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実践! SpreadJSとASP.NET MVCで帳票Webアプリを作成してみよう

ASP.NET MVCとSpreadJSで業務Webアプリケーションモダン化計画 第3回

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データを保存する(2)

JSONデータの保存と読み込み

 前節のように定義したJSONデータは、サーバー側から取得し、SpreadJSに表示して編集した後、サーバーに送信することで管理します。サンプルでは、JSONデータの保存方法として「サーバー側のローカルにてファイルを保存する」方法を選択しました。この他にも、サーバー側にてJSONデータを逆シリアル化し、Microsoft SQL ServerやRedisなど、さまざまな永続化の方法を選択できます。技術資料の「ASP.NET MVCでの使い方」では、ADO.NET Entity Data Modelでの実装があります。

 次のコードは、サーバー側のASP.NET Web APIにて、初期データを提供する実装です。

/// <summary>
/// 初期表示に表示するデータ initial.json を取得します
/// </summary>
/// <returns></returns>
[HttpGet, Route("initial")]
public HttpResponseMessage GetInitialItem()
{
    string fileName = "initialItem.json";
    var filePath = Path.Combine(dataFolder, fileName);

    var response = new HttpResponseMessage(HttpStatusCode.OK);
    var fileStream = new FileStream(filePath, FileMode.Open);
    response.Content = new StreamContent(fileStream);
    response.Content.Headers.ContentType = new MediaTypeHeaderValue("application/json);
    return response;
}

 JSONデータをクライアント側で読み込み、SpreadJSにバインディングします。

 //シートのセットアップを行います
function SetupSheet(sheet: GC.Spread.Sheets.Worksheet) {

    $.ajax({
        url: "/api/item/initial",
        datatype: "json",
        cache: false,
        success: data => {

                //シートにデータをバインドします
                BindSheet(sheet, itemData);
                //列の自動生成をOFFにします
                sheet.autoGenerateColumns = false;
                //上下の行を固定します。
                sheet.frozenRowCount(9);
                sheet.frozenTrailingRowCount(12);
        },
        error: (XMLHttpRequest, textStatus, errorThrown) => {
            console.log(errorThrown)
        }
    } as JQueryAjaxSettings);

}

 例として、次のようにテーブルの行を編集します。

 このとき、JavaScriptのオブジェクトも変更されている状態になります。

 さらに続けて、テーブルに行を追加してみましょう。行を追加するコードは以下のようになります。この場合もJavaScriptのオブジェクトに1行追加された状態になります。

//SpreadJSの行を追加します
export function AddItem() {
    var sheet = workbook.getActiveSheet();
    //現在選択している行を取得します
    var activeRowIndex = sheet.getActiveRowIndex();
    //選択行の下に1行追加します。
    sheet.addRows(activeRowIndex + 1, 1);
}

 保存する際は、JSONデータをAPIリクエストとしてサーバー側へ送信します。

//データをuser1として保存します
export function SaveData() {
    $.ajax({
        url: "api/item/user1",
        type: "POST",
        data: JSON.stringify(itemData),
        dataType: "json",
        contentType: "application/json,charset=UTF-8"
    });
}

 サーバー側のASP.NET Web APIでは、送信されてきたJSONデータをファイルに保存しています。

/// データをJSONファイルとして、user1.json の名前で保存します
[HttpPost, Route("user1")]
public async Task Save()
{
    string fileName = "user1.json";
    var filePath = Path.Combine(dataFolder, fileName);

    //リクエストのBodyからJSONデータを読み込みます
    var stream = await Request.Content.ReadAsStreamAsync();
//省略

 これまで説明してきたように、管理したいデータをJSONデータとして定義し、SpreadJSにはバインディングで表示を制御し、サーバー側とはAPIでやり取りすることによりデータを管理できます。また、同じような方法で、サーバー側にSpreadJSのシリアル化データを保存することで、帳票全体の管理が可能です。

 サンプルでは実装していませんが、例えば、宛先や銀行情報はマスタデータから読み込むといったことも、JSONデータを操作するだけで実現できます。SpreadJSがサーバーと分離されたクライアントライブラリだからこそ、柔軟に扱うことができます。

印刷

 SpreadJSでは印刷をサポートしています。詳細は製品ヘルプの「印刷の概要」をご参照ください。サンプルでは、HTMLのボタンを用意し、印刷機能を実装しました。

 クライアント側の印刷の実装は次のようになります。

//印刷します
export function Print() {
    let printSheetIndex = 0;

    var info = workbook.getSheet(printSheetIndex).printInfo() as GC.Spread.Sheets.Print.PrintInfo;
    info.showColumnHeader(GC.Spread.Sheets.Print.PrintVisibilityType.hide);    info.showRowHeader(GC.Spread.Sheets.Print.PrintVisibilityType.hide);
    info.showGridLine(false);
    info.showBorder(false);

    workbook.print(printSheetIndex);
}

 下の図は、Chromeブラウザで印刷を実行したときの図です。

 保存状態に関わらず、そのままのSpreadJSの状態で印刷を行うことができます。

最後に

 連載の最終回である本稿では、実践的な内容として、"請求書"を例にした帳票Webアプリの作成をご紹介しました。

 今回のポイントとなる機能は以下の通りです。

  • クライアント側Excelインポート・エクスポート
  • JSONデータとSpreadJSとのバインディング
  • SpreadJSのシリアル化・逆シリアル化
  • 印刷機能
  • TypeScriptによる記述

 これらのポイントと、サーバーとクライアントの分離を意識した設計をおさえると、柔軟性が高い、表機能のWebアプリに一歩近づきます。連載でご紹介した機能以外にも、さまざまな機能がありますので、ぜひSpreadJSサイトをご覧ください。

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矢後 比呂加(ヤゴ ヒロカ)

 Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies(https://mvp.microsoft.com/ja-jp/PublicProfile/5000246) シグマコンサルティング株式会社にて、Microsoft Azure・ASP...

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