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コロナ禍でも“スタンス”は変わらない 龍崎翔子さんと鳥羽周作さんが考える「体験の価値」とは

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模索する観光業の可能性とコロナ禍だからこそ気づけたこと

最所 今年の4月~5月は緊急事態宣言が発令されたこともあり、とくに大打撃を受けた企業も多いかと思います。今年の冬にはその時と同じような状況になるのではないかとの見方もありますが、冬に向けてなにか備えていることはありますか?

龍崎 私たちとしては、基本的にはいつも通りやっているので、とくに何かを変えているわけではないですし、コロナによってホテル業がめちゃくちゃ大きく変わるとは思ってい     ないです。

ただ、コロナ禍関係なく取り組んでいたことがいまの時勢に上手くハマったものがあるとすれば、「泊まれる演劇」です。イマーシブシアターと一般的には言われています。ホテルや建物などひとつの空間をお客さまが歩きながら、随所で行われる演劇を鑑賞するというもので、8月にHOTEL SHE, KYOTOを1ヵ月貸し切って実施しました。旅行以外におけるホテルの活用法や、観光業としてだけではないホテルのありかたにフォーカスしたかったんです。

いままでホテルは観光業に依存しすぎていた。本来は旅先で宿泊する以外の機能や価値もあるはずなんですよね。たとえば先ほど申しあげたような非日常的なエンタメの体験ができたり、オフィスとしてホテルを月極めで借りるといった不動産業としての使いかた、あとはケアサービス業に用いることもできるのではないかと思っています。観光業ではない形で、どのようにホテルを活用していくかは、今後の大きな軸として考えていきたいです。

L&G GLOBAL BUSINESS, Inc. 代表 龍崎翔子さん
L&G GLOBAL BUSINESS, Inc. 代表 龍崎翔子さん

最所 箱としての稼働率ではない、大きな視野で見ていらっしゃるんですね。鳥羽さんは、この先半年くらいでなにか行おうと思っていることはありますか?

鳥羽 コロナ禍になるまえは、レストランやシェフは、対面で訪れた人だけにフォーカスして価値を提供していましたが、そうすると僕が1日で幸せにできるのはお店に来店される20人ほど。ですが、「おうちでsio」を公開し、多くの人にそのレシピで料理を作ってもらうなどすることで、幸せにできる人は尋常じゃないほど増えました。レストランにもそういう可能性があったのに、いままでそこに目を向けられることはほとんどなかった。

朝から夜まで準備して料理を作ることをルーティーンとして毎日行っていくための僕らのモチベーションって、お客さまが来店して喜んでくれたとか、おうちでsioをやっておいしくできましたという声を聞いたとか、そういうことなんですよね。伝えかたなどは時代や状況によって変わるかもしれませんが、本質的には「喜んでもらう」ためにやれることをやるだけです。

顧客のクチコミ投稿数が減っても危機感はない ふたりの情報発信に関する考え

最所 お客さま側の変化としては、コロナ禍の前であれば泊まったことをSNSで積極的に投稿していた人たちが、そもそも旅行に来たことが言いづらいから投稿しない、という動きも増えているような気がしています。クチコミの数は減っていますか?

龍崎 投稿の数は減ってると思いますが、一方で私たちもコロナ禍をきっかけに、発信していただくことに対するスタンスが変わってきたところもあります。

ホテルの情報自体が比較的バズりやすいため、そのホテルが好きだからというよりは、「これを言ったらバズるから投稿する」といった投稿も若干増えてきたように感じますが、そういった瞬間的に消費されるようなホテルづくりはしたくないと思っています。一方、友達から友達に伝わるクチコミやSNSのDM、実際の会話など、人のクチにのる情報の濃度はとても高くなっているという実感もあるので、SNSの投稿数が若干減ることへの危機感はあまりないです。

最所 sioに関する投稿数はいかがですか?

鳥羽 お店にまつわる投稿は減っている一方、「おうちでsio」の投稿が増え続けていることはとても大きいです。「おうちでsioに載っていた唐揚げを作ったらめっちゃおいしかった」という投稿に「私も作ってみます!」といったリプライがつき、それに僕もできる限りコメントを返すことでコミュニティのようなものも生まれています。ですが、僕がツイッター上でリツイートをして、こんなに多くの人がsioのレシピで料理を作ってくれたんですよ、と数をアピールすることにあまり価値はありません。

大切なのは、そのコミュニケーションのなかで生まれる絆のようなもの。自分たちがいまやっていることをこちらの目線でただ伝えるのではなく、レシピでご飯を作ってくれた人に「めっちゃ嬉しいです、ありがとうございます。こんなレシピもあります」といった日常的な会話をしている感覚なんですよね。応援してくれている人は、以前よりも増えている印象です。

レシピを投稿するときには、「この材料でなきゃだめ」といった書きかたは絶対しないように心がけています。鶏ささみがあるご家庭もあれば、豚こまが余っている人もいるじゃないですか。だからレシピに余白を残すことを心がけています。レシピを公開して大丈夫なんですか?と聞かれることもありますが、そもそもレシピ自体をカスタマイズができるようにしているので、好きに使ってレシピを育ててください、というスタンス。それが良かったのかもしれません。

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https://codezine.jp/article/detail/13108 2020/10/26 08:00

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