おフランスの香りがする。
ゆうこ おフランスで買ってきたワインでございます。
かまぷ いや今日は熱かったな。最高だったな。LGBTの話はまさかの! という感じで。私、おもむくままに子どものように話しちゃってすみません。こういう話題って気にする人はすごく気にするから、女同士だからできたと思うんですよ。ここに男の人がいたら、会話をちょっと遠慮したかもしれない。だから今日は本当に良かった。
ゆうこ 私もね、これね、みなさんの反響が気になりますよね。どうしても読者の方で男性が多いので。面白かった、気付きがあったというのもあるかもだし、もしかしたらネガティブな反応をもらうかもしれないけど。
岩尾 内心すごくドキドキしてます。
かまぷ でもね、今日の話をちゃんと聞いていただければ否定はされないと思うんです。男性にも女性にも悩みがあって、分かり合えないところも無理に分かりあおうとしなくてもいいんじゃないかって。
岩尾 何かあれば、お便り(Twitterのハッシュタグ #デブラジ でお待ちしてます!)でもいいし、私のTwitter(@yuryu)でもいいし、別に飲みに行くでもいいし、他に聞きたいことがあれば、誘って下さい。
かまぷ オープンに話せる社会になるとすごくいいですね。
ゆうこ では、今回も良いお話を、ありがとうございました。
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お知らせ
岩尾さんの同人誌『Linux Kernel Updates』はKindleにて発売中です。Kindle Unlimitedでも配信しているので、ぜひご覧ください。
