COMPが繋いだ二人の出会い
──お二人が知り合ったきっかけは何ですか?
横溝 もともとは松本さんが今年の5月に、TwitterでスタートアップにCOMPを配るという告知をしていたんです。それで「COMPください」ってメッセージをしたのがきっかけですね。
松本 ゴールデンウィークに書き上げた本の売上で買ったCOMPを、小規模なスタートアップに届けつつ、技術や経営相談に乗ろうとしていたときに連絡をいただいたんです。
BoostIO株式会社 代表取締役CEO 横溝 一将さん
福岡の大学在学中に起業し、その後上京。世界中のオープンソース開発者の貢献を得ながら、GitHubスター約10,000のBoostnoteを運営。彼・彼女らに何か恩返しがしたい思い、OSS運営から得た学び、そしてオープンソースが抱える課題をIssueHuntというサービスに落とし込み、グローバルなメンバー達とともに世界へ挑戦している。
松本 きっかけはそのCOMPを配ったところからなんですが、ちょうどエンジェル投資を始めようとしていたタイミングだったんですよね。OSSは僕の仕事を支えている重要な概念でもあるし、「IssueHunt」はそれを支援するサービス。これからユーザーにとってもますます重要になっていくだろうと思っていたので、彼らが目指しているところに共感して支援を決めました。
僕は技術顧問という仕事はあまりしないようにしているんですけど、いろんな会社の相談には無料で乗っているんですね。その中で一番面白かったのが、BoostIOだったんです。
DMM.com CTO 松本勇気さん
DMMをテックカンパニー化するミッションのもと組織や技術全体の改善を推進。これまでは学生時代より複数社の立ち上げ後、Gunosyの創業直後に参画。CTO兼新規事業開発室担当としてグノシーやニュースパスといったプロダクトの立ち上げから拡大、組織改善、またVR/ARなどの新技術系のR&Dを担当していた。直近はBlockchain事業子会社であるLayerXの立ち上げも担当。
「Boostnote」の公開をきっかけにOSSに触れ始める
──横溝さんはどういった経緯でBoostIOを起業するに至ったのでしょうか?
横溝 福岡の大学在学中に起業しました。最初は受託でシステム開発を行っていたんですが、2016年4月に東京に出てきたタイミングくらいで「Boostnote」を公開しました。OSS化するにあたって、僕ら自身も初めてOSSに触れた最初のきっかけとなりました。
──BoostIOはどんなことを目指している会社ですか?
横溝 僕たちは「Meritocracyを社会実装する」ことを会社のミッションコーポレートとして掲げています。実力で評価される世界、能力を持っているクリエイターたちが正当に評価をされる社会をつくっていきたいと考えています。僕自身はそのためにプロダクトの開発やビジネスの成長のために、今はできることは何でもやっています。
「Boostnote」はMarkdownで書ける開発者向けのデスクトップ向けノートアプリです。GitHubスターが約11000あり、完全にコミュニティベースで開発が成り立っています。現在は貢献してくれるユーザーを僕らのコアチームに迎え、彼に主にBoostnoteをメンテナンスしてもらっています。
「IssueHunt」はOSS向けのBounty(報奨金)サービスとして提供しています。GitHubのIssueに誰でもいくらでも報奨金を賭けることができて、そこの報奨金が貢献者とそのプロジェクトオーナーに分配されるというサービスです。
現在数百のプロジェクトが参加してくれており、その中にはMaterial-UIや、Ant Financialの有志が作っているAnt Design、node-webkitとして有名だったNW.jsを筆頭に、たくさんのオープンソースプロジェクトが参加してくれているのですが、まだまだ壁が多いので、松本さんにも相談しながら進めているところです。
──「壁」とは具体的に何でしょうか?
特に日本ではOSSに対してスポンサーする文化がまだまだないという点です。使うだけじゃなくて、支えていくという面でもしっかり啓蒙していき、その文化作りにフォーカスしていかなくてはと感じています。