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IDDD本から理解するドメイン駆動設計

実践DDD本 第7章「ドメインサービス」~複数の物を扱うビジネスルール~

IDDD本から理解するドメイン駆動設計 第7回


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ドメインサービスの例

 それでは概要を理解したところで、ドメインサービスの具体的な例を見てみましょう。

SaaSOvationのコード例

 ここではSaaSOvationのドメインサービスのソースコード「businessPriorityTotalsクラス」を見てみましょう。

 この処理では、Scrumプロダクトの中から未処理のバックログアイテムを取り出し、ビジネス優先度を合計する処理を実装しています。

ドメインサービス「BusinessPriorityCalculator」(Java)
package com.saasovation.agilepm.domain.model.product.backlogitem;

// ビジネス優先度計算用ドメインサービス
public class BusinessPriorityCalculator {

    // リポジトリ
    private BacklogItemRepository backlogItemRepository;

    // コンストラクタ
    public BusinessPriorityCalculator(
            BacklogItemRepository aBacklogItemRepository) {

        super();

        this.backlogItemRepository = aBacklogItemRepository;
    }

    // 「ビジネス優先度を合計する」メソッド
    public BusinessPriorityTotals businessPriorityTotals(
            TenantId aTenantId,
            ProductId aProductId) {

        int totalBenefit = 0;
        int totalPenalty = 0;
        int totalCost = 0;
        int totalRisk = 0;

        // リポジトリからBacklogItemのコレクションを取得
        Collection<BacklogItem> outstandingBacklogItems =
                this.backlogItemRepository()
                    .allOutstandingProductBacklogItems(aTenantId, aProductId);

        // 複数のBaklogアイテムの集計処理を実施
        for (BacklogItem backlogItem : outstandingBacklogItems) {
            if (backlogItem.hasBusinessPriority()) {
                BusinessPriorityRatings ratings =
                        backlogItem.businessPriority().ratings();

                totalBenefit += ratings.benefit();
                totalPenalty += ratings.penalty();
                totalCost += ratings.cost();
                totalRisk += ratings.risk();
            }
        }

       // 戻り値であるBusinessPriorityTotalsの値オブジェクトを設定
        BusinessPriorityTotals businessPriorityTotals =
                new BusinessPriorityTotals(
                        totalBenefit,
                        totalPenalty,
                        totalBenefit + totalPenalty,
                        totalCost,
                        totalRisk);

        return businessPriorityTotals;
    }

    private BacklogItemRepository backlogItemRepository() {
        return this.backlogItemRepository;
    }
}

 このドメインサービスでは、リポジトリを利用してバックログアイテムを取得して計算を行い、ビジネス優先度合計を示す値オブジェクトを生成しています。これまで解説してきた通り、複数のドメインオブジェクトを組み合わせ、変換を行う処理を実装していることがわかります。

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ドメインサービスの失敗例

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 青木 淳夫(アオキ アツオ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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