Squad導入によりスケールによる課題を解決ーースマートニュース小越氏
スマートニュースの小越氏は、企業がスケールするにつれて開発メンバーがやりがいを感じなくなるというBtoB開発組織で発生しがちな問題と、それを解決するための「Squad」導入をテーマに話した。
組織がスケールすると、「この機能は何のために作っているのだろう」と分からなくなり、「最悪なケースでは、開発している本人が『これは誰も幸せにならない』と思いながら作る機能もある」と小越氏。自分の仕事に価値を感じられなくなることがあるという。これはスピードの低下を招き、プロジェクトや組織の見通しを悪くするなどのデメリットを引き起こす。
小越氏によると、Squadとは「クロスファンクショナルで自律した最小の実行チーム」のことだ。最初にこの概念が浮上したのは2012年ごろ、Spotifyで実践されている手法「Scaling Agile @Spotify」として発表されたという。「Squadは立ち上げ時の組織のような組織構造に戻すという組織論」と小越氏は説明する。
Squadの考え方では、特定のミッションにフォーカスし、営業、プロダクト、エンジニアなどを横串でチーム分けする。スマートニュースでは、営業が入っているSquadもあれば、プロダクトマネージャーがいないSquadもあるという。各Squadにはそれぞれリードがおり、独自のOKRと目標を持ち、4~8人ほどの少人数であることが特徴。「最小単位の実行チームであり、この単位で意思決定、開発、リリースを行う」と小越氏。
スマートニュースでは例えば、広告配信アルゴリズムの改善にフォーカスしたSquadがあり、何を開発し、どういった優先順位でやるのかを独自に判断しているという。
期待できる効果として、「先述のスケールに伴うスピード低下などの問題がかなり解消される」と小越氏。少人数での判断によりスピーディに決定でき、組織の見通しについてもテーマが絞り込まれており、少人数で作業するので何が起こっているのかが全部見えるという。一人ひとりの作業がチームに貢献する度合いが大きいので貢献実感も改善されるなど、さまざまなメリットがあるようだ。
目標に到達したなどの理由でSquadが解散することや配置換えもあることから、スマートニュースでは近いテーマを扱うSquadをまとめる「Pillar」を用意している(SpotifyのSquad論では「Tribe」に相当)。PillarはカンパニーOKRを持ち、例えば「広告収益」というテーマに対して必要なSquadを組成して進める。
そのため、カンパニーOKRに対するPillarがあり、その中により細かなフォーカスを持つSquadがあるという「組織図が戦略の形」になっているのだそうだ。「どういう戦略で達成しようとしているのかを表している点がポイント」と小越氏。これにより大きな組織でもスピーディに、個人がやりがいを感じて開発できる体制を持つことができるという。

だが課題もある。小越氏は、「アサインメントが大変」「意識しないと情報共有できない」「集中領域以外の扱い」「リーダーがたくさん必要」の4つを挙げた。
例えば、「縦横全部が合意しないと終わらない」というアサインメントについては、エンジニアリングやプロダクトといったディビジョン(部門)からPillarにタスクを任せ、Pillar内で調整するやり方がいいのではといった仮説を立てて取り組んでいるという。
情報共有の問題は、独立して意思決定できるというSquadのメリットがあるからこそ出てくる問題となる。「情報共有しなくても仕事が進んでしまう」と小越氏。そこでスマートニュースではPillar内でのオールハンズ(全体会議)などの工夫をしているとのことだ。
「集中領域以外の扱い」も、特定のテーマに集中する組織になるというSquadの特徴から生まれた思わぬ副作用と言える。「『集中領域じゃないところ』をやるためのSquadを立てることも可能だがそれは本筋ではないと思っている」と小越氏。現在進行形の課題としてSquadを細分化すべきか、違う形にするのかなどは、検討している最中だという。
