プロの開発者からも注目を集める「Claris FileMaker Pro」とは?――ノーコードからプロコードまで対応するローコード開発ツール大研究
最新バージョンは? 新たに追加された機能を紹介
昨年5月にリリースされた最新バージョンでは、追加された機能によりFileMaker Proの強みがさらに加わった。第1にJavaScriptによるカスタムAppの強化である。これまでもFileMakerが用意している標準機能ではできない表現や機能を、JavaScriptで作成し、それをFileMakerのカスタムAppに組み込むことが行われていたが、開発に時間がかかるという問題があった。それが最新バージョンではよりやりやすくなった。「時間をかけずにユーザーフレンドリーなUIを完成できるとプロの開発者から、大きな評価を得ている」とClarisの担当者は話す。
第2にドラッグ&ドロップのアドオンの作成と活用が容易になったこと。プロコードが書けない人でも、アドオンをドラッグ&ドロップして組み合わせることで、JavaScriptで構成された、より高度なカスタムAppが容易に作成できるようになった。初心者に優しい機能が提供されたことだけではなく、FileMakerの開発者からは、アドオンやテンプレートを販売するという新しいビジネスへの期待が高まっている。
第3にSiriショートカット活用で、よりスマートなカスタムAppが作成できるようになったこと。カスタムAppにSiriショートカットを追加すると、音声コマンドを使用して在庫の更新や各種プロセス開始のためのスクリプトが実行できるようになる。
第4にAppleが提供している機械学習フレームワーク「Core ML」の学習モデルを、利用できるようになったこと。これにより、画像認識による分類や感情分析、データに基づいたなど機械学習を利用した機能を簡単にカスタムAppに組み込むことができるようになった。
そして第5にNFCタグの読み取りが利用できること。iOS13以降のiPhoneでは、NFCタグリーダーをサポートしている。この機能を利用すれば、例えば社員証をiPhoneで読み取ると、FileMakerのカスタムAppからその社員の情報が検索できるといった、新しいワークフローを容易に作成できる。
コロナ禍以降、非接触の仕組みが実現することから、NFCやQRコードの読み取り機能に注目が集まっている。実際、大阪市高速電気軌道(Osaka Metro)では、iPadを活用して社員番号をカードリーダーで読み、乗務員のアルコール濃度を検出し、数値を入力するカスタムAppをFileMakerで運用。社員番号を自動読み出しすることで、手入力していた従来の仕組みに比べ、6000秒近いチェックインの短縮が実現したという。
ユーザーと開発パートナーの二人三脚によるアジャイル開発が基本
ローコードで開発できるFileMakerだが、実際の現場では、ユーザーと開発パートナーの二人三脚でカスタムAppの開発が行われることも多い。また、FileMaker Proは一部ノーコードでも開発できるとはいえ、専門知識を持たない人がFileMakerを1から学習して本格的な業務システムを作るのはやはり時間がかかる上、万が一設定が不十分なまま本番運用を開始してしまうと十分なセキュリティが担保されない場合もある。
基幹システムや外部システムとの連携などセキュリティを考慮しなければならない部分は開発パートナーに任せるなど、適宜役割分担をして作っていくのがおすすめだ。先に紹介したOsaka Metroだけではない。日本航空、日本原燃、日本郵船などでも、パートナーとClaris認定パートナーと二人三脚でカスタムAppを開発した。
開発パートナーにすべて開発を委託する場合でもFileMaker ProでのカスタムApp開発は非常に効率的にできるので、ユーザーとのアジャイル開発が基本になるFileMakerプラットフォームを開発基盤として指定して開発を依頼する事例も多い。ユーザーと実際に動く画面をもとに設計して1〜2週間おきに動作テストを繰り返し、レビューを重ねて動作テストを繰り返しシステムが完成していくため、現場のユーザー満足度は高く数百ページにもおよぶ細かい仕様書や操作マニュアルの作成と確認に双方が費やす時間もなくなるからだ。
例えば日本COVID-19対策組織「ECMOnet」が運用する横断的ICU情報探索システム CRISISは、着想からたった3時間でプロトタイプが完成した。そのプロトタイプをもとにドクターからのフィードバックを得て、1週間で稼働にこぎ着けた。現在、稼働しているECMO管理アプリケーションは現場からのフィードバックにより大きく改善され、より使い勝手の良いレイアウトで運用されている。このようなアジャイル的な開発・運用ができるのも、FileMakerプラットフォームならではの良さである。
今後はノーコード領域の機能強化に注力
今後、FileMaker Proは開発スキルを有していない人でも、より簡単にカスタムAppの作成ができるようにノーコード領域の機能強化を図っていくという。すでにその兆しは見えており、現在はお試し版として提供されている、「クイックスタートエクスペリエンス」はその代表例だ。
「クイックスタートエクスペリエンス」はFileMakerや開発に関する知識のない人でも、より直感的に操作できるような仕組みになっている。簡単に始められる分できることは限られているとはいえ、この機能を使えば初心者でもその後ろ側で動くスクリプトやテーブル間のリレーションシップを意識することなく、容易に画面が作れるようになっている。初心者の場合はまずこの機能で開発知識を身につけると良いだろう。実際にいくつかノーコードで作成していくと、「こんな機能が欲しい」「こんな画面にしたい」というニーズが出てくる。その際にノーコードでできないのであれば、FileMaker Proのフル機能、つまりローコード開発にステップアップすれば良い。そうすることで、よりアプリケーションを洗練させていくことができるのだ。
FileMaker Proを個人で利用する場合のシングルユーザライセンスは5万7600円(税別)だが、「試しに使ってみたい」という場合は45日間試せる無料評価版や、年間9000円(税別)、テスト目的で利用可能なFileMaker Developer Subscription(FDS)を使ってみるのがおすすめだ。商用利用はできないが、個人でじっくりFileMakerを試してみるのにはぴったりのプランだろう。オンラインで申し込めばすぐに使い始めることができる。
世の中にはFileMakerのほかにも、ローコード開発ツールはたくさんある。重視すべきポイントは、価格だけではなくプラットフォームのスペック。例えば価格が安いからといって導入しても、やりたいことに限界があれば、また異なるツールを導入することになるからだ。だがノーコードからプロコードまで幅広いスキルレベルに対応できるFileMakerなら、限界を感じることはなさそうだ。
FileMakerを導入すれば、カスタムAppの作成にかかっていた時間が削減し、その時間を新しいサービスや製品を生み出す原動力にできる。ぜひ、そのような開発環境を実現してみてはどうだろうか。
FileMakerの情報はこちら
FDSというのは、年間9,900円のサブスクリプションで以下のように開発者向けのさまざまな特典がついています。(詳細は上記からリンクをご参照ください)
- FileMaker デベロッパ サブスクリプション ライセンス(テスト目的用)
- 発売前のソフトウェアを先駆けて入手
- iOS App SDK(ソフトウェア開発キット)
- FileMaker data migration tool
- Claris FileMaker Custom App Upgrade Tool
Clarisコミュニティは、誰でも無料で参加できるオンラインコミュニティで質問するとプロの開発者が答えてくれます。
この記事は参考になりましたか?
既に会員の方はを行ってください。
- データ活用にまつわる課題を解決、進化し続ける「FileMaker」の魅力を大解剖!連載記事一覧
-
- 開発者も魅了――ローコード開発ならお客さまと共に解決策を考え、ビジネスに貢献するシステムが...
- 「FileMaker」はローコード開発ツールながら経営にインパクトのある仕組みを内製化でき...
- プロの開発者からも注目を集める「Claris FileMaker Pro」とは?――ノーコ...
- この記事の著者
-
中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)
大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社
この記事は参考になりましたか?
この記事をシェア
