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進化するエンジニア組織

「強いエンジニア組織を作りたい」野望を胸に、READYFORが取り組んだ「組織の乳化」と「スクワッド体制」とは?

エンジニアリングが組織に広がる世界観を実現


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経理とエンジニアが一つのスクワッドとして開発

 乳化の取り組みとスクワッド体制への変更で、実際に開発面での効果が出始めている。

 特に乳化を体現している例は「決済・会計」にまつわるスクワッドだ。経理担当とエンジニアが一つのスクワッドを形成し、決済や会計などのお金の流れに関する開発にフォーカスしている。

 READYFORのクラウドファンディングサービスでは、支援された資金(支援金)に対し、さまざまな状態遷移や条件分岐に従って、複雑なお金の流れを制御する必要がある。かつては、そのお金の流れの制御はバックオフィスの経理チームが手作業で行っていた。しかしその手作業の部分が、今後の事業成長においてボトルネックになっていた。

 お金にまつわるシステムだと、経理チームにヒアリングをして要件定義書を作成し、それに基づいてエンジニアが開発するといったやり方が通常だ。しかしそれだと、エンジニアにとって経理チームが何をしているのか分からない状態にも関わらず、要件定義に従って作ることになる。

 しかし、同じミッションのもと一緒に開発することで、要件定義のプロセスからエンジニアと経理のメンバーが一緒に話すため、経理チームがどういう問題意識を持ち、どんな業務をやっていて、どんな課題があるから新しいシステムが必要なのかを肌で感じたうえで、BPMNで作られた業務フローをベースに開発をすることができた。「我々が目指したかった乳化を体現したようないいスクワッドだなと思っています」と、伊藤氏も満足そうだ。

「組織の乳化」を目指すには、エンジニアがまず背中を見せる

 組織の乳化やスクワッド体制は、エンジニア自身の意識の変化にもつながっている。

 「実現したいことに対してスクワッドとしてコミットしていくことになるので、『作るまでが自分の仕事』ではなく、作ったものが提供する価値がどこにあるのかまでを、自分ごと化できた状態でコミットできるようになったと思います。当然エンジニアのやりがいも増えましたし、自分がやっている仕事がどこに結びついているのか分かりやすい状態になったと思います」

 伊藤氏が思い描いていた「強いエンジニア組織を作りたい」という理想にも大きく近づいているようだ。しかし、そこには課題も存在する。

 「スクワッド同士が統合して同じ方向を向いていくにはどうすればいいかという悩みがあります。READYFORは組織が大きくなってきたので、スクワッドが増えています。かつ、アウトプットが相互に依存するような状態にもなって、スクワッド間を調整していく必要が出てきました。これをどうしていこうかというところが、今取り組んでいる大きなチャレンジです」

 最後に、DXや組織の乳化を目指していきたいエンジニアに向けて、伊藤氏は次のように声をかけた。

 「何事も自分で背中を見せずには実現できないので、まずは自分でやってみる。エンジニアに対しては、エンジニアではない人とのコミュニケーションの仕方を背中で見せられるし、エンジニアではない人に対しては、ツールの使い方、課題解決の仕方をやってみせることができる。まず背中を見せるのが大事だと思っていますね」

 エンジニアだからこそツールを知っているし、課題解決の方法を提示することができる。DXを推進し、組織が変化するなかで、エンジニア自らの前向きな行動が生み出す力は大きい。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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