PBL(Project Based Learning)とは
まず渡辺先生から、今回の話の前提となるPBLについての説明がありました。
PBLをひとことでいうと、「学生がプロジェクトに関わる中で主体的に学びを獲得していくアクティブラーニング手法」です。
渡辺先生が教鞭をふるう筑波大学 enPiTでは、学群(筑波大学以外での学部に相当)の3年、そして修士1年を対象としています。
大学の授業でアジャイル開発を導入する意味
PBLは、その名のとおり「プロジェクトを通して学ぶ」ものです。そして、今回学生たちが取り組んだプロジェクトが持つ目的は「顧客の問題を解決し価値を提供すること」です。そのプロセスを通して問題の理解と解決にとことん向き合うことで、深い学びの基礎を体で覚えることが狙いとなっています。
その中で渡辺先生は、大事にしていることとして以下のポイントを挙げました。
- なんとかしたい問題にチームが本気で取り組む
- 小さくたくさんチャレンジする
- 「モノ」を手に取り、みんなで価値に向き合う
この「大事にしていること」をいかに実現するかを考えたときに、アジャイル開発がフィットしていたということなのだろうな、というのが私の理解です。そのあらわれとしてわかりやすいのが、授業1回分(3時間)を1スプリントにするという取り組みです。体験によってのみ価値を検証し、誰のためのものかを常に考え、本物を手に入れたときの目の輝きを大事にする。これこそが、大学の授業でアジャイル開発を導入する意味となるということです。