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開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー

「1on1」はただの面談ではない~メンバーが気づきを得るためのカイゼンの場を作ろう

開発現場のストーリーから学んで実践! 最初で最後のカイゼン・ジャーニー 第6回

ちょっとしたテクニック

 いきなり1on1をやってもメンター役はどう問いかけたら良いのか、メンバーは何を話せば良いのか分からないかもしれません。下記を意識してみると良いでしょう。

まずはコミュニケーションの頻度を上げよう

  • 信頼関係の構築や、話しやすい場を作るために雑談からスタートしても良いでしょう
  • 普段聞く機会がないであろう、ライフイベントやキャリアプランなども影響のない範囲で話しましょう
  • 愚痴・不満・無言・諦め・反抗などの兆候があれば、信頼関係構築を目的に始めましょう
  • 直近の関心事は思い出しやすいので、短期的な業務上の課題や不安を聞きましょう

キャリア形成

  • 将来のキャリアパスや自己実現したいことを言語化してみましょう
  • 組織のビジョンと個人としての望みや未来像をすり合わせができるとベターです

仕組み化が大事

  • 時間捻出が大変だからこそ制度を作り、定期的に開催する仕組みにしましょう
  • 繰り返し実施することで、成長のサイクルを作りましょう
  • ふりかえりと気づきと自己コミットのサイクルを回していきましょう

エピローグ

 私は、1on1を藤沢さんに願い出た。もちろん私がメンター役で話を聞くのではない。全く逆だ。私が、藤沢さんに、相談するのだ。後輩の相談の申し出に、さすがの藤沢さんもむげにはできないらしく、対話ができる場面を作ることができた。

「今のチームの状態、とっても悪いと思っています。藤沢さんはどう思いますか」

「……うまくはいってないね」

「私にできることがあればと思うのですが、相変わらず私は何もできないです。藤沢さんなら、こんな時どうしますか」

「……」

 藤沢さんは、もう私の意図が分かったらしく、黙りこんで私の目を見るばかりだった。

「今までチームがうまくいってたのって、この変わった人しかいないバラバラのチームを1つの方向に向かわせるファシリテートがあったからだと思うんです。でも、私にはそんなこと到底できません! それができるのって、御涼さんでも、片瀬さんでもなくて……」

「分かった、分かった!」

 藤沢さんは、私の問いかけにまどろっこしさを感じたのだろう。こんなへたな問いかけをし続けられるのはゴメンだとばかりに、会話を乱暴に打ち切って、自分の仕事に戻ってしまった。

 次の日。

「今日は、スプリントレビューの日ね。みんな集まって」

 ぞろぞろと、ミーティングスペースにみんな集まる。御涼さんが、ホワイトボードの前に立って、進行を続けようとした時、握っていたホワイトボードペンを優しく奪い取る手が現れた。

「はい、今日はかなりデモの対象が多いので、さくさくと進めますよ」

 藤沢さんだった。何事もなかったようにスプリントレビューの司会を始める。

 御涼さんと片瀬さんは、突然のことにあっけに取られつつも、私の方を見た。

 藤沢さんはプライドの高い人だ。私のことなんて、全然ダメだと思っている。そんな子に、1on1で自分自身のことを考えさせるような問いを投げかけられる状況なんて、許せないのだ。

 そして、クレバーな人だから、チームが何を期待しているか分かっているし、その期待に応え直すきっかけを望んでいたのだと思う。

「……」

 きびきびと進むミーティングの中、一方の境川さんは相変わらず何も言葉を口にしなかった。ただ、それ以来、異常なコメントはなりひそめたのだった。

今回の原則の解説:期待マネジメント

 今回のテーマ「1on1」の根幹にある原則は、「期待マネジメント」です。以下の3点を押さえておきましょう。

  • 期待への気づきには、問いかけが重要であり信頼関係が根底に必要
  • お互いの期待値が合うとムダが減り組織全体のパフォーマンスがアップする
  • 継続的に実施しスキルを上げ、お互いに学びあい、組織を成長させる習慣にする

本連載を深く理解するには、書籍『カイゼン・ジャーニー』の併読がオススメ!

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たった1人からはじめて、「越境」するチームをつくるまで

著者:市谷聡啓、新井剛
価格:2,484円(税込)

【連載との違い】

CodeZineの連載では、現場におけるチーム活動でのシーンを想定して実践的な作りにしていますが、コンパクトにまとめているため、個人が根本を深く理解するのに向いていません。理論や原理原則を体系的にまとめた書籍『カイゼン・ジャーニー』を精読いただくと理解が深まり、より生きた知識が身につきます。ぜひお買い求めください!

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 CodeZine Academyにて、著者の市谷氏、新井氏を講師に迎えたセミナー「機能するチームを作るためのカイゼン・ジャーニーを開催します。「講義」と「ワークショップ」で、書籍や連載の内容をさらに実践的に学ぶことができます。以下の通り、申し込み受付中です。

  • 開催日時:2019年7月12日(金)10:00~18:00
  • 受講料金:54,000円(税抜価格50,000円)
  • 場所:株式会社翔泳社 セミナールーム
  • 詳細・申し込み:https://event.shoeisha.jp/cza/20190712

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この記事の著者

市谷 聡啓(イチタニ トシヒロ)

 ギルドワークス株式会社 代表取締役/株式会社エナジャイル 代表取締役/DevLOVEコミュニティ ファウンダー サービスや事業についてのアイデア段階の構想から、コンセプトを練り上げていく仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚い。プログラマーからキャリアをスタートし、SIerでのプロジェクト...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

新井 剛(アライ タケシ)

 株式会社ヴァル研究所 SoR Dept部長/株式会社エナジャイル 取締役COO/Codezine Academy Scrum Boot Camp Premiumチューター CSP(認定スクラムプロフェッショナル)/CSM(認定スクラムマスター)/CSPO(認定プロダクトオーナー) Javaコンポー...

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