ユーザーに共感し、メリットを伝える「メッセージング」
ターゲティング、ポジショニングを経て、誰のどんな課題をどうfreeeらしく解決するかが見えてきました。最後のステップはメッセージングです。ランディングページ(LP)や提案資料に伝えたいことを落とし込んでいきます。ただし、ポジショニングで出てきたキーワードを、例えば「API連携可能」という具合に単に並べるだけでは必ずしも魅力は伝わらなかったでしょう。なぜなら、プロダクトの購入意思決定者である経営者や事業責任者が自分ごとに感じ、導入を検討するためにはこれらの方々に対するメリットの提示が重要だからです。メリットはある程度、仮説ベースで進める必要がありますが、今回「プロジェクト管理freee」ではリリース前にβ版の販売を行い、一部のユーザーに実際に購入・利用してもらったうえで、フィードバックをもらうことができました。

このβ版販売を通じて、カレンダーUIは経営者、メンバーともに大変反応がよく、工数入力のしやすさが購入の意思決定に大きく影響することが分かりました。メンバーからすると、本業ではない管理のための数字のインプットは可能な限り楽に行いたいと感じていることが分かりました。また、会社によっては現場の意見が強く、了承が得られなければシステムを導入できないこともあります。さらに、メンバーのアサイン状況を把握するレポートのニーズが高いことも明らかになりました。プロジェクトの収支がリアルタイムで見えるようになった時、次にやりたいことは人的リソースの最適化。この機能は現在はすでに実装されていますが、本リリース時点では未対応だったため優先度が引き上げられました。
このようにβ版販売によりユーザーの生の声を収集できたことで、ユーザーがどうプロダクトを捉えているのかを理解・共感でき、以前よりは自信を持ってメッセージを考え絞り込むことができました。最終的には「工数入力を簡単に。プロジェクトの収支を素早く正確に見える化」というキーメッセージに着地しました。今後は利用実績に基づきメリットを定量化することで、メッセージをよりシャープにしていきたいと考えています。例えば、以前の方法と比べて、「作業工数が10分の1にまで削減可能」と言うことができれば、業務の具体的なイメージを持っていない人にもインパクトを伝えることができ、興味喚起できるようになると思います。
なお、β版販売はセールス向けツール作成、納品オペレーション構築、販売実績管理方法の確立、導入支援方法の検討など、本リリース後に一気に販売開始ができるようにする目的も含まれており、スムーズな立ち上がりに大きく寄与しました。
freee史上初の“オンライン”プレスイベントの実施


これまでご紹介した通り、リリース前にターゲティング、ポジショニング、メッセージングを終え、PRを中心として2020年4月20日にプレスイベントを行いました。新型コロナウイルス感染症の影響で大人数でのイベント開催ができなかったので、freee史上初めてウェブセミナー形式での記者会見となりました。当初は実際に人に会ったり、製品を見たりすることができないことからニュース性が低く、そもそも人があまり集まらないのではないかという不安もありました。しかし、結果は弊社上場時と同規模のメディアがオンライン上でご来場くださり、数十本もの記事が公開され、freeeのミドル・フロント業務への進出に注目が集まっていることを実感しました。
会見2日後には、リリース記念ウェブセミナーを行い、100名を超える企業の経営者やプロジェクト担当者にご参加いただきました。簡単な製品説明ののち、デモンストレーションに多くの時間を使って製品の魅力をお伝えしました。リリース直後の最もモメンタムが高まった時期に、セミナーを行ったことで、初期ユーザーになり得るリストを整備でき、セールス活動のスムーズな立ち上げに貢献することができました。同時にビジネスサイドのマーケティング担当では安定的なリード供給を目指し広告運用を開始したり、SEO記事を公開したりしました。
従来混乱しがちだったローンチ前後でしたが、Bizと開発の足並みをうまく揃え、滞りなく事業のスタートを切ることができました。
