ヘッダー表示の切り替え
図9のように、MultiRowのヘッダーは、折りたたむなどして表示を切り替えられます。
ヘッダー表示を切り替えるには、MultiRowのcollapsedHeaders属性を設定します。図9のサンプルでは、ボタン押下でcollapsedHeaders属性の値を変更しています。設定する値によって、ヘッダー表示が表2のように切り替わります。
collapsedHeaders属性の値 | 表示内容 |
---|---|
false | ヘッダーを展開(各データ項目名を表示) |
true | ヘッダーを折りたたみ(グループのheaderプロパティを表示) |
null | グループのheaderプロパティと、各データ項目名をヘッダーに両方表示 |
ExcelやPDFファイルへのエクスポート
MultiRowの内容を、ExcelやPDFファイルにエクスポートする機能が利用できます。Excelへエクスポートすると、図10のようになります。
図11は、PDFへエクスポートした例です。ExcelとPDFいずれの場合も、レイアウトを維持したままエクスポートされていることがわかります。
Excelファイルへのエクスポート
Excelエクスポート機能を利用するには、JavaScriptでZIPファイルを操作するJSZipライブラリが必要です。まず、プロジェクトのsrcフォルダにJSZipのファイル(jszip.min.js)を配置して、プロジェクト設定ファイル(.angular-cli.json)で、リスト9のようにJSZipを読み込む設定を記述します。
"scripts": [ "wijmo.culture.ja.min.js", // Wijmoの言語ファイル "jszip.min.js" // JSZipのファイル ],
Excelファイルにエクスポートする処理はリスト10です。FlexGridXlsxConverterのsaveAsyncメソッドに、MultiRowオブジェクトとファイル名を指定して実行します。
exportToExcel() { FlexGridXlsxConverter.saveAsync( this.multiRow, // MultiRowオブジェクト null, // オプション(ここでは未指定) "saved.xlsx" // ファイル名 ); }
saveAsyncメソッドは、JSZipのバージョンが3.xのときに利用できます。JSZipのバージョンが2.xの場合はsaveメソッドを利用します。詳細はドキュメントを参照してください。
PDFファイルへのエクスポート
PDFファイルにエクスポートする処理は、リスト11のようになります。
exportToPdf() { FlexGridPdfConverter.export( this.multiRow, // MultiRowオブジェクト "saved.pdf", // ファイル名 { embeddedFonts: [ // 埋め込みフォントの指定 ...(1) { source: "assets/fonts/ipag.ttf", name: "ipa-gothic", style: "normal", weight: "normal" } ], styles: { cellStyle: { // セルにフォントを指定 ...(2) font: { family: "ipa-gothic", style: "normal", weight: "normal" } } } } ); }
FlexGridPdfConverterのexportメソッドに、MultiRowオブジェクトと出力ファイル名、オプションを指定して実行します。日本語を出力するためには、埋め込みフォントの指定が必要です。まず(1)のembeddedFonts属性で、フォントファイル(assets/fonts/ipag.ttf)に「ipa-gothic」という名前を付けます。次に(2)のcellStyle属性で、セルにフォントを指定します。
なお、リスト10、11のthis.multiRowは、Angularの@ViewChildデコレーターを利用して、画面上のMultiRowに対応するオブジェクトを取得しています。詳細はサンプルコードを参照してください。
まとめ
本記事では、グレープシティのJavaScriptライブラリWijmoのMultiRowコントロールを紹介しました。1レコードを複数行に表示する方法やヘッダー表示の切り替え、ExcelやPDFファイルへのエクスポート方法について説明しました。伝票のように、多数のデータ項目をコンパクトな横幅に収める必要があるケースで便利に使えるコントロールです。