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ProductZineウェビナーレポート

「プロダクトマネージャー3年目の壁」を乗り越える方法とは? メルペイPM丹野氏がケーススタディで解説

戦略を共有できる機会を設け、双方向の意思決定組織を目指す

 最後のシーンは、丹野氏が一番難しいとする経営陣との関係性だ。ここでの設定は、社長が有力な販売代理店からSlack連携したいと熱弁され、こうした機能を追加してほしいというもの。しかし、もともとのユーザーは非IT部門で、ITリテラシーはさほど高くなく、Slack導入率も不明。自分としてはほかに優先すべき機能があるが、社長の意気込みは強く異論を挟む余地はない……といった設定だ。

 ここで集まった参加者の意見は「吹き込んだ代理店の思惑を探る」「社長にWhyを聞く」「要望背景と具体的な売上見込みをヒアリングする」「利用企業のSlack利用率を調査して、ユーザーヒアリングをする」といったものだった。

 丹野氏は、こうした場面での社長と会話の例として、「Slack連携がなくても便利に使える機能を追加したい」と伝え、社長に両方作ればいいと言われ、それに対して「開発リソースが足りない」と反論すると、ならばSlack連携を優先するべき……と指示されるパターンを示した。反論してみようと思ったら、指示が継続してしまうという失敗例だ。

 そこで丹野氏は、このような場面での交渉のフレームワークを示した。これは、まず相手の関心ごとや感情に共感を示し、その関心ごとを診断し、相手の考え方を端的な言葉で表現し、最終的にどうするかを言語化するというもの。相手の関心ごとを引き出し、両者の意向を共存させていく手法だ。

 今回の例であれば、「Slack連携が売上につながることについて詳しく知りたい」と社長に対して共感しながら診断する質問をし、「販売代理店が売りやすいプロダクトにしたいということですね?」と相手の考え方を定義し、「利用者にマッチした機能開発をしながら、代理店を伸ばす工夫をしたいです。ほかの部門とも議論して提案させてほしい」と、新しい問題を定義して合意に至るといった交渉が想定できるとした。

 丹野氏は「経営と現場では見えている範囲が違うので、お互いの課題を知る必要があります。都度対話していくことも必要ですが、例えば四半期単位で経営課題と現場課題を同期していくようなサイクルを設けるといいのではないでしょうか。重要なのは、ボトムアップで戦略を共有できる機会を作り、双方向の意思決定ができる組織にしていくことです」と説明した。

 冒頭で丹野氏が述べたように、プロダクトマネージャーの仕事は物事を変えていくこと。主体的に他部署のやり方を変えていくことが重要である。「影響力を発揮するには、自分ひとりの力ではインパクトの大きさは限られています。経営陣を説得し、営業チームとセールスポイントを考え、マーケティングとは同じKPIを持ち、開発チームと信頼関係を築く、など、会社組織をうまく使ってレバレッジを効かせることで、インパクトの大きな施策を展開できます」と丹野氏は述べ、最後に高い影響力を持つプロダクトマネージャーとなるためのポイントをまとめ、講演を締めくくった。

当日の発表内容をもとにしたブログを丹野氏が執筆・公開しています。より詳しく学びたい方は、以下をご覧ください。

仮説検証がうまくいかない、PMの心構えは? Q&Aコーナー

 一連のプレゼンテーションの後には、参加者からの質問に対する丹野氏の回答も展開された。いくつか紹介する。

Q.チームとのアイデア出しの時間管理について心がけていることは?

丹野氏:期限やアウトプットのマイルストーン設定し、それまでに具体的なアイデアと実施内容を決めることが必要だと思います。

Q. MVP(Minimum Viable Product)を見いだしているフェーズです。仮説検証するにしても、よい事例が生まれていない場合はどうしたらいいでしょうか?

丹野氏:プロダクトマネージャーとしては仮説が外れてしまうと開発メンバーからの信頼がなくなります。簡単なものではないです。失敗を何回繰り返せるか、また失敗したとしてもメンバーとの信頼関係を損なわないよう、チームで一体となって探っていく関係性が重要です。上流工程をプロダクトマネージャーが勝手に決めて、チームに降ろしていくやり方は控えたほうがいいでしょう。

Q.仮想のグロースチームは最初のリーダーシップの巻き込み方に工夫が必要だと思います。どうすればいいでしょうか?

丹野氏:マーケティングチームの責任者に対して率直に話してみて、相手の立場に共感して一緒に作っていくといいでしょう。

Q.ステークホルダーとの関わり方で、自身の成長として取り組んでいることは?

丹野氏:個人的にはあまり遠慮しないことです。何か問題だと思ったら言ってしまいます。働きかけていくしかない。そこが自分の成長のポイントだと思いますので、チャレンジしていただきたい。

Q.弊社にはプロダクトマネージャーの制度がありません。どのように組織に根付かせるといいのでしょうか?

丹野氏:誰かがプロダクトマネージャーを名乗るしかないかと思います。まずは形から入ってみて、アウトプットを見せて、うまくいくことを示せば、組織内に浸透していくと思います。

Q.プロダクトマネージャーを自ら名乗る場合の心構えは?

丹野氏:プロダクトマネージャーはミニCEOという言われ方をしますが、これは誤解を招く表現です。プロダクトマネージャーには権限はありませんので、共感ベースで人を動かしていくことが求められます。自分だったら、誤解なく共感し、動いてもらうためのストリーテリングや言葉づかいに注意するかと思います。

Q.プロダクトマネージャーが個々に育つことはありますが、育つ仕組み作りができていません。

丹野氏:どんな仕事でも段階的にやっていくことです。上司の人がビジネス戦略を作って、その詳細についてはキャリアの浅い人に任せ、成果物をレビューするような取り組みが考えられます。そして、だんだんと任せる範囲を広げていくことです。複数のプロダクトマネージャーがいる組織なら、メンバー同士でレビューしあうのもいいでしょう。

Q.開発以外は専任となっていない小さなチームです。専任のプロダクトマネージャーを用意すべきでしょうか?

丹野氏:社長はアイデアマンが多く、いろんなことを提案します。また自らリスクを背負っているので、ほかのメンバーはなかなか意見を言えない場合もあります。ですから、早い段階でプロダクトマネージャーを設置して、新しいアイデアを検証するような体制にするといいでしょう。

Q.UIや技術仕様に対してプロダクトマネージャーが権限を持つことが多いですが、デザイナーやテックリードにうまく権限を委譲するにはどう働きかけるといいでしょうか?

丹野氏:これは人によります。権限を委譲されたくない人もいるでしょうし、あまり細かな指示を嫌う人もいるでしょう。プロダクトマネージャーの振る舞い方は相手がどう思っているかが重要で、まずは対話をして希望を聞いて進めることです。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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