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イベントレポート

ユーザーにとって本当に価値のある「愛されるプロダクト」作りとは?【プロダクトマネージャー・カンファレンス 2018】

プロダクトマネージャー・カンファレンス2018 レポート

短期のROIを追わずクリーンなプロダクト像を訴求してNo.1の地位を獲得

 「ユーザーと両想いになるサービスの作り方」と題して、自社で展開中の恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」を例に発表を行ったのは、株式会社エウレカ 執行役員 VP of Pairs Japan 金田 悠希氏だ。このマッチングアプリ分野の市場規模は、ある調査結果では2018年現在で374億円、2020年には605億円、さらに2023年には852億円という飛躍的な伸びが予測されている。

 「毎月5000人に恋人ができている!」をキャッチフレーズに、マッチングアプリでの利用率No.1を誇るPairsだが、市場に参入する他社サービスも急増中だ。またサービスやプロダクトへの顧客要求は刻々と変化しており、PMは常にそれらに的確に対応していかなくてはならない。金田氏は、急激に変化する市場環境においても、常にユーザーとサービス側が「両想い」になるためには何が必要かを、ライフサイクルに応じて考えるべきだという。

 「大きく3つのサービスのフェーズが考えられる。①リリース前:先行プレイヤーとどう価値を分けて差別化を図るか ②リリース直後:価値をどのように広げてゆくのか ③拡大期:市場をさらに拡大しながら自分たちも成長してゆくには の3段階だ。この各段階に応じて、最適なものは何かを考えるのがPMの仕事だ」

 ユニークなのは、リリース前の差別化にあたって独創的なものは必要ないという主張だ。エウレカでは創業時、「ビジネス・サービスモデルに超革新的なものなどないのだから、まねしていくことが大事」との方針を経営陣で共有していたという。もちろん単純に模倣するのではない。海外の類似の成功事例などに常に目を配り、自社の目指すニーズをきちんと満たしているか、何が成功要因なのかを見極めた上で、自社のサービスに応用するか否かを決めていったという。

先行事例をきちんと見て自分たちのプロダクト像を明確にしていく
先行事例をきちんと見て自分たちのプロダクト像を明確にしていく

 サービスをリリースしてからは、ひたすら業界No.1を目指して知名度のアップと市場の拡大に注力していった。No.1でなければユーザーは覚えていてくれない。一方、No.1になれたところでマーケットが広がっていかなければ、世間の見る目は変わらない。

 「当時は、いわゆる“出会いサイト” と同類に見られることも珍しくなかった。しかし市場が広がって、Pairsで恋人や結婚相手が見つかった方々が増えていけば、そうした偏見も払拭されてゆく。その上で市場のNo.1になって、信用のおけるサービスとしての存在感を確立しようと考えた」

 そのために創業当時から広告などのクリエイティブでは、とりわけ女性に対してクリーンなイメージを訴求できるよう心がけた。短期的に収益を伸ばすなら、男性をターゲットにした、いかにも“出会い系”的なアピールもある。しかしエウレカでは、ROIと市場創造は別の視点で考えるべきだとの信念を変えずに、あくまでクリーンなイメージ創出の方針を堅持してきたことが、現在の成功につながったと考えている。

市場No.1の確立に向け、顧客視点でのクリーンなイメージの醸成に努めてきた
市場No.1の確立に向け、顧客視点でのクリーンなイメージの醸成に努めてきた

 現在同社では、Pairsで結婚や交際に至ったカップルに依頼して、企業説明会などで経験談を話してもらう取り組みを熱心に進めている。同業他社の参入も増え、スマホの普及も進んでネットで相手を探すのが当たり前になってきた中、ユーザーから口コミ的な評価を発信してもらい、新たな差別化につなげようとの狙いだ。

 「環境に合わせて、ユーザーの求めるものも刻々と変わっている。その中でも変わらず『ユーザーの価値とは何か?』をずっと考え続けていることがわれわれのスタンスであり、それがお客さまに認められているという事実を粘り強く世の中に発信していくことが、激しい競争の中で顧客に少しでも振り向いてもらえるための秘訣だと信じている」

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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