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【デブサミ2021】セッションレポート

筑波大学における実践的なアジャイル開発の授業で学生たちは何を学んだか?【デブサミ2021】

【18-C-4】アジャイルネイティブな大学生とコネクトしてみませんか? -3時間スプリント白熱教室-

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これからの話:教育プロジェクトとしての一区切り

 文科省による教育プロジェクトとしての活動は本年度で終了となり、来年度からは大学での自助努力による授業運営が始まるとのことでした。

 「このままで終わっていいのか」

 いろんな人・コミュニティの協力を得て毎年改善してきたPBL。大学のいち授業として価値のあるPBLを、自信をもって提供できるようになった。そして、まだまだいろんな人やコミュニティの協力を得てパワーアップさせていきたい――。渡辺先生はそう考えていました。

パワーアップの方向性

 では、いかにパワーアップさせていくのでしょうか。渡辺先生の話から、ポイントは3つあると感じました。

1. 「あくまで授業である」という制約を活かしつつ、課題を乗り越える

 授業としてのプロダクト開発だからこそ、失敗が学びにつながりやすい、同じ状況や過程にいる仲間が近くにいる、という良さがありつつ、実業務との違いはやはり違います。授業としての良さを保ちつつ、様々な制約や設定(顧客は自分たちという設定)をいかに外していくかは今後チャレンジしがいがあるそうです。

2. 「学び方を身に付けた」という土台を共有する

 AgilePBLで身につけた学びは、今後開発者としても研究者としても大いに役立ちますが、アジャイルな考え方をそのまま生かしていきたいと思っても一人で切り開いていくのは難しいものです。彼らが今後進んでいくそれぞれの道でアジャイルな考え方を持ち土台を共有できる人を整備していきたいそうです。

3. 多様な環境・人による多様な学びの共有を深めていく

 授業で開発に取り組む10程度のチームは、同じように進めてもそれぞれの学びは大きく異なります。それらを共有していくことに大きな相乗効果が得られると渡辺先生は考えているとのことです。そのような学びを1授業に閉じず、同じようにPBLを実施する多くの大学、またチーム開発を進める多くの企業と共に共有していきたいそうです。

まとめ

 学生たちのフレッシュさ、そしてその実践知にただただ感動を覚えたセッションでした。彼らとともにものづくりがしたいし、彼らが楽しくいきいきとプロダクト開発をできるような世の中をつくっていきたい、そう思えるセッションでした。この国は、まだやれる。

Ask the Speaker

 セッション終了後のAsk the Speakerは、渡辺先生による「楽しかった!」の一言から始まりました。

参加者に一番伝えたいポイントは?

  • 「いい学びをしている」ということや「今後のことを考えている」ということ。また、企業とのコラボレーションなども行っていきたい。

工夫をしたところは?

  • リハーサルをめちゃめちゃ頑張った。午前中はずっとリハーサルをしていた。

学部の方は就活、修士の方は学会発表や修士論文などとどう折り合いをつけているのでしょうか?

  • 学部3年生はまだ就活とかぶらない。後半は少し被るがPBLは授業内で完結するので影響しなかった。体験を話せるのでむしろよかった。
  • 修士1年生は、秋に国際会議があったり、論文の締め切りがあったりするので、実際問題けっこう大変。授業内で完結するようにしていたので、調整はしやすかった。
    • チーム内で取り組む時間を決めるトライもやったが、それは逆に難しかった。

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この記事の著者

小田中 育生(オダナカ イクオ)

 開発(Develop)を愛する人たちの集まり、DevLOVEによく出没する人。 所属する企業においては、研究開発のディレクションとエンジニアがいきいきと働けるDX(Developer eXperience)を重視した風土づくりという両輪を回し続けている。 近年はアジャイル開発に助けられているが、一番助けてくれているのはいつも一緒にいるチームメンバーたちだったりする。 Twitter:@dora_e_m note:https://note.com/dora_e_m 著書『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』(インプレス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/13746 2021/04/13 11:00

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