シンプルなコードを実現するための設計ノウハウ
iOS版「Eight」では、ModelをさらにEntity、Repository、Request、UseCaseの4つに細分化している。それぞれが担う役割は以下の通りだ。
Entity
- データ構造を定義する構造体
Repository
- EntityのCRUD操作を提供する
- SQLiteやUserDefaults等のDataSourceを隠蔽
Request
- HTTPRequestを投げる処理を定義する
UseCase
- ビジネスロジックを記述する
河辺氏は前述の「フォローしているアカウントの一覧画面」を例に、各層がどのように動作しているかをサンプルコードとともに解説した(河辺氏が説明に使用したコードはこちらのスライドに掲載されている。興味を持たれた方はぜひ参照してほしい)。
まず、Entityでは構造体を用いてデータを定義する。一覧画面ではフォローしているアカウントのリストを表示するため、FollowingPersonという名前で構造体を作成し、Viewで表示するために必要なデータを持たせる。
次に、Requestでは「Responseの型(先ほどEntityで定義したFollowingPersonの配列)」「HTTP Method」「HTTP Methodを投げるPath」「Responseを受け取った際の処理」を定義する。RepositoryではProtocol(Interface)にCRUD操作のメソッドを定義し、実装クラスにCRUD操作の実処理を書いていく。
UseCaseでは先ほど定義したEntityやRepository、Requestを使ってビジネスロジックの記述を行う。このクラスでは、具体型ではなく抽象に依存するように実装し、Initializerで依存性を注入する。依存関係逆転の原則を適用し、変化しやすい具象ではなく安定した抽象に依存することで、変化に強い設計としているのだ。クラスの外から必要なものを注入することで、モックの差し込みが容易となりテストしやすいコードとなる。
ViewModelでは、Viewで表示するために必要なEntityを公開プロパティとして定義する。そして、「ViewからUI Eventを取得する」「Event受け取り時にModelに対して処理の依頼を行う」などの役割も担う。
Viewでは、画面起動のEventを通知する処理を行う。また、「ViewModelにEventを伝える」「ViewModelからデータを受け取りViewにデータを反映させる」などの処理もこのクラスが行っている。
「このように、iOS版『Eight』ではMVVMパターンを採用し、各層のすべきこと・すべきできないことを明確にして実装しています。また、変化しやすい具象への依存は避けて抽象へ依存することで、変化に強い設計をつくり上げているのです」
河辺氏は最後にこのように語り、本セッションを締めくくった。
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